「RADEX RD1008」を例にロシアの建造物の測定ガイドラインを見てみる

2012年01月17日
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直近の記事で建物のことについて触れましたが、今回はもう少し具体的に見てみましょう。ちょうど、Quarta-Rad社の「RADEX RD1008」が少し安くなっていたので、同機を例に紹介してみます。

「RADEX RD1008」のマニュアルにも建物のことが書かれています。面倒臭いので今回は英語版を参照w

2.3.3 Carrying out the radiation inspections of residential and public buildings.

Evaluation of radiation dose in open area (of background) is carried out near the surveyed building is not less than on 5 points located at a distance of from 30 to 100 m from the existing buildings and no closer than 20 m from each other.

Measuring points should be chosen on a site area with natural ground, with no man-made changes (gravel, sand, asphalt) and radioactive contamination.

During the estimation the product should be at a height of 1 m above the ground.

The total time of the background radiation dose evaluation is 20 - 25 minutes, but if you want to get reliable results, it is necessary to carry out a survey in its entirety.

For the survey convenience the product has the additional mode «BACKGROUND» (art. 1.3), which facilitates the survey.

[ソース]QR社:「RADEX RD1008」英語マニュアル P26

最初に余談を。余談ですが大切なことです。

QR社の製品はすべて、公式サイトでマニュアルが見られます(英語・ロシア語)。QR社に限らず、ちゃんとしたメーカーであればおおよそが公式サイトでマニュアルをダウンロードできるようになっています。ECOTESTの「TERRA」、SOEKSの「SOEKS 01M」、 S.E. Internationalの「Inspector」。日本メーカーも同様です。メディキタスでも「CK-3」「CK-6」のマニュアルが見られます。エステーの「エアカウンター」もマニュアルではありませんが、使用方法は詳細に掲載されています。

これ、当たり前のことなんです。放射線測定器という小難しい機器は、スペックはもちろん、どういう目的で使用するのに適してるんだろう、どうやって操作するんだろうということも買う側は気になりますよね。また、購入後、もしかしたらマニュアルを紛失してしまうかもしれない。なんなら、マニュアルなしの状態で本体のみを手に入れるなんてケースもあるでしょう。ですから、メーカーは誰でもマニュアルをダウンロードできるようにしておきます。

間違った使用をしないよう、正しく使ってもらえるよう、マニュアルを常に見られるようにしておく。放射線測定器を使う人のことを考えれば、当たり前の配慮です。さて、あなたが購入しようとしている機種は、メーカーは、マニュアルが公式サイトにありますか? もしないのであれば、初心者の方はそんな機種を選ばないで下さい。使用者のことに配慮が至らない機種が、初心者の方にとって扱いやすい、信頼して使えるとは到底思えません。もちろん、そもそもどこがメーカーかもわからないような機種は言わずもがなですが、買ってはいけません。

たかがマニュアル。されどマニュアル。マニュアルの見せ方ひとつで、そのメーカー、その機種の信頼性がはかれます。放射線測定器ってのは放射線のみを測るものじゃあないんですw

もちろん、ちゃんとわかってる人、なれてる人は別ですよ。あくまでも放射線測定器を初めて購入しようとしている方へ向けたアドバイスです。また、Mirion Technologies社のように、あえてマニュアルを載せていないなんてケースもなくはないです。これは一種のフィルターがけですね。「初心者は手を出しなさんな」「マニュアルが見たいなら、こちらとしても責任を負ってるわけだし、ちゃんと連絡を取れる人にだけ渡したい」という思いがあるからです。ただ、MT社も信頼性を重要視しているからこその対応でして、このあたりの考え方はメーカーによってまちまちです。

長い余談でした。

話を戻しまして、QR社が上記のように、建物から30~100m離れた5ヶ所以上で云々としているのは、QR社が独自にそんなことを言っているわけではありません。こう言っているのには根拠があります。その根拠とは、

the methodological guidance of the State Sanitary and Epidemiological Inspectorate of the Russian Federation's Ministry of Health MU 2.6.1.715-98 "Implementation of radiation-hygienic survey of residential and public buildings".
[ソース]QR社:「RADEX RD1008」概要

です。国が制定したこのようなガイドラインがあって、それに則ってあのように言っているんです。では、そのガイドラインというのも見てみましょうか。

"ПРОВЕДЕНИЕ РАДИАЦИОННО ГИГИЕНИЧЕСКОГО ОБСЛЕДОВАНИЯ ЖИЛЫХ И ОБЩЕСТВЕННЫХ ЗДАНИЙ. МЕТОДИЧЕСКИЕ УКАЗАНИЯ. МУ 2.6.1.715-98" (УТВ. МИНЗДРАВОМ РФ 24.08.1998)
[参照サイト]http://tegir.ru/ml/k135.html

各所で散見できるのですが、とりあえずここがすぐ見つかったので。

この第二章をご覧下さい。先の5ヶ所、30m、100mといったことが書かれています(2.3.参照)。で、さらに面白いのが「2.5. Объем контроля МЭД внешнего гамма」です。建物の構造と言いますか、世帯数と言いますか、シチュエーションごとにどれくらい測定しろと、こと細かに規定しています。

たとえば、二本松の件にあてはめれば、100世帯以内くらいでしょうから、そのうちの50%以上の世帯の玄関で計300回ほどの測定をすべしとなりますかね。もちろん、日本とロシアの住宅事情は異なりますから、一概にどうとは言えませんけど、ロシアではそれくらい細かく規定されているということです。

たかがマニュアル。されどマニュアル。マニュアルひとつでいろいろなことが学べますw

Amazonの最安値は白バージョンですね。次点がスターシステムズですか。なるほど。

RADEXシリーズ一覧(楽天市場)
RADEXシリーズ一覧(Amazon)

結局、余談の方が長いという…w ついでにもうひとつ余談。「RADEX RD1008」は放射能汚染された紙幣に関する規定にも準拠しています。詳細は以下の記事をご覧下さい。

よく、「RD1008はロシア銀行でも使われている!」なんて宣伝文句を見かけますが、あれはウソだってことですね。単に、この規定に準拠してますってだけです。こんなデタラメな宣伝文句を掲げているようなショップでは購入しないことです。はい。

[関連過去記事]
RD1008は”パンケーキ”じゃないとQR社は言うわけですが
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