FRISK(フリスク) とAERA(アエラ)と個人線量計

2011年08月15日
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「Radiation-Watch.org」という非営利プロジェクトによって販売されている「ポケットガイガーKIT for iPhone」、通称「FRISK」。この機器自体も面白いのですが、それよりも、同プロジェクトの同製品に関する「Professional guide 専門家向け資料集」が非常に興味深いです。

まず目につくのが冒頭の「Hp(10)」です。当サイトによくお越し頂いている方なら、もうおわかりですね。ここが最重要ポイントです。

「Fig.1-1 Measurement range using Cs-137」というグラフがあります。カウント数とSvの関係がグラフで表されています。ザックリ言うと、これを元にカウントをSvに変換させているのが放射線測定器です。

Hp(10)という基準に基づき、Cs-137を使って測定したら、○cpmは○Svに相当する。

これが大前提です。ですから、Hp(10)で校正された個人線量計では空間線量≒周辺線量は測れません。もし周辺線量≒空間線量を測定したいなら、H(10)で校正されたサーベイメーターを使用しなければいけません。

さて、8月末に”FRISK”はSv表示にも対応するとのことです。もし、このテストを元にSv表示させるのであれば、FRISKは個人線量計ということになります。

ところが、「radiation-watch.org」の「私たちのミッション」を読むと、目標とする最終成果品を「スマートフォンによってネットワークに接続される簡易サーベイメーター(空間線量計)」としています。とするなら、このテストは最終目的からすると少しズレています。

このテストがそのまま製品に反映されるというわけでもないのでしょうけど、このようなトンチンカンなテストをしている、そのことに関して何の説明もないというのが…どうなんでしょう…。

今後、どうなっていくのか見守っていきたいと思います。

※”FRISK”に関しては、これまでもいくつかの情報をお寄せ頂いておりました。ありがとうございます。

2011.08.18追記:すみません。よく考えてみるとこれ、検出器は半導体なのに「ポケットガイガー」なんですね。ショップが知識もなく半導体式を「ガイガー」というのとは訳が違います。たとえ「※ガイガーミュラー管は使用していないので、厳密には「ガイガーカウンタ-」ではありません。(便宜的に「ガイガー」と呼んでいます)」なんてエクスキューズを記載していたとしても。ちょいと違和感を抱いてしまいます。

2012.02.24追記:Duch Metrology Instituteの証明書ではH(10)となっていますね。このテストとは別のものなのか、あるいはHp(10)という記述が誤りなのか…。よくわかりません。
「個人線量測定機関協議会」という機関がありました。とても興味深い資料がたくさんあります。「環境モニタリングサービスについて」の「2.1 モニタコードの選定」から、特に参考になる記述を転載させて頂きます。

個人モニタリングと環境モニタリングでは、モニタの校正や基礎データの取得試験においてファントムを使用した照射を行うか空気中で照射するかによって、各フィルタの示すレスポンスが大きく異なります。従って、個人線量測定用のモニタを空間線量測定用として使用した場合は、線量を過小評価することになるので特に注意が必要となります。

※註:ここでの「ファントム」とは「個人線量計校正用ファントム」のことを指すと思われます。

[参考]校正用ファントムの変更に係るご案内
aera_001.jpg こんなグラフがあるとの情報も頂きました。

私自身はAERAを読んでいませんし、このグラフがAERAに掲載されたものとまったく同一かどうかもわかりません。以下は、もしこれがAERAに掲載されていたものと同一のグラフだとするならば、という仮定からの話です。

そもそもこのグラフ自体がとてもわかりづらいのですが(^^;)、もし、単純に「放射線測定器の種類によってこれほど測定結果に差が出る」という主旨のグラフだとすれば、この比較検証自体がどうかと…。東大の助教授が監修していてこれですか…。そうですか…。

「DoseRAE 2」「BS2010」「JB4020」は個人線量計である。だから「TCS-161」等のサーベイメーターと同じように測定しても、当然、測定結果は異なる。個人線量計の正しい使い方を知っておきましょうね。という主旨であれば納得できるのですけどねぇ。おそらくはそうではないんでしょうね(^^;)

放射線測定器同士を比較すること自体には意義もあるでしょう。しかし、「TCS-161」と「RD1503」を比較することと(シンチサーベイメーターとGMサーベイメーターの比較)、「TCS-161」と「DoseRAE2」を比較すること(サーベイメーターと個人線量計の比較)は、まったく意味合いの異なる比較ですから、これらを同列に並べているのは、素人の私からすると「どうなんだろう」と思ってしまいます。記事本文にちゃんと説明があるのならいいんですけどねぇ。

さて、「DoseRAE 2」は少し特殊なので横に置いておきまして、「BS2010」「JB4020」が東大室内以外ではともに軒並み低い数値で相対的に安定しているという点が面白いですね。先の個人線量測定機関協議会の記述「線量を過小評価することになる」を裏付けるかのような結果です。だとするならば、検証実施者の知識・意図はメチャクチャだったとしても、結果は正しいというw

「DoseRAE 2」を空間線量測定に使ってしまうと高めの数値が出がちという噂は、この結果でも確認できますね。特に飯舘村の数値がグンと上がるところなんて、とても面白いです。放射線防護という観点からすると、絶対に過小評価してはいけない数値ですから、高めに出やすいのかもしれませんね。まあ、とりあえず間違った使い方をしてるでしょうから、参考程度にしかなりませんが。

機会がありましたら、AERA立ち読みしておきます。まだ売ってるかな??

[参考過去記事]
「DoseRAE 2」超初心者&超難解講座~デュアルセンサーって何だ?
放射線測定器と個人線量計 ~何が違うの?
JB4020が個人線量計 / Hp(10) と判明。ということは、精密博士、ES-GC01は…
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