2011/09/27

「Inspector」のタイマーカウント/PLUSとAlertのマニュアルの違い

本題は「Inspector」におけるタイマーカウント。

のはずだったのですが、調べてみると、とても興味深いことがわかりました。細かいことですし、どうでもいいことかもしれませんがw、まあ、お暇な方は読んでみて下さい。時間のない方は後半の本題、タイマーカウント部分をどうぞ。

で、その細かいどうでもいいことというのはズバリ、Inspector PLUSとInspector Alertのマニュアルの差です。こんなこと検証してるのって私くらいでしょうねw この広い世界の中で。アホですねw

大前提として、Inspector PLUSとInspector Alertの中身は同じです。メーカーが違うだけです(デザインというか色も違いますが)。前者はS.E. International社、後者はInternational Medcom社がメーカーです。

ではさっそく長い前置きを始めましょうw

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■PLUSとAlertのマニュアルの違い、メーカーの思い

Inspector PLUSとInspector Alertのマニュアルを読み比べてみると、基本的にはまったく同じなのですが、細かなところで表現の仕方が微妙に異なります。その差が一番顕著に表れているのが線量率モードの説明部分です。少し長いですが両者の該当部分を引用してみます。

[参考サイト]
S.E. International:Inspector PLUS公式ページ
International Medcom:Inspector Alert公式ページ
※マニュアルは公式サイト上にあります

【Inspector PLUS】

Operating in Dose Rate Modes

Caution: 1. Be sure there is no obstruction between the detector window and source being monitored/surveyed. 2. Avoid making measurements with the GM window facing the sun, it could affect your readings.

When the mode switch is set to mR/hr μSv/hr or CPM CPS, the numeric display is updated every three seconds.

At low count rates, significant changes in the radiation level displayed can take up to 30 seconds to stabilize. For details, see “Autoranging” in this chapter.

CPM (or CPS) and total counts are the most direct methods of measurement; mR/hr (or μSv/hr) is calculated using a conversion factor optimized for Cesium-137. This mode is less accurate for other radionuclides unless you have calibrated the Inspector+ for a similar radionuclide.

The most immediate indicators of the radiation level are the audio and count light. It takes 3 seconds before a change is shown on the numeric display unless you are using the Total/Timer mode.

【Inspector Alert】

Operating in the Dose Rate Modes

When the mode switch is set to mR/hr μSv/hr or CPM CPS, the numeric display is updated every three seconds.

At low count rates, significant changes in the radiation level displayed can take up to 30 seconds to stabilize. See “Operating Ranges and Response Times” in this chapter for more information.

CPM (or CPS) and total counts are the most direct methods of measurement; mR/hr (or μSv/hr) is calculated using a conversion factor optimized for Cesium-137, so this mode is less accurate for other radionuclides, unless you have calibrated the Inspector Alert for a specific radionuclide using an appropriate source.

It is more appropriate to measure alpha and beta activity using CPM than using mR/hr. Conversion for alpha and beta emitters is calculated differently, and the Inspector Alert’s reading in mR/hr may not be accurate.

The most immediate indicators of the radiation level are the count light, the audio beep, and the alert. It takes three seconds before an increase is shown on the numeric display in the dose rate modes.

まず冒頭。PLUSには注意書きがあります。Alertにはありません。一見、PLUSのほうが親切のように思えます。だけど、Alertは注意書きをマニュアルの冒頭にかためて置いています。この差が、PLUSのマニュアルは読みづらい、Alertのマニュアルはスッキリしていて読みやすいという結果をもたらしていますw

読みやすさの差は、たとえば段落の付け方、見出しの目立たせ方にも表れていて、全体的にマニュアルとしての質もAlertのほうが優れていると感じます。

次に「CPM」で始まる段落。ここが最大の差かもしれません。もちろん、内容自体は同じですが、Alertのほうがより丁寧です。うがった読み方をすれば、PLUSでは”核種(radionuclide)”で校正するのかとw まあそうなんですけど、正確に言えば核種は種類であって、校正に用いるのはその核種を含む”線源(source)”です。Alertのほうが正確に記そうとしています。

私がひねくれているだけじゃないという証拠としてw、Alertの次の段落を見て下さい。αとβが出てきますね。言っている内容自体は繰り返しなんですが、より具体的に説明しています。α、βではCPMを使えと。異なる校正なんだからmR/hrじゃ正確に読み取れないよと。この文章を読んで、もう一度、「CPM」の段落を読んでみて下さい。より深く理解できませんか? そういう意味で、やはりAlertのほうが親切です。

最後に、これまた細かいところなんですが、最終段落に注目です。両者において、明らかに異なる単語が使われています。PLUSでは「change」、Alertでは「increase」。これは意味がまったく違いますね。前者は「”変化”が表れるまで3秒かかる」と言っています。後者は「”増加”が表示されるのに3秒かかる」と言っています。

言い方に違いはあっても、もちろん機械的な中身は同じです。そして、Inspectorを使っている方はご存じの通り、増えようが減ろうが、3秒ごとに表示は更新されます(無変化というのもありえますが)。ですから、この差はシステムの差ではなく、両者がそれぞれ何を言いたいか、その”気持ち”の差が込められています。

この文章で一番言いたいことはタイムラグですよね。カウント音とランプがもっとも即座に反応を示し、放射線の存在なり強度なりを私たちに教えてくれます。一方、画面に表示される数値は3秒遅れです。画面表示にはタイムラグがあるということです。

このラグが問題となるのは放射線量が増えているとき。危険度が高まっているわけですから、当然、すぐさまそれを知らなければいけない。だけど、画面表示は3秒遅れてます。

つまり、意訳するとこうなります。

PLUS「変化(change)があっても画面に表示されるのは3秒後です」

Alert「危険が迫ってきていても(increase)、画面を見ていては3秒遅れます」

どうでしょう。単語がひとつ異なるだけでも、こちらに伝わってくる真意、気持ちがまったく異なりますね。もちろん、どちらがいいとか悪いとかじゃありません。ある意味、正確に記しているのはPLUSです。一方、Alertは危険性を重視します。両メーカーの考え方の差が表れていて、とても興味深いです。

いい悪いはありませんが、全体的に読みやすいのはAlertのマニュアルです。また、もしかしたら私が気づいていないだけで、PLUSのマニュアルにはAlertよりも詳しく書かれていることがあるかもしれません。興味のある方、すでにInspectorを使っている方、両者を読み比べてみてはいかがでしょうか。

■本題w:タイマーカウント

まあ、すでに使っている方にとっては当たり前のことなんですが、一般的な廉価版のガイガーカウンターにはタイマー機能がついていないものも多いので、ガイガーカウンターに詳しくない人は「なんだこれ?」と思うかもしれません。

というわけで、このタイマーカウントを使う状況を具体的に紹介してみたいと思います。「Inspectorで何ができるの?」なんて思っている方には参考になるかと。

これですよね。他の放射線や放射線測定器の解説サイトはまったく逆なんです。説明が(^^;


誤解を与えたくないのであまりこうは書きたくなかったのですが、まあいいでしょう。とりあえず、もしかしたら放射線汚染があるかもしれない野菜を用意します。

まず、何もない状態でタイマーを5分にセットします。これでカウントを開始(ピピピ!)。5分後(ピピピ!)、カウント総数が表示されますから、メモしておきます。これを3~5回繰り返して平均値(A)を出します。この数値が”バックグランド”ですね。5で割ればcpmになりますが、それはまたあとで。

次に、野菜を置き、その上にInspectorをかざします。そして同じようにタイマーを5分にセットして、カウント開始。5分後に表示されたカウント総数をメモ。これを3~5回繰り返して、平均値(B)を出します。

(B)から(A)を引き、5で割ります。

(B - A) / 5 = C

この(C)が野菜由来のcpmとなります。(C)が大きければ大きいほど汚染されていて、(C)が小さいつまり(B)と(A)に差がなければ汚染がない(or 少ない)ということです。

いくつか補足が必要です。

まず、上記例では5分と書きましたが、放射線による汚染具合が少ないと思われるなら長く設定し、汚染具合がひどいと想定されるなら短くして下さい。

次に、野菜を例に出しましたが、食品の汚染測定を推奨しているわけではありません。もちろん、測定することに意味がないとは言いません。測ってみて、自分の目で汚染を確かめることはとても重要です。ただ、ここで何も検出されなかったからといって汚染がないとは限りません。食品内部の汚染は表面検査だけではわかりませんし、もしかしたら表面汚染があったとしても検知できていないだけかもしれませんので。そして、仮に検知できたとしても、その数値はあくまでも目安です。

危険度の目安にはしていいと思いますが、安全性の目安にはしない方がいいと思われます。もし、本当に食品の汚染が気になるようでしたら、それなりの機器(ベクレルモニタ)を使用するか、あるいは専門の機関で調査してもらって下さい。

なお、野菜ではなく普通に空間線量をタイマーカウントで測定することももちろん可能です。特に比較的線量の低いバックグランドを測定する際は、cpm、Sv/hモードよりもタイマーカウントのほうがいいでしょう。そしてそのことは、マニュアルにも書かれてあります(「Establishing the Background Count」参照)。
こうして見てみると、とても自由度の高い機種だということがわかります。cpm表示もその一例ですし、タイマー機能もそう。普通は何秒と決まっていますからね。自由に時間を設定できるのはありがたいです。

ただ、これをちゃんと使いこなすには、それ相応の知識も必要となります。電源を入れればハイ終了、というわけではありませんので。ですから、放射線について詳しくないのに、いきなり一台目にInspectorを購入するのはおすすめできません。RADEX RD1503でもSOEKSでもSW83Aでも何でも結構です。とりあえずまずは初心者でも簡単に扱える機種を使ってみて、それでもし不満が出てきたら、こうしたハイスペックな機種の購入を検討して下さい。

最後に、ちょっと面白い動画をふたつ(プラスおまけw)紹介します。ひとつはInspector Alertのタイマーカウントで空間線量(バックグランド)を測定している動画です。ピピピで始まり、ピピピで終わる。そして10分ですから395カウントを10で割り、39.5cpmとの測定結果をレポートしています。ああいう台があるといいですね。

そしてもうひとつは、先日紹介した独立行政法人 放射線医学総合研究所の放射線(測定)動画から、「測定に共通する事項(時定数)」というタイトルの動画です。実にわかりやすい、とても勉強になる動画です。使用されているのはアロカの「TGS-136」というガイガーカウンターですし、Inspectorのタイマーカウントとは意味合いが異なるのですが、放射線測定に対する理解を深めてくれる動画だと思います。ぜひじっくりとご覧下さい。



最後におまけ。こんな動画もありました。実際の測定風景は1分20秒あたりから始まりますが、まあ始めから見てみて下さい。こういうことをしちゃいけませんよという例ですw

[動画]Next-up
http://videos.next-up.org/EhsTvNews/Fukushima_Radiation_Tokyo_et_Pub_TEPCO/19_06_2011.html

・直置きはよくないですね。撮影用にそうしてるのかもですが。私たちがこうして測定する際はビニール袋なんかに入れておきましょう。

・これはSv/hモードではなくcpmモードもしくはタイマーカウントで測るべきでしょう。だから冒頭に「年間52mSv」なんて計算になっちゃいますw 知識のない人を煽るにはいい動画かもしれませんけど。

ただ、汚染がそれだけあるということは事実(この動画に作為がなければ)。「年間52mSv!チョー危険じゃん!」というのは誤りで、「こんなに汚染されてるところが東京でもあるんだなぁ。気をつけなきゃ」が正解です。



結局、なんのとりとめもない内容となってしまいましたw もし、何かの参考になれば幸いです。
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コメント

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同じく悩んでおりましたが、すっきりしました。<(_ _)>

よかったです(^^
コメントありがとうございます。


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