2014/05/29

エベレストにチャレンジした放射線測定器~Mirion Technologies、Tracerco、kromek

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高度が上がると放射線量が増える、というのはよく聞く話。飛行機内で放射線測定器の測定値がグングン上がっていくなんて動画も見かけます。

飛行機だけではありません。登山でも同様です。高尾山くらいじゃ変わらないでしょうけどw、エベレストともなると、当然、登れば登るほど線量率が上がります。

といったことを調べているのが、スコットランドのBob Kerrさんです。ボブさんの本職は放射線防護と放射性廃棄物に関するアドバイザー。RP Alba Ltd.という会社の社長でもあります。

ボブさんがライフワークとしているのが登山です。16歳までにベン・ネビス(イギリス最高峰の山)、30歳までにモンブラン、50歳までにエベレストを登頂すると、12歳の時に決めました(高所恐怖症を克服するため。子供らしい発想ですw)。

前者ふたつは達成し、あとはエベレストを残すのみとなりました。そして、2013年春、エベレストにアタックします。しかし、ご存じの通り、昨年来、エベレストは厳しい環境に置かれています。残念ながら7,924m地点で登頂を断念しました。

なお、その時にシェルパを務めていたネパール人の方は、2014年4月、エベレストの雪崩事故に遭い亡くなった16人のシェルパの内の一人だそうです。

さて、昨年のエベレスト挑戦の際、登頂はできませんでしたが、その間の被ばく量は1mSvだったそうです。ボブさんはこう言います。

「もちろん、登山による被ばくで亡くなった人は一人もいない。ただ、将来、どのようなリスクを引き起こすかはわかっていません。1mSvの被ばくというと、普通の人であれば大騒ぎするような数値です。リスクがあるかないかはわかりませんが、登山家にはもう少し被ばくに関心を持ってもらいたい」

科学者ですからね。とてもフェアな言い方だと思いました。

[ソース]The Society for Radiological Protection:Up Everest with a Geiger Counter

随分と前置きが長くなってしまいましたが、私たちの関心は登山にも登山による被ばく量にもありません。

「どんな放射線測定器を使ってるんだ?」

この一点ですw

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[ソース]Cosmic radiation doses received during Everest expeditions

いやー、たまりませんね。ありがとうボブ! 写っている放射線測定器は以下の通りです。

・Genesis Ultra Thermoluminescent Dosemeter(Mirion Technologies)
・Instadose v2.1(Mirion Technologies)
・T404(Tracerco)
・GR1-Gamma Ray Spectrometer(kromek)

Thermoluminescent Dosimeter=TLDは熱ルミネッセンス線量計(熱蛍光線量計)。熱ルミネッセンス線量計および”Ultra”とスタンダードバージョンの違いは省略します。

ひとつだけ。「Genesis Ultra TLD」のそもそものメーカーはThermo Fisher Scientific=Thermo Electron RMP。さらにさかのぼれば、Harshawです。すごいなぁ。

次の「Instadose v2.1」がこれまたすごい。MTの最新モデルです。モバイルとBluetoothで接続し、リアルタイムに線量を監視できます。公式サイトには「coming soon」と書かれていますが、もう販売されてるんですかね。

以上のふたつは、基本的には医療系で使われます。

続いてはイギリス・Tracerco社の「T404」。写真だと大きく見えるかもしれませんが、実際は手のひらサイズです。スマホと変わりません。

特徴はふたつ。ひとつは人型ディスプレイ。積算線量が数値と人型のメーターで表示されます。線量が増えると足元から色がついていき、いかにも積算してまっせという雰囲気です。このガジェット感が素敵。

もうひとつはATEX Coding II 1G(防爆保護)、FM(防爆)、IP67(防塵・防水)、IECEx(IEC防爆電気機器規格)の認証です。どこまで痛めつけりゃいいんだ!?w とにかくタフで、ボブさんも「7,200mでもまったく問題なく使えた」と言ってます。

最後はkromekの「GR1-Gamma Ray Spectrometer」。10×10×10mmのCZT。エネルギー分解能は2.0~2.5% FWHM(662keV)。4096ch。インターフェイスはUSBです。こちらも5,200mのベースキャンプで問題なく使えたと書かれています。

さすが放射線のプロと言いますか、うまくチョイスしてますね。

登山と放射線測定器。これで思い出すのが、Polimasterの会長、ルドミーラ・アントナウスカヤさん。彼女の趣味が登山で、いつも腕時計型ガイガーカウンター「PM1208M」をつけています(普段の生活でも、なんですが)。アコンカグア(6962m)を登頂した際、山頂では0.52μSv/hだったと言ってます。

[関連過去記事]
Polimaster社の女社長がPM1208Mを装備して、6962mの山を登頂w
放射線測定器の向こう側~自然を愛する社長たち

日本でもトレッキングや登山がブームです。登山をする際は、試しに放射線測定器を持って行ってみてはいかがですか?

私の周りにも多いんですよねぇ。毎週末、一人で山を登りに行く女子、半年に一度くらいのペースで富士山に登っている男。

あ。

両方とも彼氏・彼女がいないといつも嘆いているんだけど、二人がくっつきゃいいじゃん。今度、紹介してあげようw と、変なことに気付いてしまった、登山にはまったく興味はないけど、放射線測定器には興味のある男でした。うん、オレが一番変わってんじゃんw

登山用具2014 基礎知識と選び方&2014最新カタログ (別冊 山と溪谷)
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