本牧ふ頭の放射能汚染コンテナから見る消防署の放射線測定器事情、あるいは理研計器の「REM GUARD RD-2E」

2014年04月15日
関連ワード:ニュース , 集めてみた , 本牧ふ頭 ,
横浜市の本牧ふ頭のコンテナから、10μSv/hとも言われる放射線を検出したというニュースがありました。

fire_001.jpg
[ソース]テレ朝NEWS:横浜・本牧ふ頭のコンテナから基準超の放射線検出

通報云々に関してはガイドラインがあります。

港湾における輸出コンテナの放射線測定のためのガイドライン
(国土交通省港湾局総務課危機管理室)

簡単にまとめますと、

・バックグラウンド放射線量率の値の3倍→除染が必要
・5μSv/h以上→関係機関へ通報

ということです。
追記:結局いったい何だったの!?と、その後が気になりますが、横浜市港湾局は以下のように言ってます。

4月11日(金)に本牧ふ頭において輸出予定であったコンテナから、基準値を超える放射線量が検知されたことが、4月13日(日)にわかりました。

そのため、国が作成した「港湾における輸出コンテナの放射線測定のためのガイドライン」に沿って対応を行い、当該コンテナの引き取りを荷主に要請しました。

※GCC註:この「荷主」は日本郵政のことを指すと思われます

[ソース]輸出コンテナにおける基準値を超える放射線量の検知について

これ、郵送物ですからねぇ。港湾局も日本郵政も、今後、どこまで公表するか…。公表しなきゃいけないという法はありませんし。逆に、勝手に開けて勝手に内容物を公表したら、そっちのが法的にやばい。港湾局と日本郵政にとっては。

というわけで、もし万が一、続報が出るとしたら、大々的にまた報じられると思います。本牧関連キーワードでいらっしゃる方が多いので追記しておきました。

2014.04.16追記:原子力規制庁の調べで、現段階ではトリウムの可能性が高いと言われています。

[ソース]カナロコ:放射線量は最大15マイクロシーベルト 横浜港から輸出予定のコンテナ、トリウムの可能性

2014.04.17追記:荷主である日本郵政もコメントを出しました。大した内容じゃありませんが。

[ソース]日本郵政:基準値を超える放射線量が検知された輸出コンテナについて(PDF)

2014.04.21追記:日本郵政が対応に苦慮しているという続報が出ました。

[ソース]カナロコ:コンテナ放射線検出から1週間 対応に苦慮

2014.05.01追記:本日、コンテナ内の約250の国際郵便物(小包)をひとつずつ測定すると荷主の日本郵便が発表しました。

[ソース]基準値超え放射線量コンテナ、本牧ふ頭できょう開扉

2014.05.01追記:日本郵政が放射線の発生源を特定し、遮蔽の上、安全な状態で保管することができたと発表しました。発生源が何だったのかといった具体的な内容はよくわかりません。まあ、そうでしょうなぁ。今後、もしかしたら何らかの発表がまだあるかもしれませんが、相当に慎重を期した上でのことでしょう。最後まで詳細はわからない、というオチになる予感大。

[ソース]基準値を超える放射線量が検知された輸出コンテナについて

と書いた直後、日テレでこんな報道が。

横浜市の本牧埠頭(ふとう)で日本郵便のコンテナから国の基準値を超える放射線量が検出された問題で、発生源は岩盤浴などに使う天然鉱石を含む製品であることが分かった。

このコンテナには台湾宛ての小包約250個が入っており、先月11日に船に積み込む際の検査で国の基準値(毎時5マイクロシーベルト)を超える放射線量が検出された。

日本郵便が1日、日本原子力開発研究機構や原子力規制庁の立ち会いの下、コンテナ内部を調べたところ、4つの小包が発生源であることが分かった。いずれも差出人は同じで、差出人によると、中身は市販されている「岩盤浴などに使う天然鉱石を含む製品」だという。小包からは最大で33マイクロシーベルトが検出されており、現在もコンテナ内に保管されている。

今後は専門機関で、改めて放射線の濃度などを調べるという。

[ソース]コンテナから放射線 発生源は“天然鉱石”


だそうです。

2014.05.02追記:こちらの最新記事もあわせてどうぞ。

放射能コンテナ騒動で沸いた横浜港・本牧ふ頭で使われていた放射線測定器

2014.06.11追記:小包は差出人が引き取ったとのことです。

[ソース]日本郵便:基準値を超える放射線量が検知された国際小包について

なお、この文書で記されている「郵便法第 12 条で規定する郵便禁制品で定める基準値は 10 ベクレル/g であり、当該小包(4個)は郵便禁制品に該当」に関してですが、これがいまいちよくわかりません。

12条四の「法令」は「放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律」「電離放射線障害防止規則」のことかと思ったらそうでもなさそう。トリウムが10Bq/gとは規定されていないからです。

IATA(国際航空運送協会)の「Dangerous Goods Regulations」という規定の中の「TABLE 10.3.D Excepted Package Activity Limits(10.3.11.1.2 to 10.3.11.1.5) 」も関係しているようですが、読んでもいまいちよくわかりませんでしたw

どこにトリウムは10Bq/gってあるんだろう…。

[参考]
日本郵便:国際郵便として送れないもの
日本郵便:危険物 - 放射性物質

追記以上
さて、放射線測定器を見ていきましょう。本牧ふ頭を管理する横浜港埠頭(株)の公式サイトにはこのような写真が掲載されています。

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[ソース]輸出コンテナの放射線測定装置について

いわゆるRPM(Radiation Portal Monitor)です。メーカーは不明。おそらくハンディタイプのサーベイメーターもあるのでしょうが、何を使っているかはよくわかりません。

では、消防はどうでしょう。アメリカ風に言えばファーストレスポンダー(first responder)の代表ですからね。気になるところです。

まず、本牧ふ頭近くの中消防署本牧和田出張所。

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>fire_004.jpg
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[ソース]横浜市会議員 中島みつのり:放射線量測定についてのご報告(2011年6月7日)

「RDS-30」(Mirion Technologies)、「DOSEi」(冨士電機)、「TGS-146(B)」(日立アロカメディカル)。2011年6月段階の情報ですから、現在は違う機種もあるかもしれませんが。「RDS-30」はフィンランド政府から日本に寄贈されたものかな? とりあえず、アロカと「RDS-30」は消防でよく使われているようです。

【東京都内在庫・即納】日本語説明書付 RDS-30 ガイガーカウンター

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[ソース]有明広域行政事務組合消防本部

昔のアロカですね。機種名不明。

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[ソース]熊谷市:消防士の制服と災害時の服装

このポーズ、完全にふざけとりますなw 日立アロカメディカルの電離箱式サーベイメーター「ICS-323C」もしくは前モデルです。

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[ソース]東村山消防署:放射線測定器

「6150AD」(AUTOMESS)。まじかー。RADOS系、TFS系以外のドイツ最大手。専門機関から一般市民まで、各所でよく使われています。萌えますなぁ。

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[ソース]豊岡市消防本部:2月-緊急消防援助隊 救助隊員訓練(資機材取扱い訓練)

「RadEye B20」「RadEye G-10」(TFS)。”ファーストレスポンダー”って感じがしますw

放射能測定器 RadEyeB20 サーモ社(アメリカ)製

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[ソース]東京消防庁第九消防方面本部:科学車両紹介

「HDS-100」(MGP=MT)! 東京はハイカラですな。まあ、危険度や危険の種類が地方とは違うから、こういうチョイスなんでしょうけど。にしても、この”びっくりどっきりメカ発進”的配置!www

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[ソース]生駒市消防本部:消防の仕事

「SV-7」と「REM GUARD RD-2E」(いずれも理研計器。廃版)。前者は電離箱式線量計です。古くからある機関だったらまだ現役で使われてるのかな?

fire_014.jpg
[ソース]松原市:消防署

また「REM GUARD」。消防署にまとめて販売してたのかな?

ちょっと脇道にそれます。理研計器と消防の関係で調べていたら、こんなニュースを見つけました。

[ソース]放射線測定器感度チェック用付属品の紛失について

泉消防署中田消防出張所で「REM GUARD」に付属していたチェックソースがなくなっていたという報告です。発覚したのが平成23年。約10年放置されてたのに、なぜ紛失時期(7ヶ月間)が特定できるんだ!?w

まあ、とりあえず横浜市の泉消防署中田消防出張所でも「REM GUARD」が使われていると。

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[ソース]船橋市役所こどもホームページ:消防図鑑 放射線防護服

またまた「REM GUARD」! なんなんだろう。理研計器が地方の各消防本部等に営業をかけていた? 総務省からの流れ? 理研計器はガス検知器で国内トップシェア。「理研計器さん、ついでに放射線測定器もおねー」って感じですかね。

こんな資料も見つけました。

[ソース]宇部・山陽お野田消防局:消防水利・機械器具

こちらでは平成9年(1997年)に購入実績があります。なお、理研計器のホームページでは「REM GUARD」は2004年夏ごろまで掲載されていました。以降は掲載されていません。なんとなく、同機の製造時期が見えてきそうです。

ところで、「REM GUARD」には2つのバージョンがあるとわかりました。製造時期によって異なるのでしょうけど、メーター表示に差があります。

rd2e_003.jpg
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[画像転載元]QUAQUI

前者はサーベイ部のアナログ風メーターの数値欄がひとつです。後者は上下ふたつにわかれています。SとLの文字はShortとLongかと思ったのですが、違いますね。おそらくプローブの型番「RD-2E-PS」「RD-2E-PL」を指すのでしょう。

画像をよく見ると、下には小数点が入っています(Lは低レンジ用プローブ)。ですから、たとえば「.4」でレンジが×0.001だと、0.0004mSv/h=0.4μSv/h。数値の間に「●」がありますから、分解能は0.1μSv/hとなります。ややこしいなw

まあ、とにかく変わった機種です。サーベイ(線量率)はアナログ風メーター表示、積算はデジタル表示というのがまず珍しい。そして上述の通り、改良を加えた結果、レンジ切り換え表示も強引極まりないw そもそも、この時期に製造されたサーベイメーターで、線量率と積算の両方を備えたモデルって国産ではあまりなかったんじゃないかなぁ。

消防署では現在でも「REM GUARD」を使っているところが多いようです。冒頭の本牧の件もそうですが、別に原発事故じゃなくても、意外と放射線測定器が必要なシーンはあります。もうそろそろ、入れ替えてもいいんじゃないでしょうかねぇ。

GMとシンチをプローブで使い分けられるサーベイメーターと、コンパクトで高感度な危険察知用、あと、ザックリと核種がわかるようなもの…おお、まさにTFS!

というわけで、「RadEye SPRD」でも「identifinder」でも「HDS-100」でもいいんですが、こういうのが一台あれば、とっくに本牧の正体わかってるよねーという記事でした。いや、もうわかってるんだけど、報道に乗っかってないだけか??

[関連過去記事]
各国の輸入に関する放射線検査・規制(国交省資料)を見てみた

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コメント一覧

1176. 2014.06.12
http://www.post.japanpost.jp/service/cant_send/syousai.html
「危険物船舶運送及び貯蔵規則」には告示で定めると書いてあるので、
「昭和52年運輸省告示第585号」
http://wwwkt.mlit.go.jp/notice/pdf/200806/00004974.pdf
を読むと、第一条の二にて免除対象が決められており、
一で1 Bq/g
二で1,000 Bq
三で天然鉱石は10倍
結果、天然Thは免除濃度 < 10 Bq/g、免除総量 < 10,000 Bq。
1177. 2014.06.12
ありがとうございます!やっぱIATAと同じなんですね。日本語になって理解できましたw

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