2011/10/07

GM管が2本だと何がいいの?(ギブアップw)

関連ワード:コラム
非常に長い記事です。その割に内容は不確かですw 詳しい方、ぜひお読み下さい。そしてぜひご教授を!

テーマは「GM管が2本でなにがいいの?」です。RADEX RD1706についても触れてます。

■GM管の感度ってなんだ?

感度を英語にすると「Sensitivity」。よく見かけるのが

Gamma Sensitivity Co60 22cps/mR/h

などの表記です(ちなみにこれは「SBM-20」というGM管です)。

[参考サイト]GS Tube.com:SBM-20
http://www.gstube.com/data/2398/

わかりやすくcpm/μSv/hに換算(1R = 0.01Sv)すると、

132cpm/μSv/h

です。意味は「1μSv/hのγ線(コバルト60)を照射したら1分間に132カウントする」。これがなぜ感度と言われるのかというと、同じ1μSv/hの放射線でも、1cpm/μSv/h は、1分間に1カウント。100cpm/μSv/hは、1分間に100カウント。どちらのGM管がより多くのカウントを拾えているかというと後者。つまり、数値が大きければ大きいほど感度がいいというわけです。

■GM管が2本だとどうなる?

では、GM管が2本だと感度が上がる??

GM管「A」とGM管「B」を搭載した機種があります。GM管は両者とも100cpm/μSv/hです。1分間、1μSv/hを照射したとします。

GM管:A → 100カウント
GM管:B → 100カウント
表示  → 1μSv/h

では、GM管「A」だけではどうでしょう。

GM管:A → 100カウント
表示  → 1μSv/h

おや? 1本でも2本でも結果は同じです。1μSv/hを照射されれば100カウントだし、表示するのは1μSv/h。まさか、GM管2本だったら周辺の線量が2倍の2μSv/hになるわけでもなし、GM管がそれぞれ200カウントできるようになるわけでもなし。つまり、GM管が2本だからといって、感度が上がるわけじゃなさそうです。

たとえばこちら。

[参考サイト]
Open Geiger Project
http://opengeiger.com/post/9455261067

”MADな実験”とありますが、いえいえ、とても有益な実験ですw こちらはGM管を4本並列につないでいるのですが、カウントされているのは4本分の和。だから表示は0.52uSv/hとなり、1/4すると0.13uSv/hになります。4本分数えて、1/4すると本来の値に戻るというだけですから、少なくともGM管の感度がよくなっているわけではありません。

まあ、よく考えてみれば当たり前ですよね。GM管が「おっ、俺と同じGM管が隣に! いいとこ見せなきゃな。がんばって感度上げよっ!」なんてなるわけがありませんw

■GM管の感度は何で決まる?

「ただ、総体として見た場合、拾える放射線は多くなるわけで、1本ずつという意味では感度は上がっていないけど、2本で1本と考えれば感度が上がっていると言えなくもないのでは?」

なるほど。見かけ上、感度が上がっていると。確かに。

ここで考えたいのが、GM管によって感度が異なるというのはなぜか。つまり感度は何によって規定されるのかです。まず、参考になりそうなサイト、資料を2点紹介します。

この管(※SBM-20)を採用した理由は、(中略)実用的な感度(有効容積7.1cc)を有しており、複数本の並列動作で感度の向上ができて、SI単位系線量当量であるシーベルトへの簡易な換算データとその利用実績があることなどです。反面、全金属管なので、α線の検出はできません。

  ☆☆校正ができなければ、何の信憑性も無い、という意見がありますが、もともとガイガーカウンターは放射線の有無を定性的に識別する道具であり、また「感度」という概念も存在しません。感度に相当するものは管の有効容積と管の材質のみに影響を受け、よほど異常な回路で動作させない限り、得られるカウント数が大幅に異なることもありません。

ただ、ケースに組み込んだ場合のケース材質、放射性物質からの距離には強く依存するため、運用上、注意を要する。(後略)

[参考サイト]
UTSUNOMIYA.COM:放射線量計を作ろう vol,1
http://www.utsunomia.com/y.utsunomia/geiger.html

理想のGM管

・薄窓:α、βを取り込む。窓の大きさがβ線の検出感度。遮蔽で検出能力を調整(薄いアルミでαを止める、厚いアルミでβ止める、など。)

・γ線は透過力が高いので実はそのままでは検出されない。陰極にγ線があたってβ線に変わると、検出可能。γ線の検出効率は陰極の面積厚みに関係(薄い=βをとる。厚い=γもとる)

ハンディタイプ(個人用)

・サイドウオール型 窓なし。陰極の厚みでβ、γの入り方が違う。つまり、機種ごとにβ線の寄与が違う。さらに蓋などで、β線の寄与を調整

・パンケーキ型 β線は得意だが、γの感度今ひとつ。実はγは窓と逆からきたものを拾っている(※とても参考になる箇所だったので本旨からはズレますが引用しておきました)

[参考サイト]
KEK:理想のガイガーカウンターvs私のガイガーカウンター
http://research.kek.jp/people/nojiri/GCM611.pdf

前者の「有効容積7.1cc」という部分を一応説明しておきます。SBM-20のスペックを見てみると、こう書かれています。

Effective Length 91mm
Effective Diameter 10mm

半径0.5cm、長さ9.1cmの円柱ですから、容積は

0.5^2×π×9.1=約7.1cm^3=7.1cc

となります。SI(国際単位系)的にはcm^3のほうがいいのかもしれませんが、ガスを充填したりするので、GM管ではccが使われることが多いんですかね。ここらへんはちょっとよくわかりませんが、どちらであっても間違いではないので蛇足の蛇足ですね。失礼しました。

話を戻して、ふたつをまとめますと、

・GM管の材質、陰極の厚み
・GM管の有効容量

これらが感度に影響を与えるようです。

■感度が上がると何がいい?

では、感度が上がってどのようなメリットがもたらされるのでしょうか。これを考える上で、とても参考になる資料がありました。それは「RADEX RD1706」の公式サイトです。同機の説明を丁寧に見てみます。ロシア人の英語なのでちょっと変な箇所もありますがw

There are two SBM20-1 type Gejgera-Muller counters of hard beta and gamma radiations in RADEX RD1706, which technical characteristics can be observed here.

It allows to reduce the time of observation from 40 till 26 seconds and to improve precision of indications.

The range of indications is essentially expanded (100 times in comparison with RADEX RD1503); RD1706 can register the value of a doze rate till 999,0 μSv/h, thus time of observation smoothly reduced from 26 to 1 second what is necessary for the stuff operating with ionizing radiation sources.

[ソース]QUARTA-RAD:RADEX RD1706
http://www.quarta-rad.ru/en/products.php?id=7&PHPSESSID=ddd38d79951f94f1b540913c8cfe82f5

(意訳)RADEX RD1706は、ハードβ線、γ線を感知する2本のSBM-20-1 GM管を搭載しています。RADEX RD1706に関する技術的な特徴はこちらをご参照下さい(※おそらく「here」の部分は以前、リンクになっていたと思われます。ただ、現在はリンクにはなっていません)。

2本のGM管を搭載したことによって、測定時間が40秒から26秒に短縮し、測定値の精度が改善されました。

また、測定範囲が格段に広がりました(「RADEX RD1503」と比較して100倍)。具体的には、RD1706は999.0μSv/hまでの線量率を測定することができます。そして、線量率に応じて測定時間は26秒から1秒までスムーズに変化します。測定時間が短縮することは電離放射線源を扱う作業員には必要な機能でしょう。

※記事の最後に[訳に関する注釈]をつけています。ご参照下さい。

全体を俯瞰して眺めると、この文章はGM管が2本になったことでどう変わったか、GM管2本のメリットは何かを表していると思われます。そのメリットはまとめると以下の3点です。

・測定時間が短縮される
・精度がよくなる
・測定範囲が広がる

まず「精度」(※注釈をご参照下さい)について。たとえば、普通の(同一の)ガイガーカウンターでも、複数台で測定し、それらを平均化して見れば誤差は少なくなります。あるいは、一台であっても測定回数を増やせば、それだけ正確な測定ができるようになります。確率あるいは統計の話ですね。

複数台用意したり複数回測定したりする代わりにGM管を2本にする。こうすることで、より多くのカウントが得られ、確率論的、統計学的に精度の高い測定が行えるようになるわけです。

ちなみに上記概要の下に「Technical and work specifications」という部分があります。ここにこんな記述があります。

RADEX RD1706 evaluates the value of beta and gamma radiation by the means of two SBM20-1 type Gejgera-Muller counters and displays the indications in µSv/h on LCD.

(訳)RADEX RD1706はSBM20-1タイプのGM管2本の平均値によりβ線、γ線の放射線量を概算し、LCD画面にμSv/hで測定値を表示します。

2本のGM管の平均値なんですね。

次に「測定時間の短縮」について。仮に感度が2倍であれば、同じ”量”を測定するのに、かかる時間は1/2ですみます。たとえば、100cpm/μSv/hのGM管で100cpm必要だとします。1μSv/hを照射した際、GM管1本であれば1分かかりますが、GM管2本なら30秒ですみます(50カウント×2本)。

まあ、このことは上記「精度」の話と表裏一体なんですけどね。たぶん。量を基準に考えれば時間に差が出る、時間を基準にすれば量に差が出る、と。

■β線がキーワード?

では、「測定範囲が広がる」というのはどういうことでしょう。えーと、よくわかりませんw SBM-20の動作範囲は0.014~144mR/h。Svに換算すると1R = 0.01Svですから、上限は1.44mSv。1503も併せて並べてみます。

SBM20:~1.44mSv/h
1503:~9.99μSv/h
1706:~999μSv/h

よく考えてみると、1503の上限が低すぎる感じもするのですが、1706になると劇的に広がり、GM管の上限近くまで測定できるようになります。GM管が2本になった結果、ここまで測定できるようになったということは、考えられるのはこれ。

不感時間(or 分解時間)を2本でうまく分散している

どうでしょうか。この推察は。で、不感時間を互いにフォローしあってるからこそ、測定範囲が広がると。

そもそも、999μSv/hなんて数値は完全にβ線を視野に入れてのことだと思われます。β線はγ線に比べて検出効率がいいですから、なおさらSv数値は高まります。

しかも、検出効率がよすぎると逆に数え落としが増え、計数率が上がらなくなります。そして最終的には飽和します。

実はここにこそ、GM管2本の本質が隠されている気がするのです。その証拠に、GM管を2本搭載した機種を並べてみると、

Pripyat RKS-20.03(PKC-20.03)
РКСБ-104(RKSB-104)
PKC-107
RADEX RD1706
RADEX RD1008
STORA-TU RKS-01(PKC-01)
JUPITER SIM-05(юпитер сим-05)

※「STORA-TU」はまだ当サイトでは取り上げていません。ECOTESTの製品でGM管を4本(!)搭載。ベータ粒子束密度を測定できます。

JUPITER以外はすべてβ線が絡んできます(RADEX RD1008もちょっとニュアンスは違うのですが)。

よく考えてみましょう。GM管、ガイガーカウンターの特徴は「β線の検出効率がいい」です。検出効率がいいのなら、わざわざ2本にする必要はないはずです。つまり、精度や時間は関係ないんじゃないかと。

検出効率の悪いγ線がよく拾えるようになる? いえいえ。そもそもγ線の検出効率なんて数%です。これが2倍になったところで、たかが知れています。そのためだけに2本にするのは、逆に効率(費用対効果)が悪いでしょうw

ちなみに、じゃあなぜγ線しか測定できない「JUPITER SIM-05」が2本のGM管を搭載しているかというと、これはスピードと精度を上げたいからでしょう。2.5秒モードがそれを物語っています。確か、私の記憶が確かなら「JUPITER SIM-05」は軍用にも使用されていたような…。違いましたっけ? もしそうだとしたら、スピードが求められるというのもよくわかります。

さて、ここでもう一度、SBM-20のスペックを見てみます。

[SBM-20 スペック]
Minimum Dead Time 190μs
Working range 0.014 - 144mR/h
Gamma Sensitivity Co60 22cps/mR/h

単純に144mR/h分のカウントが上限と考えます。

144mR/h=22cps×144=3168cps

1秒間に3168カウントが上限です。

不感時間の単位をあらかじめmsにしておきます。

190μs = 0.19ms

1カウントに与えられる時間の上限は、

1s/3168count=約0.0003s/count=0.3ms(=300μs)/count

「GM計数管には数100μsと長い分解時間がある」といった記述もよく目にしますから、この数値もまったくのデタラメとまでは言えないでしょう。で、おそらくは動作範囲(Working range)に不感時間(dead time)も含まれているでしょうから、不感時間は0.3msのうちの0.19ms。ということは、

0.19/0.3=0.6333...

約63%が不感時間となります。

[参考サイト]
私編 雑科学ノート:● 表面分析の話 ●  不感時間という妙なもの
http://hr-inoue.net/zscience/topics/analysis/analysis.html
UTSUNOMIYA.COM:放射線量計を作ろう 番外
http://www.utsunomia.com/y.utsunomia/extra.html

こんなに不感時間が長いと、特に計数率が上がってきたら、正味値と比例しなくなります。もちろん、こうならないための工夫(プログラム的に、物理的/回路的に)は施されているでしょう。ただ、それにも限界があります。そこで、プログラム的に数え落としを補正するだけでなく、GM管を2本搭載することにより、片方が不感時間(or分解時間)であっても片方でカウントできるようにしておく、と。

しかも、ここまで計数率が上がるというのはβ線あってのこと。つまり、β線を検出・測定しようとすると、とんでもなく計数率が上がる=数え落としが増える=プログラム的に補正する=それにも限度があるのでGM管を2本にする。

・・・

途中ですが限界です。そして、上記の考察が正しいかどうかもまったくわかりません。この記事執筆に取り掛かって約1ヶ月。進みません。素人・独学の限界ですw

■まとめ ~私の推察

GM管を2本にする一般論的なメリット

感度(総体として)が上がる=
・精度がよくなる
・測定時間を短縮できる

実際の測定器(プリピャチ等)がGM管を2本搭載している理由

・上記に加え、数え落としを少なくしようとしている??

GM管が2本であることと不感時間(あるいは分解時間)は関係があるのか。なぜベータ粒子束密度を測定できる機種ばかりがGM管を2本搭載しているのか。このあたりの疑問に答えられる方、ぜひぜひご教授を! 指向性とかも関係ある??

[参照サイト]
ガイガーカウンターの製作・ソフトウエア編
http://www.asahi-net.or.jp/~se1m-nitu/html/Geiger_Counter_Program.htm
CT5002 dellbee's blog
http://ct5002.blog40.fc2.com/page-3.html
http://www.youtube.com/watch?v=a4ifIm6o7v8
科学管をさらに楽しむには:自作『GM管』
http://www1.icnet.ne.jp/nandemo_lab/page-24.html
wikipedia:ガイガー=ミュラー計数管
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AC%E3%82%A4%E3%82%AC%E3%83...
radrad_wiki:GM計数管
http://www5.atpages.jp/~rad/index.php?GM%B7%D7%BF%F4%B4%C9
Yahoo!:Two SBM-20 GM Tubes In Parallel-> Conversion-Factor?
http://tech.groups.yahoo.com/group/GeigerCounterEnthusiasts/message/33868
ちっちゃいものくらぶ:全長260mmの大型GM管 J106を試してみました
http://tiisai.dip.jp/?p=808

[訳に関する注釈]
「indications」は可算名詞ですので、表示される具体的なもろもろの数値を指し示すと思われます。よって、ここではわかりやすく測定値と訳しました。なお、40秒というのはRD1503の測定時間を指しています。

「precision」は専門用語でもあります。一般名詞としては「精度」「精密」「正確」といった意味ですが、測定におていは「精度」です。似た言葉に「accuracy(正確度)」「Uncertainty(不確かさ)」「error(誤差)」などがあります。これらの違いを説明しだすと、とんでもないことになります。そして、とても難しいことでもあります。以前にチラっと説明したことはあるのですが、これに関してはまた日を改めて。ここではなんとなく「精度」といった感じで捉えておいて下さい。

「essentially」は非常に難しいです。英語的にというよりも、物理的、科学的な話になるかもしれません。つまり、「本質的に」という意味であれば、裏を返せば見かけ上ではなく、計算上でもなく、”本質的に”測定範囲が広がるということになります。

ただ、もしそうなら、なぜGM管の本数が増えることで測定範囲までもが広がるのか。ここがよくわかりません。よくわからないので、とりあえず「格段に」としておきました。前後の形容詞や動詞を強調する際にも「essentially」なんて単語がよく使われるので。

最終段落の「;」は文章のつながりからすると具体化を表していますから、わかりやすく「具体的には」と訳しました。「register」は辞書によると「特定の示度を指し示す(indicate a certain reading)」とありましたので、「測定」と訳しました。もしかしたら専門用語で何かあるかもしれません(よく見かける単語なんですよねぇ。絶対に何かあると思うんだけど…。詳しい方がいましたら、ぜひご教授を!)。

問題は「thus」。一種の誤訳(ロシア語→英語)ですね。そのまま「このように」「したがって」と訳しては、まったく意味が通じません。測定範囲が広がることによって測定時間が短縮されるなんて、原理的にありえませんからw

これはおそらく「according to」的な意味合いで、しかも「thus」の前の部分に対して「according to」でしょう。つまり、ロシア語では「according to this」的な表現だったのに、これが「thus」と訳されてしまったと。そこで、誤訳をも意訳し「線量率に応じて」としてみました。

「reduced」は正確には「減少」という意味なのですが、文章全体を踏まえ、あえて「変化」と訳しました。前段で1503との比較で「40秒から26秒に減少した」とあります。このことと混同されかねないので。
関連記事

コメント

非公開コメント

向上するのは…

「精度」じゃなくて「分解能」かと…

Re: 向上するのは…

コメントありがとうございます。

とてもとても興味のあるご指摘です。分解能という観点から、もう少し調べ、あるいは考えてみたいと思います。そして、もしよければ、もう少し詳しくご説明頂けませんか? GM管が2本だとなぜ分解能が向上するのか。さらに、

> 「精度」じゃなくて

ということは、精度(正確には誤差?)は向上しないということでしょうか。

ぜひぜひよろしくお願いしますm(_ _)m

※「Make:」ってなんでしょう…(^^;

すばらしい解説

引用ありがとうございます。私のサイトで記事にはしておりませんが、個人的にメインで使用している自作機はSBM-20X4のもので、実際につくってみるまではわからないことだらけでした。わかっていることは有効管容積が4倍になるので、単純には4倍の計数率になることくらいなのですが、実際に作ってみると予想とはずいぶん違う結果になりました。
その前に単純に4本並列にするのと、個別の駆動回路(個別のアノード抵抗)を持つものでは意味や結果が違います。
ご指摘にように高線量時には個別駆動が圧倒的に有利で、ガイガー管の1発の放電は、アノード抵抗からの供給される電気
ではなく、管そのものの静電容量に蓄えられた電荷が放電しているので、単純に並列では放電している管が、他の管の電荷まで消費してしまい、電圧が回復するのに本数分の時間がかかってしまいます。これに対して個別駆動ではそれぞれが
個別に動作するため、相対的にみて回復時間は全体では1/4に
(4本の場合)なります。つまり単純に7.1cc×4=28.4ccになっているわけではないのです。
これが何を意味するのかあまり考えずに作ってみたのですが、一言で言えば「解像度」が向上したということになります。分解能と言ってもよいかもしれません。
また、並列動作させると単純並列か個別駆動かに関わらず、
管の形が円柱ではなくなり、指向性が生じ、ボディーにも工夫するとさらに指向性が強まり、解像度の向上に役立っているのかもしれません。線源に向けるだけで反応があるのですから・・。ただ空間線量の取得には向かなくなります。

私もDP-5V、プリピャチ、SIM-05を資料として持っていますが、それぞれの性格の違いがおもしろくてたまりません。どれもSBM-20なのですが、プリピャチは単純並列、SIM-05は個別駆動+β遮蔽です。指摘の通りSIM-05は高速にマイクロシーベルトを得ることに特化しています。

長文失礼致しました。

Re: すばらしい解説

コメントありがとうございます。

まずは、なんもわかってない素人の戯言に近い考察に対し、ここまで丁寧にコメントを頂けたことに感謝致します。また、その内容もとても示唆に富み、勉強になりますm(_ _)m

頂いたコメントを自分の中で咀嚼し、さらに考察を深めるには、少々の時間が必要となりそうです。日を改めてまたご返信差し上げます。

なるほど。並列と個別駆動の違いかぁ。参照サイトにも挙げた動画につけられている「OR」という部分がそれに関連しているのか…。難しいですね(^^;


あ、いつもいろいろと参考にさせて頂いております。定確度測定なんて、目からウロコでした。ありがとうございます。

補足します

言葉足らずでしたので、補足します。
分解能、解像度の件ですが、放射線は見えない、聴こえない、匂いもないのように、肉体には検知できないもので、ガイガーカウンターは、それを耳や目に検知できる形に変換する道具です。
例えば検出音のパリパリいう音ですが、15CPM程度では感覚的な尺度にあてはまらない(増えたか減ったか、何が影響をおよぼしているのかの関連がつかめない)ものが、60CPMでは増減が飛躍的に認知しやすくなります。この記述では人間の生理的な知覚について書いているように見えますが、1本のものを4倍速で聴いたものよりも変化が把握しやすくなっています。指向性が加わったためかもしれませんが、詳細は不明です。(SIM-05ではこれを利用できるようにこれみよがしの音が
出ます)
もう一点は時間分解能の問題で、私は自分のサイトで定確度計測(手法そのものは古くから使われている)を推奨しています。この手法は放射線のようなポアソン過程な現象を扱うには非常に都合が良く、安定した計測値が得られるのですが、反面、計測に時間がかかってしまいます。これは複数回計測して平均値を求める場合でも同様なのですが、この時間の消費が、時間分解能を悪化させます。バックグラウンドといえども、やはり時間とともにゆらぎが存在し、わずかな線量を計測する場合、無用に時間を消費してしまうと、被測定物からの線量なのか、バックグラウンドなのかの識別が困難と
なってしまいます。ところが、時間分解能が向上すると、その識別がたやすくなったりします。例えばバナナとみかんをカリウム40で識別するような場合のはなしですが。




連投ごめんなさい

つい仕事先での仕事の合間に急いで書いたもので・・・。読み返してみると、なんだか無愛想でひどい文章で、申し訳ありません。おまけに補足まで・・。なんかあせってました。
サイトにはときどき見に来てました。専門ではないとおっしゃってますが、なかなか客観的で訳文がとても参考になります。今後ともよろしくお願いいたします。

Re: 連投ごめんなさい

いえいえ、とんでもないです(^^;
大変助かります。ありがとうございます。

「精度」と「分解能」

えーと、すみません。宇都宮さんが降臨なされて、もう私のような似非電子工作者の出る幕など1ミリもないわけですが…
一応未練がましく補足などさせて頂きます。

精度、つまり、その示値の「確からしさ」は、管の本数を増やしても、上がるものではありません。「誤差率」と言い直すと理解の一助になるかもしれません。一般論として、計測における各段階の誤差の要因が解決されないので、誤差率は変わらない、若しくは悪化します。勿論、諸条件(運?)が良ければ、上がります。
では何が上がるのかというのが「分解能」で、これはとても単純な話になります。同一条件で計測した場合に、結果として出力してよい数値の「細かさ」が上がる、ということです。1uSv/h=200CPM が 400CPM になれば、単純に言えば1分間カウント計測で0.005刻みまでだったものが0.0025まで刻める、ということです(実際はもう少し検討が必要と思いますが)。これを普段の生活ではざっくりと「精度」といってしまいがちですがこの示値が細かくなったことがイコール値の正確さを担保するものではないので、これは「精度の向上」ではありません。(たとえば全体がずれている場合など(系統誤差)。)
「分解能が上がる」ことのメリットに関しては、GCCさん御自身が本文中に書かれている内容、及び、宇都宮さんのコメントのとおりですので、割愛。(私など及びもつきません)

計測器としてのGM計は、他の計測器と若干事情が異なる(生データが離散値→アナログ値に換算、という奇々怪々!)ため、特有の問題があるかもしれません。
統計処理等を含んだ計測技術一般の学問的側面も不勉強ゆえフォローできません。申し訳ありません。専門の方の参戦を期待したいところです。


あと、敢えて補足するならば、GM管の本数を増やすメリットはおそらく低線量(+線形領域)の場合に限られます。管が飽和に近付いたり、パルス読取(マイコン)の処理が追いつかないような条件ではむしろ本数を減らしたり、感度(計数率)の悪い管に切り換えたりする(例:SbM-20→SI-3BG)ほうがよいようです。この管の切り換えや切り離しなどは勿論手動でやってもよいのですが、計測されたカウント数によって自動制御もできたりするわけで、管を複数にするメリットが更に出てきたり。単純にでかい管(容積の大きい管)を使用するよりもダイナミックレンジを広げることができたりするわけで、想像以上に奥が深いです。



「Make:」というのはオライリーから出てる主として電子工作系のDIYマニア雑誌ですが、雑誌読者でなくてもおもしろい工作好きを「Maker」と呼んでクラスタリングしたりするようです。


以上、グダグダで申し訳ありませんが、閃きのきっかけにでもなればと、とりとめなく。

Re: 「精度」と「分解能」

コメントありがとうございます。しかもこんなに丁寧な…。

現在、頂いたコメントをもとに再調査中です。ただ、調査していてわかってくるのが、この件に関しては、頂いたコメント以上に詳しく解説してくれているサイトが他になさそう、つまり、このコメントこそが一番詳しい解説なのでは…ということですw

もう少し整理して、改めてご返信差し上げます。ありがとうございました。

明晰です!

本当に明晰で、語学堪能。うらやましいです。さらに私がカウントそのものにこだわり、安易にシーベルト変換を推奨しない説明にまでなっていて、うれしくなってしまいます。
しかし、いくつかの歴戦の名機を調べたり、自作していくと予想だにしなかった結果や、設計技法の投入があったりして、おもしろくてたまりません。
私のサイトの製作記事そのものは、この2ヶ月間ほとんど更新していませんでしたが、近日中に非常に興味深い内容に突入します。ご期待下さい。
それとはあまり関係なくJupiter SIM-05の記事もアップいたします。ぜひ閲覧下さい。

また、ストロンチウムが検出される事件なども報じられていますが、こうなるとシンチレーションからガイガーへの再評価がおこるかもしれませんね。今後ともよろしくお願いいたします。


rss001.gif twitter001.gif fb001.png Google+