福島県生活環境部の放射線測定器入札案件に対する苦情についてのあれこれ

2014年01月07日
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なんだかなぁ。というのが率直な感想なのですが、気力を振り絞って書いてみます。

福島県発注の放射線測定器入札に苦情 参加不認可は不当

福島県が放射線測定器納入の入札参加資格を認めなかったのは不当だと、福島市の放射線測定器販売会社「福島電子計算センター」などが県政府調達苦情検討委員会に苦情を申し立てた。

申し立てによると、同社は県生活環境部が昨年12月6日に行った測定器納入入札に参加を申し込んだが、同社の扱う測定器がJIS規格に準拠していないとして参加資格無効と判定され、入札に参加できなかった。

測定器は福島市のJBジャパンブランド社製で、県保健福祉部が前月に実施した測定器納入の別の入札では、同社製の製品で問題ないと判断され、入札に参加して落札した。センターは「部によって製品の評価基準が違い、入札参加の適否判断が正反対になるのは不合理だ」と主張している。

今回の入札では別の業者が落札し、センターの申し立てを受けて契約締結を保留している。納入台数は1100台で浜通り地方の公共施設に配備する予定だが、時期が遅れる可能性がある。

県は「入札資格の適否判断に問題はない」と説明している。

[ソース]河北新報社

問題点はシンプルです。

・入札参加資格にJIS準拠という項目があったかどうか
※追記:情報を頂きました。しっかりハッキリと詳細に、これにまつわる項目があったとのことです

・もしあったのなら、JISのどの部分を満たしていないのか

これがわかれば、はい終了。ですな。

ただ、少々問題がややこしく見えるとすれば、福島電子計算センターの言い分に原因があります。

「部によって製品の評価基準が違い、入札参加の適否判断が正反対になるのは不合理だ」

これは論点がズレとります。福島県側は「JISに準拠してない」という点を問題にしてますが、センターの反論は「対応に差があるのは不合理だ」です。話がかみ合っておりませぬ。

さらに、この反論の仕方はJIS準拠ではないということを暗に認めていることになりますな。だって、「ちゃんとJISに準拠してるぞ!」って言えばいいだけなんですから。

まあ、JISに準拠してなきゃいけないかどうかは難しいところなので、置いておいて、じゃあ「JISには準拠してない。だけど、部によって対応が違うのは不合理だ」という言い分はどうでしょう。

ま、これも難しいところですね。不合理とも言えるし、そういうことだってありえるとも言えますし。これは考え方次第。

ですから、

・JISに準拠してなきゃいけないかどうか

・対応に差があるのは不合理かどうか

この2点はあまり外部がとやかく言っても仕方ありません。考え方次第なんですから。当事者同士で議論するか、裁判なりなんなりすりゃよろしい。

問題は、客観的に証明できる事実のみに絞るべきです。すなわち、繰り返しになりますが、入札参加資格がどうなっていたか、入札しようとしていた機器がJIS準拠じゃないのかどうか、です。

さて、当該案件に関する公告内容等に関する情報を調べてみたのですが、見つかりませんでした。よくわかりません。そもそも何を納入しようとしていたかもわかりません。なもんで、現在のところ、私としては「よくわからんことになっとりますな」と言うのみです。

ことの推移を見守り、新たな情報がわかり次第、適宜、ご報告致します。

※もうひとつ、もし参加資格にJIS準拠と謳っていなくて、あとからそれを判断材料に加えていたとしたら、それは適切かどうか、という問題もあるのですが、これもまあどっちとも言えますな。「納入品がJISに準拠してるのは当たり前だろう」と言われちゃったらそれまでですし、「いや、ちゃんと事前に告知しておくべきだ」とも言えますし。どっちとも言える余地のあることは、この段階においてはあれこれ言わんほうがよいでしょう。

※で、保留になってる機種ってなんでしょね?

※実は「準拠」という言葉も厄介なんですが
話は変わりまして、「精密博士」に関してです。いま一度まとめておきます。

・上海精博工貿有限公司が「JB4020」という個人線量計を開発・製造している



・「JB4020」の外観にとてもよく似た放射線測定器「精密博士」をJBジャパン・ブランドが販売している。この「精密博士」の校正基準は不明



・さらにJBジャパン・ブランドはベータ粒子束密度を測定できる「精密博士(β)」と呼べそうな機種を販売している。言い方が回りくどいのは、正式な製品名がよくわからないから。この「精密博士(β)」は浪江町等に納入実績あり。なお、「精密博士(β)」がどういう校正をされているかも不明
※追記:情報を頂きました。JBジャパン・ブランドの検査成績書に「H(10)」「周辺線量当量率」という文言が記載されているようなので、サーベイメーターということになります。

・以下は予断を含む個人的な感想ですが、「精密博士」「精密博士(β)」が仮にH(10)だとしたら、個人線量計(Hp(10))である「JB4020」を改造してるってことですよね。なぜわざわざそんなことを…。

あれ? もしかして、サーベイメーターと個人線量計の違いを知らずにビジネスを始めちゃったとか? で、途中で気づいてあれこれやって…。まさか! まさかそんなことはないですよね!? 素人でも知っているそんなことを”メーカー”が知らないなんて、まさか! そんなことはないはず。きっと!

ま、何をどうしようが”メーカー”の勝手ではあります。お好きにして下さい。ただ、私はそんなものを…ry

[関連過去記事]
JB4020が個人線量計 / Hp(10) と判明。ということは、精密博士、ES-GC01は…
浪江町のガイガーカウンター その10 ~TERRA-N誕生の背景に隠された”真相”
再び話が変わりまして。

もう10万回ほど言っていますが、繰り返します。

見るべきは性能じゃない。信頼性です。信頼性を担保するのは、製品に関する情報です。メーカーがどのような情報をどれほど出しているか、あるいは情報を出そうとしているその姿勢です。この情報・姿勢を判断材料に、製品の信頼性をはかり、製品を選ぶべきです。

情報を、信頼性を読み取る能力は、放射線に関する知識とは関係ありません。消費者としての目です。消費者リテラシーです。製品の性能云々以前に、消費者としてどうなのかが試されているのです。

放射線測定器は放射線のみを測るものにあらず。

あなた自身をもはかります。
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コメント一覧

1027. 2014.01.07
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1028. 2014.01.08
ひじょーーーーーに有益な情報ありがとうございました! いや、ビックリするような内容です。何にビックリかって、県側の対応です。ここまでしっかりなされていたんですね。すごい。あまり厳しすぎるのもアレなので、バランスが難しいところではあると思いますが。

1100台でその価格。むむぅ。機種はなんだろう。そして、その価格でホンマ大丈夫かいなとも(^^;

しかし、となると県側の「JIS準拠でない」というセリフが一層重みを増します。なるほどなぁ…。

いろいろ申し上げたいことはあるのですが、ここであまり詳しく書いてもアレでしょうからこの辺にしておきます。

情報ありがとうございました!
1029. 2014.01.08
「精密博士(β)」の校正記録(JBは検査成績書)を持っています。
これを見ると基準値が「1cm線量当量率」、校正定数=周辺線量当量率H*(10)÷機器表示値 と表記されています。
これって、「精密博士(β)」がサーベイメータだと認めていることになりませんか?
1030. 2014.01.08
その校正定数の式はJIS Z4511にも規定されているものですし、周辺線量当量率とも明記されていますから、「精密博士(β)」はサーベイメーターですね。しかもJIS準拠かどうかは定かではありませんが、少なくともJISをある程度は意識しているということがうかがい知れます。

情報ありがとうございました! 記事本文にも追記させて頂きます。

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