ExploraniumからSAIC、そしてRadiation Solutions Inc、Georadisへの道のり

2014年03月05日
関連ワード:コラム , history , 集めてみた ,
歴史

1968年 Exploranium(カナダ)設立
1983年 John CoxがExploraniumを買収
1993年 ENVI-2000(チェコ)設立
1997年 David BroadleyがExploraniumの社長に就任
Jens HovgaardがRadiation Solutions Inc(RSI)(カナダ)を設立
1998年 ENVI- 2000がExploranium CZ(チェコ)に改名
2003年 SAICがExploraniumを買収
2006年 RSIが次世代放射線測定システム(デバイス含む)の開発を本格的に開始
Georadis(チェコ)設立

チェコのENVI-2000はカナダ企業製品の製造を請け負っていました。その中でも特に大きかった取引先がExploraniumだったのでしょう。1998年にExploranium CZと改名しました。

2006年ごろ、SAIC/ExploraniumからRSIあるいはGeoradisへ、放射線測定器事業が移ります。

・製造ラインだったExploranium CZがGeoradisとなり、既存モデルおよび新製品のメーカーとして独立した

・SAIC/Exploraniumから放射線測定器(システム)の一切の権利をRSIが取得し、実際の製造は旧Exploranium CZ=Georadisが担った

どちらかのような気がしますが、よくわかりません。また、Georadisの製造する放射線測定器はすべてRadiation Solutions Incブランドです。両社がどのような関係を持っているのかも不明です(資本関係があるのかどうかなど)。いずれにせよ、2006年からExploraniumというメーカー名もブランド名も徐々に姿を消していきます。

※Exploraniumという商標(TM)は現在でもSAIC系が持っています(SAIC Energyを前身とする現・LEIDOS ENGINEERING, LLC

Exploraniumの放射線測定器事業にとって、最大のマーケットはドイツ、イギリス、フランスといったヨーロッパ諸国でした。製造コスト、製品の流通などを考えると、チェコに子会社的な製造部門を置いておくのが効率がよかったのでしょうね。

[参考サイト]
Radiation Solutions Inc
Georadis

放射線測定器

では、Exploranium時代からどのような放射線測定器が開発されてきたのかを見てみましょう。

GRS-110(EXPLORANIUM)

exploraniumhistory_001.jpg
[ソース]Big Sky Geophysics

シンチレーターのアナログサーベイメーター。詳細は不明です。

GR-101

exploraniumhistory_016.jpg
Micro-R Meter Radiation Detector

INDICATED USE Low Level (micro R) gamma survey
DETECTOR 1"x1" Nal (TI) scintillator
SENSITIVITY Typically 175 cpm/μR/h
17.5 cpm/nSv/h (137 Cs gamma)
ENERGY RESPONSE Energy dependent
WEIGHT 4.5 lbs (2.1kg) including batteries

LUDLUMの「Model 19」とまるで同じです。見た目もスペックも。OEMでしょうかね。

あるサイトでは、同じ見た目のサーベイメーターが「GR-100」と銘打たれて紹介されていました。単なる表記ミスか違うものなのかはよくわかりません。

GR-101A

この機種は追記(2014.06.05)です。

exploraniumhistory_017.jpg
[ソース]Exploration Instruments:Radiometrics GR 101

上の「GRS-110」とほぼ同じ外観ですが、メーカーはGeometrics(1968年設立)となっています。これで気付いたのですが、ExploraniumはGeometricsの一部門だったようです。

「GR-101A」は1970年代後半の機種です。当時、GeometricsはEG&G傘下でした(1976年~1983年)。1997年、Geometricsは日本の応用地質に買収され、現在も同社のグループ企業です。

なお、「GR-101A」と「GRS-110」にどのような違いがあるのかは不明です。

GR-110

exploranium_003.jpg
[ソース]Faktasamling CBRN:R/N-detektion och analys

リリース後すぐに、「GR-100S」「GR-100T」とモデルが分かれたようです。前者がベーシックなモデル、後者は内蔵されている検出部(シンチレーター)を最大2mまで伸ばすことができます(テレスコピックで)。

後年、SとTではなく「GR-100G」「GR-100E」となるようです。単に名称が変わっただけなのか、中身もマイナーチェンジしたのかは不明です。

[関連過去記事]
オシャレを通り越したEXPLORANIUMの見事なレタリングに胸の鼓動が止まらない

GR-130 "miniSPEC"

exploraniumhistory_008.jpg
exploraniumhistory_004.jpg exploraniumhistory_005.jpg
[ソース]JAWAold.su:Страшилки про радиацию или борьба с радиофобией.:)

スペクトルサーベイメーター。SAIC時代も製造されていたかどうかは不明です。

リリース後すぐに「GR-130m "miniSPECm"」というモデルもリリースされました。mはmedicalのm。医療現場での使用を視野に入れ、18keVという低エネルギーにまで対応範囲を広げたのだとか(例:I 125、Pd 103、TI 201)。

GR-100

exploraniumhistory_002.jpg
[ソース]ヤフオク!:究極最強 Csi シンチハンドヘルド線量計 NOS 新品

2001年の9.11テロを受け、放射線測定器メーカーは新たなモデルを次々に開発します。「GR-100」もその内のひとつ。同機がリリースされた当時のメーカーの説明文を引用してみます。

Radiation pagers were initially developed to be an easy to use field instrument to perform basic gamma radiation detection tasks. With the increased security threat of radiological and nuclear terrorist activity the role of the pager has changed dramatically.

No longer do we need a “basic” field instrument, but now the need is for a sophisticated, technologically advanced, yet still user friendly detection instrument.

Meeting this new demand is the Next Generation Pager, the GR-100. Exploranium’s newest instrument adds major new capabilities to the existing capabilities of the basic pager, making the GR-100 pager truly a front-line tool capable of operation by unskilled users in customs, security, military and emergency response teams.

”pager”という言葉も飛び出します。これまでにない新しい製品だということを強くアピールしている姿が見て取れます。

GR-135 "THE IDENTIFINDER"

exploraniumhistory_007.jpg
スペクトルサーベイメーター。これもまた9.11を受けての新製品です。

SAIC時代も製造されていたかどうかは不明です。そして、下の「Plus」との差もいまいちよくわかりません。

GR-135 Plus "THE IDENTIFINDER"

exploraniumhistory_009.jpg
exploraniumhistory_010.jpg
上述の通り、いつリリースされたかは不明です。今でも使われていますね。GreenPeaceとかでw

余談ですが、そしてほんとどうでもいいことなんですが、球露屋さんは「GR-100」を”ハンドヘルド”と説明しています。もちろん間違いではありません。一般論として、これはどう考えてもハンドヘルドです。

しかし、Exploranium的には「GR-100」はポケットタイプ(ページャー)で、「GR-135」がハンドヘルドです。ポケットタイプかハンドヘルドかで明確に製品をわけて紹介していましたから、同社にとっては、いや、当時の放射線測定器メーカーにとっては、この差にこだわりがありました。だからこその”pager”なんですねぇ。

[関連過去記事]
放射線測定器業界のバズワード~”pager(ページャー)”という言葉は誰が使ってる?

サーベイメーター以外にも、いろいろなタイプの放射線測定器を販売していました。

exploraniumhistory_011.jpg
exploraniumhistory_012.jpg
[ソース]Earthmaps Consulting

地質や環境調査用のNaIスペクトルメーター「GR-320 enviSpec」。

exploraniumhistory_013.jpg
exploraniumhistory_014.jpg
[ソース]facebook:SAIC / Exploranium

車両用のゲートモニタ(Radiation Portal Monitor/RPM)。いろいろなモデルがあり、この写真がどれかはよくわかりませんが、現在でも販売されているのは「RS-300」と「RS-400」です。

exploraniumhistory_015.jpg
[ソース]http://forlix.org/articles/saicpd10i.shtml

SAICの個人線量計「PD-12i」。これはSAIC独自の製品でしょうかね。Exploraniumが絡んでいたのかどうかはよくわかりませんし、現在でも販売されているかどうかも不明です。

2014.06.05追記:RAE SYSTEMSの「DoseRAE」と関係があります。詳細は以下の記事をご参照下さい。

「DoseRAE」が税送込で3,090円~「DoseRAE」とは何なのか、そしてどう誕生したのか。意外な誕生秘話

[参考サイト]
[ RadSafe ] Exploranium GR-130M instrument repair
Radiation Monitor Services
Geomatrix Earth Science(旧サイト)
SAIC Canada Completes Acquisition of Exploranium G.S. Limited.
関連記事
エアカウンターEX

コメント一覧

コメントを投稿する




管理者にだけ表示を許可する

みんなの放射線測定入門 (岩波科学ライブラリー)
著者:小豆川勝見(しょうずがわかつみ)

いちから聞きたい放射線のほんとう: いま知っておきたい22の話
著者:菊池誠(きくちまこと)×小峰公子(こまつきみこ)

武田邦彦が教える 子どもの放射能汚染はこうして減らせる!2 親子で一緒に実践編  (SUKUPARA SELECTION)
著者:武田邦彦(たけだくにひこ)

いちえふ 福島第一原子力発電所労働記(1)
著者:竜田 一人(たつたかずと)