JIS Z4333が改定されたので、新旧をザックリと読み比べてみた

2014年05月22日
関連ワード:コラム , 規格 , 実用量 ,
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2014年3月20日、JIS Z4333が改定されていました(情報ありがとうございます)。

(旧)JIS Z4333:2006 X線及びγ線用線量当量率サーベイメータ
(新)JIS Z4333:2014 X 線,γ 線及び β 線用線量当量(率)サーベイメータ

[ソース]日本工業標準調査会(JISC)

サラっと読んでみました。新旧の主な違いをご紹介したいと思います。

・引用規格が各段に広がった

電磁界系の規格、国際規格がたくさん加わりました。前者は携帯電話等を鑑みてのことでしょう。後者はグローバルスタンダード的な。ただし、国際規格に則ればOK、と単純に考えているわけでもないようです。この点については後述します。

・相対基準誤差から直線性

相対基準誤差試験の規定が廃されました。「国際整合性を重視」(IEC 60846-1)したためとのことです。

ただ、まったくこれをなくしていいかというとそういうわけでもありません。その点も附属書で説明されています。話が込み入るので、詳細はJISをご確認下さい。

で、直線性についてですが、この部分は新たに加わった箇所なので、関連箇所を引用しておきます。

3 用語及び定義

3.2
レスポンス,R(response)
サーベイメータの指示値(G)の線量(率)の取決め真値(Ht)に対する比をいい,次の式によって求められる。
R=G/Ht

3.3
基準レスポンス,R0(reference response )
基準となる条件下で得られたサーベイメータの指示値( G r,0 )の線量(率)の取決め真値( H r,0 )に対する比をいい,次の式によって求められる。
R 0 = G r,0 /H r,0

3.4 相対レスポンス,r( relative response )
表 5 に示す試験条件のうち,特定の試験条件で得られたレスポンス( R )の基準レスポンス( R 0 )に対する比をいい,次の式によって求められる。
r = R/R 0

4 性能

4.1 直線性
直線性は,6.2.2 によって試験したとき,相対レスポンスは 0.85 + u rel ~ 1.22 + u rel とする。

注記 4.1 及び 6.2.2 において, u rel は,直線性試験での基準となる線量(率)の試験点における線量(率) に対する比の相対拡張不確かさである。

6.2.2 直線性試験
標準試験条件で製造業者が定める手順に従って,基準となる線量(率)に対する基準レスポンス( R 0 ) がほぼ 1 になるように調整したサーベイメータを用いる。試験は, X 線, γ 線及び β 線のそれぞれについて行うが,異なる線種に対して検出方法及び検出器構造が同じならば,個別に行わなくてもよい。

高線量率の γ 線, β 線などで,対象とする線種で試験することが困難な場合は, X 線など他の線種を用いてもよい。

a) 直線目盛の場合には,有効測定範囲の各レンジについて最大目盛値の 20 % , 40 % 及び 80 % 近辺の指示値 G について, G と線量(率)の取決め真値 Ht からレスポンス R を求める。 R と R 0 とから相対レスポンス r を求める。

b) 対数目盛及びデジタル方式の場合には,有効測定範囲の各デカードの 20 % , 40 % 及び 80 % 近辺の指示値 G について, G と線量(率)の取決め真値 Ht からレスポンス R を求める。 R と R 0 とから相対レスポンス r を求める。

・検出器による差を廃止

これまでは電離箱式、GM計数管式、シンチレーション式(エネルギー補償有)、シンチレーション式(エネルギー無補償)、半導体式をわけてエネルギー・方向特性を規定していました。しかし、2014はこの差を廃しました。

JISの書き方がわかりづらいのですが、ザックリ言えば、1形と2形が新JIS対応、3形と4形が旧JIS対応です。

ですから、新に対応させようとするなら、電離箱、GMは相対レスポンスの許容範囲が厳しくなり、シンチはエネルギー範囲が微妙に厳しいのかな?

そもそも論になっちゃいますが、JISに適合している放射線測定器なんて、そう多くはないというか、メーカーが限られるはず。ですから、あまり細かく見過ぎてもあれなんですけどねー。

・方向性線量当量の追加

タイトルもこれを反映して変わったのですが、H'(0.07)が加わりました。2006バージョンはH(10)のみです。

・周辺線量当量と方向性線量当量の明記

もちろん、JIS Z4333:2006でも、ちゃんと読めばH(10)だとわかります。しかし、基本的には「1cm線量当量」というけったいな表現しかありませんでした。

一方、JIS Z4333:2014ではこのように書かれています。

<旧>

1.適用範囲 この規格は,X 線及び γ 線の 1 cm 線量当量率を測定する放射線サーベイメータ(以下,サーベイメータという。)について規定する。

<新>

1 適用範囲 この規格は,放射線サーベイを目的として,X 線,γ 線及び β 線の周辺線量当量(率)H・*(10),H*(10)及び/又は方向性線量当量(率)H・'(0.07),H'(0.07)を測定する携帯形の線量(率)計及び警報付き線量(率)計(以下,サーベイメータという。)について規定する。

※註:・はHの左上、*は上付文字

文科省さん、各自治体さん、調達する際は「H(10)」と書いて下さいね。1cm線量当量というアホな表現はやめて下さい。各省庁の省令、通達、ガイドラインも!

・基準点の指定

サーベイメーターでは基準点に関する規定がありませんでした。しかし、改訂されて基準点の表示を規定しました。

3 用語及び定義

3.9 基準点( reference point )
線量(率)測定において基準とするサーベイメータの構造上の点で,製造業者が指定する。

5 構造

5.1 構造一般
構造一般は,次による。
f) 検出器の基準点を表示しなければならない。

以前から、ドメスティックの大手はだいたい基準点をつけていたような。まあ、あったほうが便利っちゃあ便利でしょうね。特に使用者が校正に出す場合とか。

・サーベイメータの使用分類

製造業者又は使用者は,サーベイメータの対象線量及び定格範囲を明確に表現することを目的として,表 C.1 に示す使用分類を用いて分類し,取扱説明書などで表現してもよい。

たとえば、γ線測定用、測定エネルギー60keV以上、線量率0.03μSv/h以上の測定及び線量0.1μSv以上の測定ができるサーベイメーターを「Gmek」という記号で表現できると。

「えっと、説明書にGmekとあるけど…。Gはなんだ? H(10)のγ線ね。mは…60keV以上で、eは…」

んなもん、誰が必要なんだと。いらねえよ!www

別に、こう表現しなければいけないというわけじゃないんですが、まったくもって不必要。エネルギー範囲の下限値が60keVか20keVかで記号を変える必要がどこにあるんでしょう。

大の大人が、こんなことを「ああでもないこうでもない」って考えてたんですか? ばっかじゃーん。税金泥棒♪

ロシアの「MKS」とか、ああいうのならいいんですけどね。ロシアの方が合理的かつ実用的。しかも、もう30年以上前からですよ。まったく。

それにしても、JISの検索・閲覧システムがひどすぎますね。ほんとどうにかしてほしいです。

というわけで、詳しくは日本工業標準調査会(JISC)でご確認下さい。私の読み間違い、不理解もあるかもしれませんし。

なお、当サイトの「放射線測定器関連資料室」にもあとで貼っつけときます。個人線量計関連も新しくしとかなきゃな。

※JISがある以上、それを前提に読んでいるだけです。製品がすべからくJISに適っていなければいけないとは考えていません。

※だいたい、日本工業”標準”調査会って…。日本工業規格調査会じゃないの? 古い法律で訳がおかしかったんでしょうけど。さらに、「JIS規格」ってどうなん? JISC自体がそんな言葉使ってるけど。チゲ鍋かよ!w

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