あなたはきっとシンチレーションの意味を誤解している!~Scintillometer(シンチロメーター)とSaphymo

2014年06月04日
関連ワード:コラム
私の無知をひけらかす記事になってますw

放射線がCsIやNaIなどの物質に作用し蛍光する現象。これがシンチレーション。なーんて思っていました。だけど、そうじゃないんですね。

いえ、それはそれで間違いじゃないんですが、”シンチレーション”にはさまざまな意味があります。以下は英語版wikiのScintillationの項目です。

Scintillation can refer to:

・Scintillation (astronomy), atmospheric effects which influence astronomical observations
・Interplanetary scintillation, fluctuations of radio waves caused by the solar wind
・Scintillation (physics), a flash of light produced in certain materials when they absorb ionizing radiation
・Scintillation (radar), an apparent rapid target displacement occurring on radar displays
・Scintillation (medicine), a rapidly oscillating pattern of visual distortions, often associated with migraine aura
・Scintillation counter, a device that measures ionizing radiation
・Scintillating grid illusion, an image in which compounded color contrasts cause an optical illusion of visual artifacts

[ソース]wikipedia:scintillation

こんなに意味があります。そして、私たちが放射線測定で出くわしている”シンチレーション”は3番目です。シンチレーションがこんなことになっているって知ってました?

さて、ヨーロッパ、特にフランス系の放射線測定器に多いのですが、シンチレーション式の放射線測定器を”scintillometer(Scintillomètre)”と呼んでいるのをよく目にします。たとえば、Saphymoの「SPP2」。リーフレットにもしっかり、”scintillometer”と書かれています。

[ソース]saphymo:Datasheet SPP2(PDF)

しかし、現在よく使われているscintillometer(シンチロメーター)は違う意味のシンチレーションに関係する装置です。

シンチロメーター(レーザー光のゆらぎ強度との相関から熱フラックスを求める装置)

[ソース]http://www.sangyojin.org/cnitec/20041215a%82%8E.html

そこで近年,2点間の直線上で平均されたフラックスを計測できるシンチロメーターが注目されている.

シンチロメーターは送信機から照射されたビームの強度変動を受信機で観測する測器である.(中略)シンチロメーターの利点は,送信機・受信機の2点間の距離を調整することによって,観測対象域と同じ大きさの直線上で空間的に平均化されたフラックスを測定できることである.

[ソース]http://www.suiri.tsukuba.ac.jp/~raise/thesis/iemoto_mt2005.pdf

なんだかチンプンカンプンですが、地表や気候などを調べたりするための装置がシンチロメーターということです(たぶん)。具体的にはこんな感じです。画像の右奥に赤い光が見えます。あのレーザー光を手前の受信機で受信しています。

scintillometer_001.jpg
[ソース]Turbulent transfer within and above a street canyon

これが何のための調査なのかはよくわかりませんがw、まあ、そういうことです。いやー、知らなかった。

これによく似た話があります。魚などをすり潰さず、そのまま放射能測定できる装置を、当初、開発者、マスコミは”非破壊検査”と呼んでいました。しかし、本来は細長いパイプの中の亀裂を調べたりするのが非破壊検査です。

字面だけを追えば、魚をすり潰さない=非破壊ですから、”非破壊検査”で間違いはないのかもしれない。だけど、従来からある非破壊検査とは違うわけですから、これを非破壊検査と言っちゃうのはいかがなものかと思うわけです。そして、最近では非破壊検査とは言わず、非破壊式放射能検査みたいに言うようになっています。

じゃあ、シンチロメーターはどうでしょう。どちらが先かはよくわかりません。わかりませんが、あっち系でよくシンチロメーターと言われてますから、たぶんあっち系なんでしょうね。

言葉、特に専門用語ってのは難しい。

[関連過去記事]
”非破壊検査”なの?~古河機械金属と東北大と大津漁協の放射能測定検査

なぜゆえに、こんな難しいことになっちゃったかと言いますと、こいつを見つけてしまったからです。

scintillometer_002.jpg
Scintillomètre Saphymo-stel SPP3 0-15 à 0-50000pps, seuil réglable:50-2000 Kev,Not:1200 EUR

[ソース]Electropuces:Mesures physiques (Physical measurements)

やっぱりSaphymo。本体には「SRAT」と書かれているけど、本題から外れるのでスルー。

なんなんだろうな。”Scintillomètre”ってカナダ系にも多いんだよなぁ。カナダもフランスだしなぁ。フランス語のどこかにシンチロメーター問題の要因があるのかな?

面白いのが、フランス語版wikipediaの”Scintillomètre”の説明です。

Ne doit pas être confondu avec détecteur à scintillation.

(中略)

Cet appareil ne doit pas être confondu avec le détecteur à scintillation qui est un instrument pour détecter les photons émis par un matériau fissible ou suite à un dépôt d'énergie par interaction d'un rayonnement.

[ソース]Wikipédia:Scintillomètre

しつこいくらいに、「放射線の検出におけるシンチレーションと混同するな」と書かれています。英語版にはない記載です。まあ、なんかあるんでしょうね。そして、この説明を読む限りは、やはりシンチロメーター=あっち系と考えるのが、現状に沿っていそうです。

それはともかくSaphymoです。正確にはSaphymoの前身、Saphymo-stel(あるいはSRAT)。すごいですよ。こいつはエネルギーを見ようとします。どういう風に使うのかは定かではありませんが、cpsのレンジ以外にエネルギーを設定するロータリースイッチがあります。そのエネルギーごとのcpsを見られるってこと? スペクトルサーベイメーターの元祖ってことでしょうか。

原理は違うかもしれませんが、アメリカのいわゆる”cutie pie"には、ウランを識別する機能を搭載した機種もあります。前出の「SPP2」はその流れを組んでいるかのようなモデルです。Saphymoの歴史も複雑怪奇なんですが、Saphymoの製品もなんだか不思議なものが多いですね。

というわけで、なんだかよくわからないなりに、勉強になりましたという記事でしたw

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コメント一覧

1160. 2014.06.04
私の認識も怪しいのですが、シンチロメーターという場合はパルスそのものの高さやパルス数をカウントするのではなく、発光量の総量を積分表示するものを指すように使われることが多いように思います。
ガイガーで言えば、パルスをカウントしないDP-5Vやプリピャチなどがそれにあたり、これらはカウントではなくガイガー管からの出力積分値を表示します。

シンチロメータの場合はCsIやNaIのγ線由来の可視光発光だけでなく(これらは発光時間が短く歯切れが良いのでスペクトルをしゅとくすることもできるのですが)、硫化亜鉛やそれに活性物質を添加した発光時間の長い結晶からの光を、さらに低速なCdS(硫化カドミウム・セル)などで受けるものも含み、より定性的な検出に適しているものを指すのでは・・
1166. 2014.06.05
何気に奥が深そうですね(^^;

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