フィリップス(Philips)のガイガーカウンターたち~3.11以降、なぜフィリップスが放射線測定器を開発しなかったか

2014年05月16日
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日本では電気シェーバーのイメージが強いフィリップス。そんなフィリップスがガイガーカウンターを作っていたってご存知ですか?

1891年、オランダのヘラルド・フィリップスが電球工場を設立しました。これがフィリップスの始まりです。以後、現在に至るまで、ラジオや蓄音機、ヘッドホン、電気シェーバー、電動歯ブラシと、さまざまな製品を開発してきました。

フィリップスが作ってきたのは、電機製品だけではありません。電機製品に必要な半導体、光電子倍増管、真空管なども作っていました。そしてGM管、ガイガーカウンターも。

1940年、第二次世界大戦の行く末と今後のマーケットを考え、創業一族はアメリカに渡ります(当時はNorth American Philipsという会社名になっていました)。フィリップスが一番最初に放射線測定器を開発したのはその2年後、1942年のこと。こちらがそのガイガーカウンターです。

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各所では「ガイガーカウンター」と紹介されていますが、これが本当にガイガーカウンターなのかどうかはよくわかりません。X線用の放射線測定器だと思うんですけどねぇ。

製品名は不明ですが、ブランド名はPhilips Metalix。医療用のX線管などを作っていたブランドです。ちなみに、Philips MetalixはNorth American Philipsの前の社名でした(1933年~)。

[ソース]national radiation instrument catalog:Early Instrumentation - 1920's

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これは1944年の広告です。Norelcoは1940年代から1974年まで使われていたPhilipsのブランド名。North American Philips (electrical) Companyの略です。製品名は不明ですが、説明を読むと、こちらはガイガーカウンターですね。

[ソース]national radiation instrument catalog:Philips Nuclear Equipment Instrument Division

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1954年の「PW 4010」。これもNorelcoブランドのガイガーカウンターです。

[ソース]ebay:1954 Radiation Detector / Geiger Counter Philips Model PW 4010 & Carry Case

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以前にも紹介した1950年代の放射能測定装置。シンチレーター、GM管、比例計数管のセットかもしれません。

[関連過去記事]
1955年から1956年にかけて雑誌に掲載されていた放射線測定器関連広告~ALOKA、東芝/マツダ、島津製作所、神戸工業、PHILIPS

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「PW 4014」。ガイガーカウンターです。PhilipsのGM管「18503」を内蔵しています。外部プローブもつなげられるようです。

[ソース]Circuits Online

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1958年のガイガーカウンター「PW 4012」。先端の検出部が伸びます。GM管は上と同じ「18503」。

[ソース]Alter Geigerzähler Philips (G623)

これ以降、Philipsの放射線測定器事業がどうなったのかはよくわかりません。ただ、採算の取れない事業をスパッとどんどん切っていく。これによりPhilipsは成長しました。放射線測定器も1960年代には切られてしまったのでは…。

3.11以降、フィリップスがエアカウンター的な放射線測定器を作ってもおかしくなかったはず。だけど、フィリップスは放射線測定器に手を出しませんでした。ドライなビジネス的嗅覚が働いたからでしょう。これでは儲からない、と。

日立アロカメディカルは自社製品の品質に対する責任感から、コンシューマー機を出しませんでした。エステーはある種の使命感から廉価な放射線測定器を開発します。そして、フィリップスはビジネス的に放射線測定器事業の復活はありえないと考えました。

なんて妄想をして比べてみるのも面白いですねw

フィリップス シェーバー センソタッチ3D【ジェットクリーン(洗浄充電器)付き】RQ1258CC
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