2011/08/11

誤解だらけの「RADEX RD1503」。β線なんてそもそも”測定”できません

RADEX RD1503、RD1706がβ線も測定できると誰が言い始めたのでしょう。公式サイトにも説明書にも一切そんなことは書かれていないのに…。

結論から言いますと、RADEX RD1503、RD1706はβ線を測定できません

※以下、メンドイので1503としか書きません。RD1706も同様だと思って下さい

よく、「RADEX RD1503はどうやってγ線とβ線を区別しているのか」と実験も交えて考察されていますが、そもそも区別していません。特別なことは何もしていません。普通のガイガーカウンターです。普通のガイガーカウンターであれば、β線を拾います。それだけのことです。

説明書をちゃんと読んでみよう

では、公式サイトと説明書を丁寧に読んでいきましょう。まずは公式サイトの説明から。

RADEX RD1503 contains a low-voltage SBM20-1 type Geiger-Muller counter of hard beta and gamma radiations, (以下略)

(訳)RADEX RD1503は、ハードβ線とγ線をカウントできる低電圧SBM20-1タイプのガイガー-ミュラー管を搭載しています。

[ソース]QUARTA-RAD:Radiation monitor RADEX RD1503

β線に書かれているのはここだけです。スペック表にもβ線のことに関しては一切触れられていません。

特別なことは何も言っていませんよね。SBM20-1はハードβ線もカウントできると言っているに過ぎません。「1503はβ線を測定できる」とは一切言っていません。

次に説明書です。説明書は上記URLの「manual (603.33 kb)」という部分をクリックすれば見られます。説明書の中で、このテーマに関連している箇所は2ヶ所。

【2ページ目】

The device estimates radiation environment in magnitude of ambient equivalent power of gamma radiation dose (further - dose rate) taking into account pollution of objects by beta sources(以下は直前と同内容(Remについて言っているだけ)なので略)

(訳)この機器はβ線源による物体の汚染を考慮に入れつつ、γ線の周辺線量当量率の大きさで放射線環境を測定します。

ここでもβ線を測定できるとは書かれていません。あくまでも測定するのはγ線の周辺線量当量率。β線に関しては、β線による汚染が入っちゃうかもだけど、と言っているのみです。

【19ページ目】

At the definition of the radioactive pollution of the food stuff, household items etc. it is necessary to approximate the monitor to the object of examination on distance from 5 up to 10 mm by the left lateral side (with slits) and to turn it on.

(中略)

For detection of the location of an ionizing radiation source it is necessary to move a working device above the surface of examined object, being oriented on frequency increase of sound signal (in menu settings: levels - off, audio - on). Remember, that the frequency of signals as approaching the source will increase sharply, and in accordance with moving away will decrease in the same manner.

前段ですが、一見、「これってつまり、β線を測定するってことでは?」と思うかもしれませんが、違います。

食材等に放射能汚染があるかどうかを「見極める(definition)」としか書かれていません。

次に後段。ここでも信号頻度の急激な増減によって「放射線源の位置を検出(detection)することができる」と言っているにすぎません。少なくとも、β線を測定できるなんてどこにも書かれていません。

さて、何か特別なことが書かれていたでしょうか。どのガイガーカウンターでも言えることを言っているにすぎませんよね。

「じゃあ、なぜスリットがついているの?」

上記の通り、放射線源、β線汚染されているかもしれない箇所を検知するためにはスリットがあったほうがいいからです。それ以上でも以下でもありません。

まとめ

  • RADEX RD1503はβ線にも反応を示します
  • RADEX RD1503はβ線を測定できません(Svで測定できないという意味です)
  • 空間線量を測定する際はβ線をしっかりと遮断しなければいけません
  • 物質表面等の汚染度合を調べることは可能ですが、あくまでも数値の増減をみるだけ。数値自体に意味はありませんし、数値自体を見てはいけません。アルミで調整して差し引きした数値(Sv)がβ線だ、というのも間違いです
  • 以上のことはRADEX RD1503特有のことではなく、ガイガーカウンター全般に言えることです
  • つまり、RADEX RD1503は普通のガイガーカウンターなのに、なぜか間違ったイメージで捉えられています

つまり、日本語の問題かと。

  • 測定:量を測ること(→単位を伴う)
  • 検出:存在の有無を知ること

このような違いがあるにも関わらず、「β線を検出する」というのがいつの間にか「β線も測定できる」となっちゃって、しかも意味ありげにスリットがあったりして(いや、意味あるんですけどw)、RADEX内部では、なにやらすごい計算がなされているのか!?なんて誤解されてます。

1万円で買えちゃうようなこんな単純な機器に、そんな複雑なことでけません。

なお、測定と検出に関しては、「はじめての放射線測定器」という記事もご参照下さい。

RADEXシリーズ一覧(楽天市場)
RADEXシリーズ一覧(Amazon)

RADEX RD-1212 【付属専用ソフト・測定データ参照可能】

余談:電源を入れる順序

余談です。余談ですがとても面白いです。【19ページ目】の「and to turn it on.」「move a working device」。ここがヒジョーに面白い。

食材等の汚染を調べる際は、まずセットして、それから電源を入れろと書かれています。電源を入れた状態で、食材の上にかざすわけじゃないんです。だけど一方、放射線源の位置特定については、作動させたまま動かせと言います。この差はなんなんでしょう。不思議です。

電源を入れた直後というパターンと、動作中に急激なエネルギーなりカウントなりの増減があるパターンとで分けて考えている?? ここはちょっと謎です。

※追記:コメント欄をご参照下さい。

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コメント

非公開コメント

1503 表面汚染の検知

長時間計測した後だと、平均値を表示するようになっています。だから、電源ONの後にすぐに検知対象物に近づけてみないと、空間線量の値に埋もれてしまいます。

ああ!なるほど!
そういうことですか。
だから表面汚染の検出ではセットしてから電源を入れろ、と。
なるほど。

で、逆に、放射線源の位置特定は増減と言うか変化が重要ですから、
電源を入れたまま動け、と。
なるほど。

とても参考になりました。

ありがとうございます!


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