椿本 with JAXA が正式コメント ~すべては事業仕分けから始まった

2011年12月14日
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椿本興業の線量計「JX-007」が販売中止になったと、正式なアナウンスが出ました。

[ソース]椿本興業株式会社:簡易線量計の販売一時中止について

この件に関しましては12月9日に当サイトでもお知らせしていた通りです。内容もほぼ同様です。以下の記事もご参照下さい。

[関連過去記事]椿本興業 with JAXA の線量計は販売中止となりました

JAXA側からのアナウンスもありますね。

[参照サイト]宇宙ブランド「JAXA COSMODE PROJECT」について
2009年11月、いわゆる事業仕分けにおいて、JAXAも槍玉にあがります。事業縮小・見直し要求、予算削減等が提言されました。そしてもうひとつ重要な提言事項は、宇宙航空技術を社会にどう還元するか。つまり、夢やロマンだけじゃ金は出せない。実利的に、目に見える形で、社会に役立つようなことをせい!と。こうした要請から「JAXA COSMODE PROJECT」なるプロジェクトを展開し始めます。

宇宙のためのアイディアを地上のためのアイディアに。
「JAXA COSMODE PROJECT」は、日本の宇宙開発から生まれた最先端のアイディアをより多くの日常に届けるために発足された「プロダクト開発プロジェクト」です。
[ソース]JAXA産業連携センター:JAXA COSMODE PROJECTとは

これが具現化されるのは2010年2月。宇宙下着(株式会社J-Space)、機能素材「マキシフレッシュRプラス」(株式会社ゴールドウイン)、教材用太陽光熱複合発電装置「ソーラーツインザラス」(株式会社ミウラセンサー研究所)といったJAXA技術を活かした商品が開発され、これらに”JAXAブランド”が与えられます。

また、2010年10月にはスポーツ衣料用消臭素材 "ムッシュオン"(東レ)、ユニフォーム用消臭素材 "ナノアージュ"(東レ)にも同ブランドが付与されました。

そして、みなさんご存じの通り、2011年10月28日、椿本興業株式会社の簡易線量計にもJAXAブランドが正式に与えられます(剥奪されましたがw)。JAXAと椿本興業は以前から取引があるので、椿本興業がJAXAの技術を利用し線量計を開発しても、何ら不思議はありません。実際、先日の電話に出られた担当者も「以前から共同開発をしていた」と言っていました(この共同開発とは他分野あるいは他製品の共同開発という意味だと思われます)。

その結果できあがった製品が”カメリアメーター”と銘打たれた線量計「JX-007」です。ランプ警告のみの放射線測定器で価格は24,800円。

「エアカウンター」は9,800円です。「SOEKS 01M」「RADEX RD1503」は15,000円ほどです。中小のメーカーも放射線測定器を比較的安価な価格帯で次々とリリースしています。このような状況にあって、”カメリアメーター”はあまりにピントのずれた商品だったと言わざるを得ません。

事業仕分け自体の評価はさて置き、こんなご時世ですから、夢や希望にのみお金は出せない。ある程度、社会にその成果を還元してほしいという気持ちはわからなくはありません。そしてJAXAも一応はその思いを汲んだはず。だけど、結果は宇宙パンツ、カメリアメーター…。

椿本興業およびJAXAの”真意”は定かではありませんが、JAXAは社会にコミットするため「JAXA COSMODE PROJECT」なるプロジェクトを始め、そこで線量計が開発されたという外形的事実から判断するならば、残念ながら、やはり一般社会とは乖離した世界にJAXAはあるんだろうなぁと思ってしまうような結果です。もう少し厳しい言い方をすれば、マーケティング能力と言いますか現状把握能力と言いますか、もっと言えば一般常識に著しく欠けた感覚をお持ちでらっしゃるのだろうと。

さらに、”カメリアメーター”なるものを開発・製造、そして販売しようとしていたその浮世離れした感覚は、もしかしたら宇宙事業全般に対するJAXAの考え方にも通底するものなのではとも疑ってしまうのです。そのことを事業仕分けで指摘されていたはずなのに、やっていることはその逆を行くという、これぞまさに空回り。

さて、椿本興業の発表によりますと、「販売一時中止」だそうです。部品を新たに調達し、動作異常を起こさないものを完成させる。なんてことはやめて下さいね。そんなものができあがっても、おそらくは誰も買いません。数値表示のない、ランプだけの放射線”検出”器に2万円も出したくありませんから。

もし本当に「一時中止」なのだとしたら、それこそJAXAの、椿本興業の真価が問われます。現在、一般市民はどのようなことを不安に思っているのか。どのようなものを求めているか。そして実際にどのようなものがリリースされ売れているのか。こうしたことを綿密に調査し、スピーディーに次作を作り上げて下さい。

これは単なるいち線量計の話ではありません。このように考えることはすなわち、今後、宇宙開発事業をどう進めていくかということにも関係しています。

宇宙のロマンを語るのもいい。だけど、国民が何を求めているのか、それにどう応えればいいかを考えることも大切なことだと思うんですよ。さて、いろいろ策は講じてらっしゃるようですが、少しばかり落ちついて、宇宙だけではなく世間も見てみてはいかがですか?JAXAさん。せっかくの技術がもったいないですよ。
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