個人線量計の規格「JIS Z 4312」の新旧も読み比べてみました。かなり奥深い改定だと思います

2014年05月22日
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2013年にJIS Z 4312が改定されていました。

(旧)JIS Z 4312 2002 X線,γ線,β線及び中性子用電子式個人線量(率)計
(新)JIS Z 4312 2013 X線,γ線,β線及び中性子用電子式個人線量(率)計

サラっと読み比べてみたのですが、サーベイメーターに引き続き、かなりの改正が加えられています。

・個人線量当量、Hp(10)の明記

個人線量当量、Hp(10)と冒頭にしっかり明記するようになりました。アロカさん、そろそろ「個人被ばく線量計」って言い方、やめません?w ポケット云々も本当は使ってほしくないんだけど…

<旧>

1.適用範囲 この規格は,X 線,γ線,β線及び中性子による外部からの個人被ばく線量当量(率)を測定する電子式個人線量(率)計(以下,線量計という。)について規定する。

<新>

1 適用範囲 この規格は,体幹部に装着し,X 線,γ線,β線及び中性子の個人線量当量 Hp(10)及び Hp(0.07)を測定するデジタル表示機能をもつ電子式個人線量(率)計(以下,線量計という。)について規定する。

・個人線量当量の説明がコンパクトに

個人線量当量の説明が簡潔になりました。端折っているわけではなく、前バージョンが冗長すぎたと言えます。

・線量、線量率の相対基準誤差を一元化

前バージョンは線量と線量率で相対基準誤差の許容範囲を分けていました。新バージョンでは両者を分けずに一元化しています。

また、マイナスに厳しく、プラスに緩くなりました。放射線防護という観点からは妥当だと思われます。

<旧>

5.1.1 X線及びγ線の 1cm 線量当量(率) 7.2.2 によって試験したとき,次による。
a)線量測定の場合:相対基準誤差の許容範囲は,有効測定範囲において±15%とする。
b)線量率測定の場合:相対基準誤差の許容範囲は,有効測定範囲において±20%とする。ただし,最小デカード又は最小測定レンジにおいて±30%とする。

<新>

5.1.1 X線及びγ線の Hp(10) 及びH・p(10)
Hp(10)及びH・p(10)の相対基準誤差は,7.2.2 a) によって試験したとき,−(17+100Urel) %∼+(25+100Urel) %とする。

・耐微小振動特性の追加

従来からある耐振動特性に加え、耐微小振動特性が規定されました。常時、体に装着して使用するわけですから、実態に沿った規定だとは思います。ただ、メーカー大変だよねw

また、サーベイメーター同様、電磁界系も細かくなってます。

・サイズ分け

サイズにバリエーションができました。γ線のみに対応した製品とγβ中性子に対応した製品では、サイズが違っても当然だろう、と。そりゃそうだ。

また、

プラスチックバッグ及び手袋をはめた状態で操作可能でなければならない

こんなのも加わりました。細かいなぁw

・自然放射線による積算線量の追加

自然放射線による積算線量という項目が追加されました。関連箇所を引用します。

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さすがにこれはわかりづらすぎる。だけど、なぜこう書かざるを得ないのかもわかります。そして、これは結構重要なことを言っている気がします。

まず、バックグラウンド[線量(率)]ですが、当JISをすべて読むと、ふたつの意味で使われています。ひとつは周辺線量当量(率)、ひとつは自由空間です。この箇所においては、周辺線量当量(率)でしょう。

安易に”空間線量”なんて言葉を使わないところが、さすがJISと褒めておきましょうw まあ、前バージョンからこう言ってはいたんですが。

試験においては、バックグラウンド線量率(=周辺線量当量率)は2μSv/日(基準条件)もしくは0.25μSv/h 以下(標準試験)と規定されています。ザックリ言いますと、「このJISに関わる試験は周辺線量当量率が0.25μSv/h以下じゃないといけないよ」と。

その上で、先ほどの式を見てみます。Gnatはファントムに一週間以上置いて測った積算値です。Htrue,natは周辺線量当量です。両者を時間で割り、1時間あたりの量(率)を出します。そして、その個人線量計で最大限測定できる時間をかけます。そうして出てきた両者の値を差し引きします。この値が有効測定範囲の下限値以下でないといけません。

これはなかなか奥深い。

すっごくザックリ言ってしまうと、ごく普通の環境であれば、周辺線量当量と個人線量当量に差はほとんど出ないはず。だから、両者を差っ引いた値が測定値として加味されるようじゃ、個人線量計としていかんだろう、と。たぶん、そんな感じのことでしょう。

ついでに、

7.2 試験方法
7.2.1 試験方法一般
d) バックグラウンド線量 X 線,γ線及びβ線の低線量当量率照射に対して,バックグラウンド放射線 に起因する線量は,照射中の指示値から減算しなければならない。

とも明記されるようになりました。

サッと進んでしまいましたが、JIS Z 4333 2014 X線,γ線及びβ線用線量当量(率)サーベイメータとは比べ物にならないほど、かなり面白い変更です。H(10)とHp(10)の関係にここまで踏み込んだというのも興味深い。

まー、そこら辺で一週間、普通に置いておいても差はほとんど出ないでしょうから、シビアってわけでもないんでしょうけど。ただ、面倒くさいですな、メーカーとしては(^^;

※当サイトの「放射線測定器関連資料室」に、最新のJIS Z 4333とJIS Z 4312をゴニョゴニョしました。JISがゴニョなんで、よければゴニョって下さい。

[関連過去記事]
JIS Z4333が改定されたので、新旧をザックリと読み比べてみた
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コメント一覧

1163. 2014.06.05
国内では富士電機が90%ところが、今年制定されたjisは富士電機が準拠してないというんだよね。富士電機は、jisぶっちぎりでicrp準拠
Jisなんかまもる必要ない。
1164. 2014.06.05
千代田のDシャトル9桁低いし、パナソニックは6桁低い、アロカは6桁低い、誰が特するんだか、千代田6桁低いって何物考えてるんだか。

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