2011/08/29

【ベータ粒子束密度考察】その8 具体例編 ~Pripyat RKS-20.03

ちょっと衝撃的でした。

Pripyat(プリピャチ)に限った話ではないかもしれませんが、ベータ粒子束密度を測定する際、よく、「β線+γ線からγ線を引く」なんて言いますよね。私もそう言ってきました。だけど、少なくともPripyat PKC-20.03においては、この言い方は正確ではないかもしれません。こんな単純な操作であるにも関わらず。

まず、前置きを。

ロシア語のマニュアルをデータでも入手したのですが(ウクライナ語、か)、画像化されていて翻訳するのが非常に困難です。そして、英語翻訳版もネット上では見つけられませんでした。簡易と称するマニュアルには程遠い日本語”マニュアル”、英語”マニュアル”なら見つけられたのですが、デタラメで使いものにならないものばかりです(^^;) もちろん、商品についているマニュアルであればちゃんとしているものもあるかもしれませんけど。

そんな中、動画で比較的信頼性が高そうな英語マニュアルの一部を見つけました(最後の[参考サイト]参照)。ですから、以下の記事はこの英語マニュアルらしきもの、ウクライナ語のマニュアル(雰囲気だけw)を元に執筆しています。正確性は保証できません。

さて、最初に簡単にPripyatのベータ粒子束密度測定方法を紹介します。

1.「β」にスイッチを入れ、裏蓋をしたまま測定(A)
 ↓
2.そのまま裏蓋を外して測定(B)
 ↓
3.手動で(B)から(A)を引く=ベータ粒子束密度(C)

簡単ですw

ただ、操作は簡単なのですが、これが実に奥深い。

では、ひとつ質問。

裏蓋をしたまま測定した(A)ですが、これはいったい何でしょう。

γ線?

回答としては不十分です。

γ線の粒子束密度?

おしいけど違います。

正解は、”なんちゃってγ線束密度”w

最終的にはベータ粒子束密度=β線を測定するわけですから、このモードにおいてはβ線源が校正に使われているはずです(実際にSr90 + Y90で校正されています)。ということは、(A)もβ線源校正に基づき測定しているということになります。

(A)がγ線らしきものであることは事実。なのにβ線の校正に基づき測定するというのはおかしいですよね。けど、これが実はおかしくない。

つまりこういうことです。(B)には(A)も含まれていますから、(B)をもう少し詳しく見てみると、

(B)=(C)+(A)

で、(A)を引くということは、

{(C)+(A)} - (A)

です。

ということは、結局、減算する(A)は何だっていいことになります。校正がめちゃくちゃでもいいんです。なぜならどうせ引くんだから。上記過程の「2」と「1」において、同じ条件で(A)が”測定”されてさえいれば、(A)は何でもいいということです。

おそらくはβ線用に校正されたプログラムでもって測定された”なんちゃってγ線束密度”。これを差し引き、ベータ粒子束密度を算出していたのです。とても興味深い事実ですね。

またなんか適当なことを、と思われるかもしれませんがw、少々の根拠はあります。ロシア語マニュアルと英語版マニュアルを読む(見る)限り、裏蓋をしたままの測定においても、後に差し引きする場面においても、決して「γ線」的なタームが使われていません。たとえば「quantities of radioactive contamination of the surface」といった表現が使われています。また、(A)の数値も(B)の数値も単位がついていません。これらの数値は暫定的なものだからです。

巧みに単位を省くことで、目安としての数値である、としか暗に言わない。そして、引き算をした瞬間に、「particle/min・cm^2」という単位を出してきます。なるほど、単純なことではありますが、うまくやっていますね。

と、ここで、ひじょーーーーに重要なことを思い出しました。「PM1405」のマニュアルの一文です。ザックリ言うと、γ線とβ線の合算をして、その後、γ線分を引くわけですが、合算を表示させる部分に、こんな説明があります。

On the LCD is indicated the counting rate resulting from joint β-γ-radiation by β-flux density modification.

(訳)ベータ粒子束密度用の調整(≒校正)に基づいたβ線とγ線の合計から得られたカウント率を表示しています。

何気なく読んでいたこの一文が、どれほどの重要性を持っていたか、ようやく理解ができました。そして、Pripyatにおいて推察していた”なんちゃってγ線束密度”も、あながち間違いではなさそうだと思わせてくれます。

毎度のことですが、最後にお決まりの文句を言わせて下さい。

当記事は”メモ”程度の内容です。信用しないようにw そして、もし誤りがありましたら、ぜひ、ご指摘をお願いしますm(_ _)m

[参考サイト]
PRIPYAT_1991_RED
http://www.youtube.com/watch?v=E1dKBLhealU
「cpm」なんて言っちゃったりして、説明自体はアレなんですが(^^;)、英語マニュアルっぽいものをチラリと見せてくれます。これをコマ送りで見て参考にしましたw

ウクライナ語マニュアル原本(スキャン画像)
http://www.boxloader.net/small/index.php?dwn=19620
ダウンロードキーは「pripyat」。有志の方がアップしてくれていました。ファイルは拡張子が「djvu」なので、別途ビューアーが必要になるかもしれません。ベータ粒子束密度の部分だけでいいので、どなたかぜひぜひ翻訳をお願いします! 欲を言えば英語訳にして頂けると…嬉しいです。

Polimaster「PM1405」公式(マニュアルあり)
http://www.polimaster.com/products/electronic_dosimeters/personal/pm1405/
英語もしくはウクライナ語、最悪、日本語でもいいのですが、マニュアル(完全版/pdf、txtなど、内容がコピペ可能なもの)がどこかに落ちていたら、ぜひお教え下さい!
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