和田修さんの物を見る眼~御歳70を越えるおじいちゃんの自作放射線測定器と製品選択のセンスに感動させられた

2014年03月09日
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2014年3月6日付で、こんな記事がありました。

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紀伊民報:半世紀、自宅で放射線を常時測定 自作の線量計ですさみ町の和田さん

和田修さんが放射線測定器を持つようになって50年。電子機器の工作も得意で、これまで10台以上の放射線測定器を自作してきたそうです。

写真のものは10年ほど前に購入した自作キットの改造版。もともとはLND712でしたが、調子が悪く、J408γβに交換したそうです。和田さんのブログ「すさみ町で愛犬とのんびり暮らし」にはこんな風に書かれています。

LND712を使用していたときはバックグラウンド放射線(BGR)のカウントが60~70CPMであったと思いますがJ408では80~90CPMで少し感度UPです!

[ソース]http://ja3hsv.blog.ocn.ne.jp/blog/2013/10/post_f2cb.html

放射線測定器に詳しい人にとってみれば、なんてことのない記述かもしれません。けど、このブログを読み、和田さんの人柄がわかれば、この一文がとても感動的に思えるはずです。

70歳を越えるおじいちゃんが、趣味で放射線測定器を自作しています。この歳になってまで日々が新しい発見でいっぱいです。上記の和田さんのセリフは、

「ほら、お母さん、自転車乗れたよ!」

そんなセリフにも似た、純粋な感動が込められています。72歳のおじいちゃんが感動している素朴な姿に、見ているこちらも感動させられます。

あるいはこんな記事もありました。

追加事項 大発見!

(マイクロ波ドップラー動体)センサーを目の前において波形処理の前段、コンパレータへの直前の波形を観測していましたら何も動いていないのに周期的な波形が出てきます。不思議に思ってよく観測してみるとなんと!私の心臓に同期しているではありませんか!

つまり、マイクロ波が心臓に当たって跳ね返ってくる波形なのです。

30センチくらい離れていても検出します。息をこらえて動かずにいるともっときれいな心電図が取れます。

もう少し研究してみよう・何かの役に立つかも・・・

[ソース]http://ja3hsv.blog.ocn.ne.jp/blog/2012/02/post_895f.html

これは放射線測定器とは関係ありませんが、新たな発見に、まさに胸をドキドキさせ、その感動をストレートにブログに書きつづってらっしゃいます。私は和田さんの感動している様子に感動せざるをえません。

さて、ブログを読む限り、和田さんは2台の既成品をお持ちのようです。この2台がまた面白い。

まずは「エアカウンターEX」!w

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誰でも簡単に使えますから、一般論としては、ご老人にも最適な機種でしょう。しかし、和田さんは違います。電子工作が趣味です。GM管も半導体も知っています。なんなら、冗談半分に「シンチが自作できれば」みたいなことをさらりと言ってのけるほどです。そんな方が黒卵。いったいなぜ…。

芳香剤などを販売しているエステー(株)は以前から個人用の放射線測定器を販売していたが今年からCsI(ヨウ化セシウム)結晶を使ったシンチレーター式の放射線(ガンマ線)測定器を販売しています。個人でも入手可能になったので購入してみました。シンチレータ使用の放射線測定器としては驚きの価格です。

[ソース]http://ja3hsv.blog.ocn.ne.jp/blog/2012/12/ex_d1e1.html

おじいちゃんの関心は、黒卵自体ではありません。どちらかというとシンチに向いています。シンチは少々値が張りますし、半導体単体に比べて扱いも難しい。おじいちゃんにとっては、ある意味で”憧れ”の存在でした。

そんなシンチがこの価格で入手できるようになった! そんな素直な驚きでおじいちゃんは黒卵を買ってみたんですね。とてもほほえましいです。

次はこちら。

gc_913.jpg
[ソース]http://ja3hsv.blog.ocn.ne.jp/blog/2011/06/post_9e70.html

先述のセリフ

電子回路はPINダイオードでシンチレーターに入射した放射線の発光を捕らえるだけだからシンチレーター自体を自作したら作れるかも・・

が登場する記事なんですが、写っているのはКварц(Kvarts)の「ДРСБ-01(DRSB-01)」! さすがです。和田さんすごいと言わざるをえません。

「DRSB-01」は90年代、ロシアのРадиозавод(英訳するとRadio factory)というメーカーがKvartsというブランド名で販売していたガイガーカウンターです。音とランプのみ、数値表示はありません。

リテール品で、この頃のガイガーカウンターで、これほどシンプルなものはないといっても過言ではありません。そして、そのシンプルさゆえ、電子工作マニアの間では今なお人気の機種です。各所で改造が試みられています。

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[ソース]Kvarts DRSB-01 Geiger counter USB mod

和田さんがなぜ、どこで「DRSB-01」を入手したのかはよくわかりません。わかりませんが、おそらくは無意識的に、ある種の勘で、自分にピッタリな機種を選んでらっしゃる。このことにまた感動させられます。

長年の間、電子機器、放射線測定器を見てきた和田さん。各種製品を見つめる和田さんの眼には、少年のような純粋さがあり、勘(センス)があり、そして愛があります。私もこんな風に製品を、放射線測定器を見ていきたいなぁ。そんなことを感じさせられました。

エステー エアカウンターEX CsIシンチレーション式 放射線測定器 日本製


<追記>

福島のあのときも1週間後くらいからしばらく2~3倍のBGRを観測しました。原発との関連は不明ですが超新星や太陽の異常活動も無かったので関係者にも報告しましたが誰にも相手にしてもらえませんでした。

[ソース]http://ja3hsv.blog.ocn.ne.jp/blog/2013/10/post_f2cb.html

この件に限らず、和田さんはしっかりとした科学的知見をお持ちです。原発云々なんてこともおっしゃってません。ぜひ和田さんのブログも読んでみて下さい。和田さんがいかに穏やかで、慎み深く、謙虚で、好奇心旺盛で、発言にも気遣ってらっしゃるかがよくわかると思います。

だいたい、紀伊民報の記事の趣旨は、3倍とかそんなことじゃないでしょうに…。
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