「MiniTrace」とSAPHYMOまとめ。なのか?w

2011年10月14日
関連ワード:コラム , history , SAPHYMO ,
※追記:コメント欄もぜひご参照下さい。とても有益な情報をお寄せ頂いてます。

カタログにまとめようとしたのですが、カタログとしてまとめづらい!w そういうわけで、SAPHYMO社と同社製品である「MiniTrace」シリーズを普通の記事として簡単にまとめてみたいと思います。日本ではあまり目にしないんですけどねぇ。でも、なんか気になる機種ですw

■ドイツのGenitron Instruments社から始まった歴史

MiniTrace_000.jpg 「MiniTrace」シリーズはもともとはドイツのGenitron Instruments社(以下、Genitron社)が製造・販売していました。そして、1995年、同社はフランス電力公社と協力し、フランス内にも法人を設立します。これをきっかけにフランスの販売業者・SAPHYMO社と共同で販売経路を拡大していくのですが、2002年、Genitron社はSAPHYMO社に吸収合併されます。さらに、2008年、名実ともに吸収合併は完了し、ここにGenitronという名前は消え、すべてはSAPHYMO社という名称で統一されます。

なぜこのような歴史を振り返ったかというと、「MiniTrace」シリーズには「GENITRON」というロゴのついたものと、「SAPHYMO」というロゴがついたものがあるからです。この差は上述のような歴史に由来するものと思われます。

[ソース]
Genitron Instruments GmbH
- from Instrument Manufacturer to Systems Integrator -
is now a part of the Saphymo Group of Companies
http://www.genitron.de/download/Profile/PR-GI-Saph_e.pdf

■「MiniTrace γ」のスペックがややこしい

「MiniTrace γ」の概要書(PDF)を4種類見つけました。しかし、4種とも内容が微妙に違いますw

[参照]
01.Genitron:MiniTrace γ
02.SEIKO EG&G:Mini-TRACE γ 【ガンマドーズレートメータ】
03.SAPHYMO:「MiniTrace γ」概要書(フランス語版)
04.SAPHYMO:「MiniTrace γ」概要書(英語版)

具体的に言うと、線量率のケタ数が違っていたり、エネルギーレスポンスが違っていたり、消費電力(=使用時間)が違っていたり、感度や方向特性が掲載されていたりされていなかったりします。それぞれの概要書通り、本当に微妙に違うものなのか、あるいはどれかが間違っていたり、不正確だったり、端折ってたりするのかは不明です。Genitron社時代のものと現在のもので若干違っているのか、フランス本国用と輸出用で異なるのか…。実際の使用において困るほどの差はなさそうですが、気にはなりますねw

■ボタンの数

「MiniTrace γ」には大別すると2モデルあります。「S10」と「S100」です(フランス語版概要書では「MGS10」と「MGS100」)。線量率範囲、感度などが違うようです。また、Genitron社の概要書によると、「SkyLINK-system」「ShortLINK-system」といった別オプションと組み合わせることでデータを遠隔転送できる「Radio version」というものもあるようです。これにはアンテナがついています。

また、「MiniTrace γ」にはオレンジ色(ボタンふたつ)と赤(ボタンひとつ)の2種類があります。お寄せ頂いた情報によるとオレンジ色が「S10」とのことですが、公式サイト等にはそのような説明が一切見あたりません。

もしオレンジ色が「S10」だとすると、「S100」よりボタンがひとつ多いわけでして、スペック表、概要書だけではうかがい知れない両者の差があるかもしれませんね。

MiniTracegamma_001.jpg MiniTracegamma_002.jpg

ちなみに、「MiniTrace β」というパンケーキ搭載のガイガーカウンターもあるのですが、こちらもボタンがひとつのものとふたつのものがあります。両者ともに色は青です。また、「MiniTrace β」にも2モデルあり、ベクレル表示の「B-30」とcps表示の「C-10」があります。もしかしたら「B-30」はcps表示もできるかもしれませんが、概要書等を読む限りは不明です。そして、「B-30」と「C-10」の差がボタンの数の差でもあるのかどうかも不明です。おそらくは「B-30」がボタンふたつなんでしょうかね。

MiniTracebeta_001.jpg MiniTracebeta_002.jpg

なお、フランス語版の「MiniTrace β」概要書にはcps表示モデルしか掲載されていません。あー、そうか。フランス語版に載っているのはcps表示モデルでボタンがふたつ。ということは、「B-30」がボタンふたつ、「C-10」がボタンひとつと、そんな単純な話でもなさそうですね。

[参照]
SAPHYMO:「MiniTrace β」概要書(フランス語版)
SAPHYMO:「MiniTrace β」概要書(英語版)

■ランプの有無

こうしたモデルの違い以外に、さらに、「ランプ」の有無という違いもあります。PCかなにかとの接続を意味するようなランプがついているモデルがあるのです。じゃあ、ボタンふたつバージョンにランプがついているかというとそんな単純ではなく、ボタンがひとつであろうとふたつであろうとランプがあったりなかったりします。

MiniTracegamma_003.jpg MiniTracebeta_003.jpg

左は「MiniTrace γ」の赤でランプあり。上に掲載した同機種にはランプがありません。右は「MiniTrace β」のボタンふたつバージョンのランプあり。ボタンの数とランプの有無は関係ないし、Genitron社製にはランプがあるとかそういうものでもなさそうです。PC接続はどれでもできそうなので、「SkyLINK-system」と関係がある?? よくわかりません(^^;

なんだかややこしいですねw 表にまとめてみます。

モデル名 ボタン数 ランプの有無
MiniTrace γ S10 オレンジ(?) 2つ 有・無
MiniTrace γ S100 赤(?) 1つ 有・無
MiniTrace β B-30 2つ(?) 有・無
MiniTrace β C-10 1つ(?) 有・無

■なぜ日本で流通しない?

ネット上ではたまに見かける機種です。「MiniTrace γ」もいいですが、「MiniTrace β」なんて、パンケーキなのにこんなにコンパクト。すごくシンプルだしデザインもそこそこいい。もっと流通してよさそうなものなんですけどね。

と思うようなものは、だいたいメーカーが販売ルートを絞っていたりするんですよねぇ。CANBERRAなんかもそうですし。とにかく売れればいいとは思ってないんでしょう。自社製品をバラ撒いても、膨大になったユーザーに対して万全のサポートができない。自分の手で負えるだけ出荷する。こうして自社および自社製品への信頼性を保とうとしているのだと思います。勝手な想像ですが。

まあ、細かなスペック等は、上記の各概要書を読めばわかることですし、今回はこんなアプローチでSAPHYMOと「MiniTrace」シリーズを紹介してみました。結局、わからないことだらけでしたけどw
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コメント一覧

137. 2011.10.14
あらゆる計測器が品薄&暴利だった夏前、なんとか手に入れられたのがこの機種でした。買ったのはγの方で、10mSv/hまで計れるオレンジストライプのやつです。Hp*(10)の空間サーベイ用です。
http://up3.viploader.net/pc/src/vlpc009176.jpg

測定レンジの下限は0.5μSv/hからとなっていますが、0.01μから表示は可能です。動作時間は単3電池2本で2000時間となっています。感度は5500カウント/uSvhとなっていますが、そんなGM管はないので、5500はCPHだと思います。CPMなら90ちょいですかね。エネルギー補償なのでそんなものでしょう。校正証書がついていて、249μSv/hのCs137で248μSv/hを表示した、とあります。この値からしても家庭用ではありません。アラームは200μ/500μ/1m/2mSv/hでそれぞれ音程を変えて鳴ります。赤外線通信機能があり、アラーム設定はPCから変えられるそうです(設定ソフト別売)。

電源ON後1秒で値が表示されます。MODEボタンを押すと、平均値が誤差率付きで表示され、もう一度押すとリアルタイム表示に戻ります。低感度GM管故にフラつきがありますが、やや高めの値ながらA2700やTA100と似た傾向を示すことが多く、SOEKS 01Mよりもちゃんとした値を表示します。

防水は本体のみでIP44、ゴムプロテクター付きでIP67となっています。
138. 2011.10.14
詳細なコメントありがとうございます。

> Hp*(10)の空間サーベイ用
Hp(10)ではなくH(10)ですかね(^^;

> 感度は5500カウント/μSvh
あ、よく見るとそうなってますね。おっしゃる通り、60で割ったカウント数がcpm、と考えるのが妥当かもしれないですね。なるほど。

> エネルギー補償なのでそんなもの
何気ないひとことですが、私にとってはとても奥の深いひとことです。エネルギー補償について勉強中なので、このひとこと、頭の片隅に入れておきますw

> MODEボタンを押すと、平均値が誤差率付きで表示され、
> もう一度押すとリアルタイム表示に戻ります

こんなことをお聞きするのもアレなんですが、だとすると、ボタンひとつのモデル(S100とか?)には平均値、誤差率表示がないのでしょうか。あるいはボタンひとつでこれらの切り替えができるようになっているのか…。もしご存じでしたら、お教え頂けると助かります。

それと、これももしご存じでしたらうかがいたいのですが、

・「MiniTrace γ」はオレンジ(ボタンふたつ)が「S10」、赤(ボタンひとつ)が「S100」であってますか?

・「MiniTrace β」のボタンひとつとふたつの違いは「B-30」「C-10」の違いに符合するのでしょうか? あるいはまったく関係のないことなのでしょうか。

・本文中「ランプの有無」に掲載した画像の通り、外部との接続を示唆するようなランプがついているモデルもあります。これはなんでしょうか…。アップして頂いた画像にはそのランプはついていませんが、赤外線は可能。ということは、このランプは…。

すみません、なんかいろいろと…。
142. 2011.10.14
取説から判断すると、S100モデル(飯舘村か南相馬市の職員が持ってました)では平均値モードは無いです。あちらは2500カウント/uSvh、つまり40CPM/uSvhそこそこの感度ですし、mSv/h表示ということもあって、平均化の必要がないと判断されたのかもしれません。S100モデルのアラームは最低2mSv/hで鳴るものなので、一般人には縁がありません。

スイッチの横のランプのように見えるものは、IrDAの送受信部です。IrDAが有る/無いバージョン、無線バージョンなど、バリエーションがいくつかあるようです。一般流通品ではなく、原発関連企業の大量発注が前提でしょうから、そのあたりの細かなところは、発注時に担当者が聞いてくるのかなと思います。IrDAの下の黒丸はアラームのスピーカー穴で、ランプではありません。写真映りのせいでしょうか、手持ちのものでは両方ついています。

βについては高価(25万円)ということもあり、購入を考慮しなかったので、全然調べていません。μSv/h表示が可能なモデルがあるはずなので、2つ目のボタンはその切り替えと思います。

電源を入れると、一瞬アラームが音程を変化させつつ鳴ります。アラームの動作確認を兼ねてるようです。このため衆人環境で電源を入れるのは困難です。4段階のアラームは77dB/30cmで、線量により音程が変わります。IrDAによる制御でアラームはOFFにでき、さらにカウントパルス音を出すこともできるようです。

誤差率はデフォルトで3σの値を表示します。IrDAによる制御で1σ、2σにも設定可能だそうです。平均値は動作中にリセットできます。液晶には緑色のバックライトがあり、任意でONにすることができます(ONにすると動作時間が短くなります)。
143. 2011.10.14
重ねてありがとうございます。疑問点がほぼすべて解消されました(^^ 

βはそんなするんですねぇ。

とてもシンプルな機種だと思っていたのですが、何気に奥が深いといいますか、なかなか面白いですね。

> 電源を入れると、一瞬アラームが音程を変化させつつ鳴ります。

私の所有している某機種もこのタイプのものがあるんですが、なんかもうこちらが慣れたと言いますか、結構どこでもやっちゃってますw

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