DP802iを例にGM管の感度の話をわかりやすく

2011年09月19日
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J705_02.jpg

J705γβという中国製GM管があります。感度は10cps/μR/sです。まずは単位をcps/mR/hにしてみます。

10cps/0.001mR/(1/3600)h

10cps/3.6mR/h

2.8cps/mR/h

次に、cpm/μSv/hにしてみます。

1mR = 1000μR = 10μSv とすると、

0.28cps/μSv/h

16.8cpm/μSv/h

これの意味は、

「1μSv/hのγ線(コバルト60)を照射したら、1分間に16.8カウントする」

です。さらに単純化すると、

1分間に1カウントしたら0.06μSv/h。
1分間に2カウントしたら0.12μSv/h。
1分間に3カウントしたら0.18μSv/h。
1分間に4カウントしたら0.24μSv/h。
1分間に5カウントしたら0.3μSv/h。

GM管の感度が低いということは、拾える放射線が少ない。だから、ひとつ拾っただけでもグッと数値が上がります。もちろん、実際はこんな単純な話ではありません。あくまでもイメージとして捉えて下さい(※注1)。

ここで、SBM-20(※注2)というGM管も見ておきましょう。こちらの感度は132cpm/μSv/hです。ということは、

1分間に1カウントしたら0.0076μSv/h。
1分間に2カウントしたら0.015μSv/h。
1分間に3カウントしたら0.023μSv/h。
1分間に4カウントしたら0.03μSv/h。
1分間に5カウントしたら0.038μSv/h。

J705γβに比べて、きめ細かくSvが上昇します。つまり、感度が高いということです。

gc_041.jpg

ところで、DP802iが搭載しているGM管はJ705γβかもしれません(※注3)。そして、DP802iに関しては、こんな感想を目にすることもしばしばです。

「DP802iは同じような数値しか表示しない」

「DP802iは数値が大きくらふつく」

こうしたセリフは皮肉なことに、DP802iがある意味で”正確”であることを物語っています。上述の通り、そういうものだからです。逆に、DP802iがキメ細かくフラつくことなく数値を表示できるとしたら、それこそおかしな話でして、「内部で何かしら怪しげな操作が行われているのでは?」と疑ってしまいますw(※注4)

もう少しちゃんと書きます。

数値が大きくフラつく、同じような数値しか表示しないというのは、DP802iが搭載しているGM管の性能(感度)をそのまま素直に表しています。そういう意味では”正確”です。そこに文句を言うのはお門違いで、もし、その感度に満足できないのであれば、RADEXなりTERRAなり、もっと高感度なGM管を搭載した機種を買うべきです。そもそもDP802iは個人線量計ですから、これで空間線量を測定するということ自体が、少なくとも褒められるべきことではないのですが。

さらに付け加えておきます。蛇足ですが。

DP802iで空間線量を測定するな、とはひと言も言ってません。ただ、もし空間線量を測定するのであれば、以上のことをしっかりと認識しておいたほうがいいと思われます。こうした認識があれば、どうすればいいかもおのずとわかってきます。つまり、これほど低感度なのですから、当然、時間をかけ、何度も測定することが必要でしょう。そうすれば、(あくまでも相対的な話ですが)より正確な測定ができるようになるはずです。

ですから、

「0.08だ。おっ、次は0.12? また0.08! どういうことだ!? この機器おかしいぞ!」

というのは、あまりに…ねぇ(^^;) あるいはこんな風に思うかもしれません。

「そんな説明、ショップはひと言も言ってなかったぞ!」

DP802iに文句は言わず、ショップに文句を言って下さい。そして、購入前に自身が収集した情報量、あるいは知識が十分だったかも省みて下さい。まあ、かく言う私自身も、このサイトを始めた当初はなんにもわかってませんでしたから(今でもw)、偉そうなこと言える立場じゃないんですけどね(^^;)

で、結局、何が言いたいかというと、同じ測定範囲(0.01μSv/h~1mSv/hなど)であっても、GM管の感度が違えば、その指し示している数値が持つ意味合いは異なるかもしれない。そして、低感度のものはそれなりですから、できるだけ正確に測定したいと思えば、それだけ多く測定を行うことが必要。数値がフラついてもそれは当たり前。という今さらながらのごくごく当然のことを改めて言っているだけです(^^;)

DP802iに限らずですが、手頃な価格でそれなりのものを購入しようとしている方。あるいはそういう機種ですでに測定をしている方。ぜひ、参考にしてみて下さい。

※注1:イメージしやすいように、とても単純化して考えています。そして、これはあくまでもGM管の話です。この数値がそのまま放射線測定器の画面に表示されるというわけでもありません。

※注2:SBM-20(あるいはSBM20-1)は、TERRARADEXSOEKSなどに使われている、一番有名なGM管かもしれません。

※注3:見た目が似ているのでそう思っただけで、もしかしたら違うかもしれません。ただ、仮に違っていたとしてもサイズはほぼ同じですし、実際のGM管がなんであろうと、感度はそう変わらないものと思われます。さらに、同じDP802iであってもGM管が違う可能性もあります。

※注4:もちろん、プログラム的にうまいことならして表示してくれる機種もあります。

[参考サイト]
DP802i分解画像
http://ameblo.jp/superb1973/entry-10849574186.html
J705γβ画像
http://www.testmart.cn/instrument.aspx?id=0c6fbe...=44
http://detail.china.alibaba.com/...1069999434.html
http://detail.china.alibaba.com/...1070821875.html

http://www.ecvv.com/product/962349.html
J705に似たJ701だそうです
http://www.crystalradio.cn/bbs/viewthread.php?...=172031
中国製GM管一覧表
http://sew8.com/shexian/hefushe/
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