2011/09/02

ホットスポット探しに最適な「PM1703M」。線量率測定は二の次です

先日、PM1621とPM1703Mの比較記事を手直ししたのですが、PM1703Mを改めてよく調べてみると、これがまたとても面白いんです。

いつものように公式サイトとマニュアルを丁寧に読んでみます。ここに書かれてあることがすべてです。ここに書かれていないことで、もしかしたら間違いとは言えないこともあるかもしれない。だけど、メーカーが言っていることをまずは正しく理解することが第一でしょう。その上でどうするかは使用者の判断です。

■線量率の測定はオマケです

それではまず、公式サイトの概要から。

The tiny personal radiation detectors designed to detect and locate the minimum amounts of the radioactive and nuclear materials. The instrument provides two operating modes: search for the gamma radiation sources and evaluation of the radiation level in mSv/h or mR/h.

(訳)このコンパクトな個人用放射線検出器は、ほんのわずかな放射性物質や核物質を検出し、その位置をつきとめるために設計されています。この機器には2つの操作モードが用意されています-γ放射線源の探索、そしてmSv/h もしくは mR/hの単位での放射線レベルを査定、この2つです。

※「mSv/h」の「m」は「mm(ミリ)」ではなくマイクロの頭文字かな。ロシア系ではよくあるんです、このパターン。

次に、マニュアルの4ページ目。

The alarming ratemeter PM1703 M/PM1703 M-O is designed to search, to detect and to locate gamma-emitting radioactive sources. It may be also used to measure dose rate of collimated Cs-137 gamma radiation.

(訳)アラーム機能付き線量率測定器、PM1703 M/PM1703 M-Oは、放射線源から放出されるγ線を探索、検出し、位置をつきとめるために設計されています。また、コリメートされたCs-137のγ放射線の線量率を測定するために使用することもできるでしょう。

「コリメート」は専門用語です。詳細は省きますがザックリと、一直線に放出された、くらいに思って下さい。校正段階ではコリメートされたγ線が測定器に照射されています。

さて、両者のポイントは意外なところにあります。単語で言うならば、「evaluation」と「It may be also used」。このふたつ。

「evaluation」の意味は「評価、査定」です。そして「may」は許可とか可能性とかのニュアンスです。単語の意味、ニュアンスを最大限に斟酌して、公式サイトとマニュアルの概要をまとめて超意訳をしてみるとこうなります。

(超訳)ある放射線”量”があるとします。これをSvといった単位で計測するのがmesurement(測定)。だけど、evaluationはちょっと違う。その環境の放射線”レベル”がどれくらいかを、とりあえずSvといった単位でevaluation(評価)する。これがPM1703Mです。まあ、線量率測定としても使えるけどね。

あくまでも、第一義的には放射性物質の検出と位置の特定。これがPM1703Mの使用目的です。その際、線量率も表示されるので、線量率の測定にも使えます。といった感じなのです。いわゆる一般的にイメージされるサーベイメーターとは、ちょっと性格が異なりますね。

もうひとつ、以上のことが正しいとわかる決定的な文言が2箇所にありますので、引用しておきます。「firstly」「allows」「differ」あたりに注目して読んでみて下さい。特にふたつめの段落。非常に面白いですねぇ。これ、PM1703Mだけの話じゃないですよね。

The PM1703M / PM1703M-O is intended firstly for efficient searching, detection and location of gamma radiation sources. It is not energy compensated and so it has a high sensitivity at low energies (33-300 keV, see Appendix), which allows efficient detection of nuclear materials.

The PM1703M /PM1703 M-O is calibrated at collimated 137Cs radiation only. Thus, its readings in the dose rate mode may differ from readings of energy compensated dosimeters; this is not considered to be due to the improper operation of the instrument.

とにかく、線量率の測定は二の次ということがよくわかると思います。「間違っちゃあいないんだけどさ」なんて感じですかね。最後の文のニュアンスはw

ああ、そういえば。公式サイト上には「H(10)」という表記が一切ありません。マニュアルには出てきますが。わざとこうしているのだと思われます。その証拠に、Polimasterの他の機種のスペック表にはほとんど「H(10)」「Hp(10)」といった表記があります。

なぜ、PM1703Mの公式サイト上のスペック表には「H(10)」という表記がないのか。それは、「H(10)」つまり、線量率というものが二の次だからです。

スペック表の項目の並び順にも注目したいですね。他の機種では線量率範囲は上のほうに記されますが、PM1703Mの場合は感度やエネルギー範囲より下に線量率範囲が記されています。これも意図的にそうしていると思われます。なぜなら線量率なんて二の次だからw 重要な項目のほうが上にきている、ということですね。

■ホットスポット探しに最適

マニュアル全体を読み通してみて、PM1703Mの最適な使い方を具体的に説明してみます。あくまでも私の解釈ではありますが、まあ、だいたい当機の設計意図にはあっていると思います。

まず、バックグランドですね。PM1703Mの大きな特徴です。これを設定してベルトに装着。ホットスポット探しに出かけます。

ある公園。歩いているとアラームが鳴り始めます。設定していたバックグランド(および閾値)からの変化を感じ取っているようです。放射性物質を検出したということですね。そこで、疑わしい場所、たとえば地表などに本体を近づけてみます。ゆっくりと動かします(毎秒10cm以内)。放射性物質に近づけば近づくほど、検知音が増えていきます。

ああ、このあたりがホットスポットだな、ということがわかりました。そこで一応、目安として線量率を見てみます。

万全を期したいなら、ここでβ線測定できるサーベイメーターを用意し、地表の汚染度合を測定します。あるいはシンチあたりで空間線量を測定するのもいいでしょう。

これがPM1703Mの、現状の日本における、一般人が使用するとしたらという仮定に基づいた正しい使い方ですw

同じシンチでもMr.GammaやRadiとはまったく違いますね。機種が異なるというのは、単に性能が異なるということではありません。場合によっては使用目的自体が異なります。

「PA-1000なんて、しょせんおもちゃ。ちゃんと測定したいならPM1703Mでしょう」

口が裂けても私にはそんなことは言えません(^^;)

たまたま今回はPM1703Mを取り上げましたが、どんな機種においても同じことです。「どれを買おうか」そう思っている方はまず、公式サイトとマニュアルを読み、正確な使用方法、使用目的を知って下さい。異なる機種を比較するのはそれからです。

ネット上の口コミ、噂、実測している様子などを見るのも最後。とんでもないことをしている動画がどれだけ多いかw ちゃんとわかった上でそうするのは自由ですが、それを参考にして購入するのはちょっといただけません。

確実に言えることは、公式サイトとマニュアルにしか書かれていません。それ以上のことは、使用者の判断に委ねられているだけです。だけど、その”判断”は正しい知識・理解があった上でのこと。それがない間違った使用は、単なる”メチャクチャ”です。

[参考サイト]
Polimaster:PM1703M(公式)→マニュアルもあります

「PM1703M」一覧(楽天市場)
「PM1703M」一覧(Amazon)
「私が買おうとしている機種は公式サイト見あたらないんだけど」

「買わないとマニュアルついてこないんだけど…。ネットを探しても見あたらないし」

そんなものを買おうとしているんですか。上級者ならいざ知らず…すごいですね(^^;)

最後に余談。マニュアルを読むなら、まず原語(英語など)で読むことをオススメします。日本語に翻訳されたマニュアルがデタラメなことも多いです(^^;)
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