二度見させるBairdのサーベイメーター~「RIIDEye X」に感じるBaird Atomicの残り香

2014年05月21日
関連ワード:コラム , history , ThermoFisherScientific ,
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[ソース]ebay:BAIRD Model No.904121 Geiger Counter with Head Phone, MINT Condition

このガイガーカウンターを二度見してしまった人。マニアックですね。しかし、残念ながら”そっち”ではありませんw

Bairdといえば、John Logie Baird(ジョン・ロジー・ベアード)。ザックリ言うと、テレビを発明した人物です。しかし、今回のBAIRDは彼とは関係ありません。テレビと放射線測定器って実は似てる部分があるので、「もしかして!?」と私も思っちゃいましたw

製造時期が不明なので、正確なメーカー名がわからないのですが、これは「BAIRD Model No.904121」というBaird Corporationのガイガーカウンターです。

mR/hとcpmのオーソドックスなガイガーカウンターと思いきや、メーターをよく見ると、ビックリします。なんと、先端とサイドの窓(プローブの窓/シャッターという意味です)のどちらで測定するかによって、メーターを分けています。このやり方は珍しい。てか、初見かも?

ブラウン系の2トーンといいロゴといい、かなりポップです。メーターのフォントも放射線測定器らしくないかわいらしさ。面白い機種ですね。

では、Baird Corporationの歴史を紹介したいと思います。

1936年、Walter S. BairdがBaird Associatesを設立。1940年代まで分光分析器などを開発していました。業績は順調に伸び、3人で設立した会社も1943年には60人以上の従業員を抱えるほどにまで成長します。

1946年、Leonard CronkiteとHugh StoddardがAtomic Instrument Companyという放射線測定器メーカーを設立しました。同社が1952年に開発した放射線スケーラーは世界初のグロー管を使用したスケーラーでした。

1956年、Baird AssociatesがAtomic Instrument Companyを買収します。そして、社名がBaird Atomicとなります。同社はガイガーカウンター、スケーラー、各種分析器、デカトロンなどを製造していきました。なお、同社が使っていた「BA」のブランド名、ロゴは、Baird Atomicの略なのですが、”better analysis”も意味していたとのことです。

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[ソース]ORAU:Baird Atomic Model 135 Scaler (ca. 1961 - 1965)

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[ソース]ebay:Rare Baird Atomic 414 "Cutie Pie" Radiation Survey Meter Gun Type Cold War 1950s

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[ソース]BAIRD ATOMIC MDL. 440 RATEMETER

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[ソース]Tube Clock Database:Baird Atomic Geiger GM counter

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※ETL? Ericsson Telephones? ETELCO? なんなの?w
[ソース]Tube-Tester.com:GC10/4B (ETL/Baird Atomic) Dekatron counting tube

1978年、核の時代が終わったと判断、社名をBaird Corporationに変更します。そして1987年にはIMO Industriesに買収されます。創業者、Baird氏が亡くなって5年後のことでした。こういうパターンはありがちですね。

余談ですが、「BAIRD Model No.904121」がなぜBaird AtomicではなくBaird Corporation時代のものかと言いますと、本体に描かれているロゴが1982年に商標登録されているからです。

さてその後、Baird Corporationはどうなったのかと言いますと、1993年にThermo Electronの子会社、Thermo Instrument Systemsに買収されました。どこにでも顔を出すTFS! またお前かっ!w

もちろん、TFSとしては分析系の技術がほしかったわけで、BAIRDの名を冠する放射線測定器はもうありません。しかし、TFSの最新機種、スペクトルサーベイメーター「RIIDEye X」と、冒頭の「BAIRD Model No.904121」はまったく同じカラーリングです。

gc_744.jpg
偶然なんでしょうけど、私はここにBAIRDの残り香を感じてしまうのでした。

…あ、そうか。Thermo Instrument Systems傘下になったあとのモデルという可能性も否定できないのか。詳細がわかりましたら、また。

[参考サイト]
Chemical Heritage Foundation:Walter S. Baird
NRIC:Atomic Instrument Company
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