2014/03/03

Thermo Fisher ScientificやBertholdなどの巨大メーカーがどうしてもほしかったWallac

Wallacの3台のガイガーカウンター

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ebay:Wallac RD-8 Universal Survey Meter/Radiation detector

Wallac(フィンランド)のガイガーカウンター「Universal Survey Meter RD-8」です。1970年代、Civil Defense用、あるいは軍用に作られました。

左側面にダイヤル式の開閉窓がついていて、開けるとβ線を測定することも可能です。この形状からわかる通り、基本的にはデスクに置いて、測定対象物を左手に添えるようにして置いて測定します。当時で$565だったようです(おそらく実勢価格)。

Wallacの正式名称はWallac Nuclear Instrumentsかもしれません。いずれにせよ現在は存在していません。

Wallacが設立されたのは1950年。主に研究・医療分野の放射性核種測定器を開発・製造していました。しかし、60年代にはこんなガイガーカウンターも作っています。

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「RDM」(上)と「RDP」(下)。いずれも1961年、アメリカのGelman Instrument Companyが販売していた個体だそうです。

「RDM」は音だけのガイガーカウンターです。「RDP」はメーター表示のアナログガイガーカウンター。Civil Defenseバージョン(0.1~2、1~100R/h)、スタンダードバージョン(0.1~50mR/h、0.01~1R/h)、高線量バージョン(1~500mR/h、0.2~50R/h)の3モデルがあったようです。

[ソース]
ORAU:Wallac Oy RDM Personnel Monitor (early 1960s)
ORAU:Wallac Oy RDP Personnel Monitor (early 1960s)

Wallac製のパーソナルユース放射線測定器は、私が知る限りこの3機種のみです。正直、同社にとってパーソナルユース・ガイガーカウンターなんてものは”趣味程度”だったような気もします。

Wallacの歴史は買収の歴史

Wallacの歴史は、この分野における他社のそれと同様、買収に次ぐ買収の歴史でした。

1986年、Pharmacia(のちのPhadia、現・Thermo Fisher Scientific)に買収され、1990年に売却されます。売却先がよくわからないのですが、もしかしたらスウェーデンのProcordiaかもしれません。

Procordiaは1990年、Pharmaciaに買収されています。つまり、PharmaciaはProcordiaを買収しつつ、自身が持っていたWallacをProcordiaに移した、そんな感じだったんじゃないでしょうか。

1993年、ProcordiaはWallacをEG&Gに売却。社名はEG&G Wallacとなります。

1999年、EG&GはPerkinElmer(パーキンエルマー)を買収し、みずからの社名もPerkinElmerとします。と同時に、EG&G WallacはPerkinElmerのPerkinElmer Life Sciencesという部門に吸収されました。

まあ、これだけ買収されたってことは、それだけ価値があったということでもありますね。Wallac自体は。

さて、Wallacの名前は現在、ブランド名、あるいは過去の関連会社名に使われているだけです。もちろん、パーソナルユースの放射線測定器も製造されていません。しかし、Wallacの遺伝子は微かながら世界中で感じとることができます。その一例がBertholdです。

サンプルのエネルギースペクトラムを表示放射線分析器(ガンマ線スペクトルメーター) LB2045

一瞬にして消え去った流れ星

1989年、BertholdはEG&Gに買収されます。2000年に創業家であるBertholdファミリーが買い戻し、現在のBerthold Technologiesとなるわけですが、この買収により、Wallacの製品、技術がBertholdにも渡ります。実際、現在のBerthold製品の中にはWallacが開発した機器から発展したものも数多くあります。

こうして見てくると、先ほど”趣味程度”と言ったこともおわかり頂けるのではないでしょうか。Wallacの周りには医療、バイオ、各種分析関連機器のビッグネームが勢ぞろいしています。EG&G=PerkinElmer、Pharmacia(Phadia)=Thermo Fisher Scientific、Berthold。

巨大マーケットの巨大企業たち。ひとつの取引で何億と動くビジネスです。そんな中にあって、一台数万円のガイガーカウンターが何百台、何千台売れたところで、たかがしれています。

無数にきらめく満天の星たち。その中で一瞬、ほんの数秒光り、そして消えて行った流れ星。それがWallacの3台のガイガーカウンターだったのです。と書けばキレイに見えるか。”趣味程度”じゃ失礼ですなw

そして今、記事を書き終え、タイトルを書きました。うん、こういうタイトルにすれば、Wallacがとてつもなくすごそうに見えるな。ガイガーカウンターは関係ないんだけどw

[参考サイト]
パーキンエルマージャパン:会社概要
TFS(Phadia):当社の歴史
Berthold:History
PerkinElmer to Sell Berthold.
COMPANY NEWS; EG&G IN PACT TO PURCHASE A FINNISH CONCERN


※「RD-8」がアップで登場するのは1:20あたりからです
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