2011/08/18

校正のすべて ~サーベイメーターと個人線量計の校正体系

関連ワード:コラム , 基礎知識 , 規格 , 資料 ,
JISZ4511
照射線量測定器,空気カーマ測定器,空気吸収線量測定器及び線量当量測定器の校正方法
http://www.jisc.go.jp/app/pager?id=53538
※(「Z4511_01(PDFファイル:1254KB 別ウィンドウでリンク)」を)クリックで(PDFが)開きますが、結構時間がかかります。「フリーズかな?」と思わず、そのまましばらく待ってみて下さい
※トップページから検索しないと見られないかもしれません。JISの横暴です。

周辺および個人線量当量標準の設定に向けた調査研究(森下雄一郎)
http://www.nmij.jp/public/report/bulletin/BOM/Vol6/4/V6N4P215.pdf


上級者から言わせれば「何をいまさら」てな資料でしょうが(^^;)

基本的なことではありますが(でも難しいw)、とても重要なことが書かれています。とりあえず、私も含めた初心者の方は「ああ、周辺線量(=「場の線量当量」)と個人線量の校正ってやっぱ違うんだな」くらいの雰囲気は掴めるのではないかと…。

↓クリックで拡大します

実用測定器(サーベイメーターなど)の校正体系

gc_026.jpg

個人線量計の校正体系

gc_027.jpg


JISですから、あくまで日本の話ですけどね。ぜひ、こちらの記事もご参照下さい。

JISで見る個人線量計とサーベイメーター(放射線測定器/狭義)
関連記事

コメント

非公開コメント

信じてはもらえないでしょうが著者です。
防護レベルの計測はいろいろ難しいのです。
今は治療レベル(数10分の全身被爆で死亡)
の放射線計測をやっていますがこちらは比較
的明瞭です。

Re: タイトルなし

直々のコメントありがとうございますm(_ _)m

とても参考になる資料で勉強になりました。
素人の読みですから、すべては理解できていませんが(^^;

ひとつ質問があります。フラックスに関してです。

「フラックスは線量を表す単位としては直感的に理解しやすい単位」(P216)とありますが、ここがどうもわからないのです。端的に言いますと、いま現在、私たち一般市民がフラックスで測定する意義がどこにあるのか、という疑問です。

たとえば、「TERRA MKS-05」「RADEX RD1008」といった人気機種があります。これらはベータ粒子束密度を測定できます。

私たちがこうした機種を利用する際、たとえば「10/cm^2・minか。ここは大丈夫」「ここは40/cm^2・minだから比較的汚染がひどいのかな」なんて感じで使っているのが実情なのですが、いまいちピンときません。なぜピンとこないかというと、Svと違って人体への影響を表すものではないからです。

そもそもこれらの測定モードの”正確性”はどうなんだという問題はさて置き(^^;)、ベータ粒子束密度を私たちが測定する際、その数値をどう評価すればいいのでしょうか(抽象的な言い方ですみません)。上述の通り、相対的な数値の大小を見て、汚染度合をなんとなく推し量るという使い方でいいのでしょうか。

もう少し的を得た感じに質問できればいいのですが…。すみません。

もし、お時間がありましたら、ご教授頂けると幸いです。



関係のない話ですが、私は”名前”や”肩書”で判断しません。コメントを頂けたあなた様がどなたであろうと、私は気にしません。ご本人様であっても、そうでなくても、それは私にとっては些細なことです。

誰であろうと、私はその人の”言葉”を見ます。その言葉が正しいと思えば信じますし、間違っている、納得がいかないと思えば疑問を投げかける。ただそれだけです。そしてこのことは、ネットに限った話ではなく、現実の社会においても同じだと考えています(ネットと現実って違うのか?w)

もちろん、お気づかい頂き、あるいはご遠慮なさっての「信じてはもらえないでしょうが」というコメントだと理解はしていますが、ひとこと大変な生意気を言わせて頂きました。すみません(^^;

追記:たとえばベータ粒子束密度からベクレルに換算するとか、そういうことも機種によっては可能だと言われているのですが、どうもイマイチ…。腑に落ちませんで…。

こんばんは

どういう量が理解しやすいかは、その人のバックグラウンドに大きく依存するだろうと思います。僕は物理専攻でしたが、物理ではフラックスのような、ある面積を単位時間にどんな粒子がどのようなエネルギーで通過し、その結果何が起こるかといった反応全般の情報が必要になります。一方で放射線治療や放射線防護で使われているSv,Gyなどの量は細胞なり臓器がどれくらいダメージを受け、結果どうなるかを知りたい量と言えます。例えば非常に透過性の高い放射線を考えた場合、物理ではごくまれに起こる反応も重要なので何個粒子が通過した結果反応が起こったかを知るのは重要です。しかし治療や防護ではごくまれにしか起こらない反応は人間の健康には無意味で、細胞にダメージを与える放射線に興味が集中します。もう一つ例を出すとベータ線は連続スペクトルになります。これはベータ崩壊で同時にν粒子が放出され、これらの二つのエネルギーの和が一定になります。ν粒子は透過力が非常に高いので、ニュースでもまったく問題になりません。いっぽうベータ線は極端に透過性がないので、高いエネルギーを細胞に局所的に与えることになります。外部被爆では皮膚に、内部被爆では臓器へのダメージが大きいので注意が必要になります。
放射線の単位は基本的にはコンピュータによるモンテカルロ計算が必須になっていますので、単位の変換は測定条件を仮定できる状況であれば可能です。が、TERRA MKS-05などがちゃんと変換をやっているかは僕にはわかりません。
答えになっていれば幸いです。


Re: こんばんは

とても丁寧なご回答を頂きまして、ありがとうございます。

> どういう量が理解しやすいかは、
> その人のバックグラウンドに大きく依存

私たち一般市民が、日常生活において、たとえば公園や庭などで放射線を測定する。その際、ベータ粒子束密度で測定するのには、どのような意味合いがあるのか。そこにどういうメリットがあるのか。あるいはまったく無意味なのか(専門家の研究レベルでしか意味がないのか)。ここをお聞きしたかったのですが、

> ベータ線は極端に透過性がないので、
> 高いエネルギーを細胞に局所的に与えることになります。
> 外部被爆では皮膚に、内部被爆では臓器へのダメージが大きいので
> 注意が必要になります。

ここでハタと気付かされました。そうか。なるほどな、と。どちらかというと、β線は透過力が低い=簡単に防げるから外部被ばくはγ線、といった印象が強まっていましたが、そうじゃなかったと思い出しました。

ロシア銀行ではベータ粒子束密度も測定するのですが、
http://geigercounter001.blog55.fc2.com/blog-entry-762.html
単に「まあ、汚染の拡散を防ぐためだろう」と思っていました。でも、紙幣は直接手で触れますから、被ばくのリスクも高まります。つまり、直接肌で触れること(あるいはもちろん内部被ばくも)が問題なんですね。

ひるがえって考えてみますと、たとえば公園の砂場、家庭菜園をしている庭先などでは放射性物質(β線)と肌が直接触れる可能性もある。こうしたところではベータ粒子束密度を測定する意味もなくはないのかなぁと。

ただ、それでもやはり、その表示された数値をどう考えるかという疑問は残ります。

「10/cm^2・minは低いの? 20/cm^2・minなら危険なの?」

というところがやっぱりピンときませんw もちろん、そう考えること自体が少しズレているということは承知しているのですが。

TERRAやRD1008ではベータ粒子束密度が測定できます(”正確性”はともかく)。せっかくこうした機能がついているのですから、活用してみたい。なんかの役に立つんじゃないだろうか。そう思うのですが、このことについて私たちにわかりやすく解説してくれる人が皆無。独学でしかわかってない私としてもほとほと困っている次第です(^^;


私たちが知りたいのはβ線がなんなのか、フラックスとはなんなのかといった抽象的なことではありません(もちろん学ぶ必要もありますが)。そうではなくて、いま手にしているこのTERRAで、この砂場を測った時に表示された、この「20/cm^2・min」という数値をどう考えればいいか。これは危険なの? 危険ではなくても注意が必要? まったく危険性はなく安全なの? という具体的なことなんですよねぇ。

こんばんは

こんばんは。
大変懸念されていることはわかります。しかし放射線量がどのくらいあると危険かどうかといったことは残念ながら僕には答えようもないのです(僕には生物学の知識が全然ないのです)。僕は茨城の海岸で魚釣りをしますが食べていいものか非常に悩ましくも思っています。
この検出器がどのように校正されているのかは不明ですが、フラックスが20/cm^2・minとわかったとしてもベータ線のエネルギーが分からないので、エネルギーがニ倍違えば、細胞に付与されるエネルギーはニ倍程度変わってくるので、細胞に対する影響も変わるんだろうなと推察されます。ただチェルノブイリ用だということなので、チェルノブイリで主要な核種を特定した上で校正しているのかもしれませんね。チェルノブイリではストロンチウムがかなり放出されたようですが、福島では少なくとも陸上にはそれほど降っていないようです。
あまり役に立つ答えができなくって申し訳ないです。

Re: こんばんは

いえ、とても参考になります。ありがとうございます。

TERRAの場合は(そしてこのレベルのほとんどの測定器がそうなんですが)、ベータ粒子束密度は90Sr+90Yで校正されています。たとえば、TERRAの公式サイトのスペック表にはこう書かれています。
http://www.ecotest.ua/terra/index.php?page=03&lang=en

もちろん、測定しようとしているのがどんな核種なのか普通はわかりませんし、Sr90なんてあることのほうがまれですし、あったところで測れるのかどうかなんてわからないのですが(^^;

専門家の方ですら答えられないことを、素人があれこれ考えようとしたところでわかるはずもなく、「ああ、それほど難しいことなんだな」と認識させられたというだけでも、ためになりましたw

なかなかこうして専門家の方にお話をうかがう機会もないので、とても勉強になりました。また、わけのわかってない素人の質問にも、これほどご丁寧にお答え頂き感謝致します。


rss001.gif twitter001.gif fb001.png Google+