特に中国製”ガイガーカウンター”をお持ちの方、それはもしかしたら個人線量計かも?

2011年08月08日
関連ワード:コラム , 実用量 ,
こりゃ大変です。根本的に認識を改めなければと。

結論:BS2010シリーズ(AK2011やポケットがんまくんなど)やDoseRAE 2などをお使いの方、一度ちょっとよくお調べになって下さいませ。

という話を、今回も長々とさせて頂きますm(_ _)m

広い意味での放射線測定器を大別すると、

・周辺線量を測定するための機器
・個人線量を測定するための機器

このふたつにわけられます。一般的に前者は「放射線測定器(狭義)」、後者は「個人線量計」と呼ばれています。ちなみに英語では、前者は「radiation detector」、後者は「(personal)dosimeter」などと言われます。そして、手元の測定器、あるいはこれから購入しようとしている機器がどちらかをまずは知らなければいけません。

見分け方は、まずスペック表やメーカーサイトを見ます。そして、線量(率)の範囲の欄に、H(10)という記載があれば確実に周辺線量を測定するための機器です。Hp(10)という記載があれば個人線量を測定するための機器です。もし、H(10)もしくはHp(10)といった記載がなければ、次のような文言を探してみて下さい。

・ambient dose equivalent → 周辺線量当量
・personal dose equivalent → 個人線量当量

周辺線量、個人線量の詳細に関しては過去記事「放射線測定器と個人線量計 ~何が違うの?」をご参照下さい。

次に具体的に見てみます。まず周辺線量ですが、「TERRA MKS-05」の公式スペック(Purpose of use)にはこう書かれています。

Measurement of gamma and X-ray radiation ambient dose equivalent rate.

「TERRA-P+」の「specifications」にはこのような記述もあります。

Gamma radiation dose equivalent rate (137Cs)  0,1…5 000;25+2/H*(10),where H*(10) - is a numeric value of the measured DER in μSv/h

以上のことから、TERRAシリーズは周辺線量を測定するための放射線測定器だとわかります。RADEXシリーズも公式サイトを見れば、同様の記載が見受けられます。

次に個人線量です。日立アロカメディカルの「PDM-122」、富士電機の「Dose i」あたりは言わずもがなですが、たとえば、Polimaster社の「PM1621」。普通の放射線測定器だと思われがちですが、公式サイトを見ると次のような記述があります。

These dosimeters monitor and measure the personal dose equivalent Hp(10) and personal dose equivalent rate Hp(10) from both gamma and X-ray radiation.

個人線量当量 / Hp(10)を測定すると明記されています。空間線量を測定するのではなく、あくまでも個人線量を測定するためのものだということです。

あるいは、中国製の「6025」。「BH3084」「RH800」といった機種も同等製品なのですが、これもまたHp(10)を測定するための機器ですから、個人線量計です。

さて、私はここで目まいを覚えました。しまった。そうだったのか、と。素人が独学的にやっていると気付きが遅いですw

中国製の放射線測定器でよく目にする「个人剂量仪」という単語。これは日本語に直すと、「個人線量計」です。もし、中国語の「个人剂量仪」と日本語の「個人線量計」が同義だとするなら、驚くべきことに、中国製ガイガーカウンターと思われていたものの多くが、個人線量計だということになります。

話は逸れますが、私も一台、中国製の測定器を持っていますので、公式サイトや説明書をもう一度よく読んでみました。だけど、どちらかという明確な記載はありませんでした。でもまあ、ニュアンス的には個人線量計の方でしょうか…。

bs2010_004.jpg 話を戻しまして、ここで気になるのが、中国製で一番有名であろうBS2010シリーズです。これはどちらでしょう。正解は「個人線量計」です。個人線量当量を測定する機器だと、少なくとも箱には記載されています(左画像参照)。

とすると、同系列製品、BS2011、BS2011+、AK2011、RAYCHECK(レイチェック)、ポケットgammaくん(ポケットがんまくん)、すべて個人線量計だという可能性が高いです(上記の「AK2011」商品ページの証明書的なものの画像をご覧下さい。ここにも「個人線量当量(率)」との記載があります)。BS2010シリーズだけではありません。挙げればキリがないのですが、LH-Ⅲ系列(GC-S1、DOS-100など)、SDM2000U系列(BH3085、RDt-Ⅲなど)も個人線量計かもしれません。そして、中国製ではありませんが、DoseRAE 2もHp(10)ですから個人線量計です。

さあ、とんでもない事実が浮かび上がってきましたよ。もしこれらが個人線量計だとするなら、Hp(10)ですから、あの”スラブファントム”を用いて校正されていると考えられます。てことは、これらを片手に持ち、公園あたりで空間線量を測定するというのは、そもそも間違った使い方である可能性も??

ちなみに、もし個人線量計だとするならば、胸ポケットやベルトあたりにつけておいて、積算線量(個人線量)を計測、記録するというのが正しい使い方となります。そして、ここでの線量率は周辺線量率ではなく個人線量率ですから、いわゆるガイガーカウンターで測定した周辺線量率とはまったく異なる数値が表示されても不思議はありません。この差は機器の性能の優劣の問題ではなく(まあ、それもあるのかもしれませんが)、機器の特性の違いということになります。

もしかしたらもしかして、「个人剂量仪」を「個人ユースの簡易放射線測定器」くらいの意味で使っていることもありえますから、H(10)、Hp(10)という記載がなければ、確実にどうとはなかなか言えないような気もしますけどねぇ…。

というわけで、もし、特に中国製の放射線測定器(広義)で個人線量計だと思われる機種をお使いの方は、以上のような可能性があるということを踏まえた上で、次のことに留意して測定されるといいと思います。

・そもそも機種間で数値を比べること自体がやめておいた方がいいのですが、特にTERRAやRADEX、自治体のサーベイメーターでの測定値とは比較しない方がいいでしょう

・これまで通り、普通に空間線量を測定してもいいですが、その数値はあくまでも個人的な目安。ネット上などで公表するのは誤解の元となりますから避けた方がベターだと思われます。もし公表するのであれば、少なくとも機種名は明記したほうがいいでしょう(まあ、どの機種であろうと言えることではあるのですが)

・より正確に測定したいのであれば、胸ポケットやベルトにつけて測定します。しかし、そこで得られた数値はあくまでも個人線量(率)です。周辺線量(率)とは違うということを念頭に入れておきましょう

・やはりもう少しちゃんと空間線量を測定したいということであれば、周辺線量が測定できると確実にわかる機種をお買い求め下さい

ネット中を探して回ったのですが、この件について触れられているサイトが皆無です。誰も疑問に思わないのか、あるいは私がおかしなことを言っているだけなのか…。こんな基本的なことを素人の私が疑問に思えて、だけど誰も何も言わないというのも不自然極まりないです。うーん、なんなんでしょう…。あるいは、個人線量計だとしても、普通に空間線量を測定していい? そうなんでしょうか…。

最後に、周辺線量を測定するための放射線測定器なのか、個人線量を測定するよう設計された個人線量計なのか、この違いはとても重要な問題だと思われます。もし、お使い機器、あるいはこれから購入しようとしている機器がどちらかわからない、公式サイトを見てもよくわからない、ということであれば、残念ながらそのメーカーは不親切です。ECOTESTにせよ、RAE Systemsにせよ、Polimasterにせよ、Quarta-radにせよ、ちゃんとしたメーカーはちゃんと説明してくれています。「性能よりも信頼性」とは、こういうところでもよくわかりますね。

[参考サイト]
Alibaba:BS2010 X/Y-ray Personal Dosimeter portable nuclear radiation Alarm#2
http://www.alibaba.com/product-gs/439938374/BS2010_X_Y_ray_Personal_Dosimeter.html
ガイガーカウンター(放射線測定器)、防災関係情報のブログ
http://fkik.blog.fc2.com/blog-entry-3.html
東京都健康安全研究センター「都が貸与した小型放射線測定機器による空間放射線量率の測定方法について」
http://monitoring.tokyo-eiken.go.jp/monitoring/tonai/sokutei20110622.pdf
ガイガーカウンタ BS2010(放射線量計測器、直読のχ、γ個人線量計)
http://www.neko.ne.jp/~freewing/hardware/bs2010/
※写真はこちらから転載させて頂きました
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