「GammaRAE Ⅱ R」の意味~GammaRAEの歴史、PM1703Mとの関係 、ポリマスとRAEの裁判

2013年12月19日
関連ワード:コラム , Polimaster , RAESystems ,
「GammaRAE Ⅱ R」-よくよく考えたら、まるで呪文のような製品名です。RAEってなんだ? どうしてⅡなんだ? Rってなんだ? 今回はこんな話をしてみたいと思うのですが、まずは衝撃的な写真をご覧にいれましょうかw

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[ソース]Youtube:Ryanair Flight & Exposure to In-flight Cosmic Radiation on GammaRAE monitor

どうですか? すごくないですか? 実は「GammaRAE」は「PM1703M」(Polimaster)のOEMだったのです。これが「GammaRAE」のおおもとです。2001年の9.11事件を受け、テロ対策に放射線測定器が必要だと判断し、Polimasterと契約を結んで2003年から販売し始めました。

そして2005年1月、RAE Systemsは独自に「GammaRAE Ⅱ」を開発、リリースします。なぜ”Ⅱ”なのかはこれでよくわかるのではないでしょうか。なお、同年6月、RAE SystemsはPolimasterに訴えられます。同時に「GammaRAE」はRAE Systemsのサイト上からその情報がすべて削除されました。裁判の行方を知りたい方はネットで調べてみて下さい。

さて、ここからが少し曖昧です。脇道に逸れますが、ぜひ試してみてもらいたいことがあります。googleで「RAE Systems」を検索してみて下さい。jpドメインは引っかかりますが、本体たるcomがまったく引っかかりません。

これがずっと不思議でした。そして、本日、comのHTMLのソースを見て、「もしかしたら…」という原因を突き止めました。< title >タグに”RAE Systems”という文字が入ってない! 他のメタタグもメチャクチャです。なんじゃこりゃ。

RAE Systemsのサイトが見づらいわ使いづらいわヒドイわって状況は今に始まったことではなく、2005年の本社移転あたりを境にそうなりました。だから、2006年~2008年くらいの情報が掴みづらいんですよねぇ。

という言い訳はさて置き、2006年に「GammaRAE Ⅱ Responder」という製品がリリースされます。そして、いつの間にか「GammaRAE Ⅱ R」が登場します。「GammaRAE Ⅱ Responder」と「GammaRAE Ⅱ R」がどう違うのか、もし違っていたら何が違うのかはよくわかりません。いずれにせよ、”R”はおそらく”Responder”の略だろうということがこれで推察できます。

ちなみに、「GammaRAE Ⅱ」はITRAP(Illicit Trafficking Radiation Assessment Program)準拠(TN-177)ですが、「GammaRAE Ⅱ R」はANSI N42.33-2006およびANSI N42.32-2006のsections 6.2、6.3、6.5に準拠しています。また、後者で使われいる技術は2009年に特許を取得しています(Patent 7,592,603 B2)。

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※クリックで拡大します

では、最後に残った謎、そもそも”RAE”ってなんだ?という点ですが、これがさっぱりわかりません。調べに調べましたが、情報が一切見つかりませんでした。直接、RAEに聞くしか方法はなさそうです(まー、気が向いたら聞いてみようかなw)。

ちなみにですが、その語感から「RはRadiationの略で…」と思われるかもしれませんが、少なくともその可能性は低いです。というのも、1991年の同社設立以来、2000年ごろまではガス探知機など、放射線とは関係のない製品しかリリースしていなかったからです(放射線検知機能を持たせた「AreaRAE Gamma」をリリースしたのは2000年ごろ)。

ところで、「GammaRAE Ⅱ R」は「PM1703M」に似ているとよく言われます。しかし、それは当然のことでして、「GammaRAE」の歴史をひも解けば、その理由もよくわかります。

ただし、両者の設計思想は大きく異なります。このことも過去に検証しているのですが、「PM1703M」がサーチ機能をメインとした純然たるサーベイメーターであるのに対し、「GammaRAE Ⅱ R」は積算機能を持たせたモニターであるという差です。

ですから、相対的な話ではあるのですが、「PM1703M」はサーベイメーター、「GammaRAE Ⅱ R」は個人線量計として使うのが正解だろうと思います。あくまでも両者を比べた場合です。ただ、現状の日本で一般市民が「GammaRAE Ⅱ R」をどう活用すればいいかとなると、話は変わってきます。

gc_100.jpg 現場で作業する重装備のバカでかい体のアメリカ人が「GammaRAE Ⅱ R」を胸に装着し使うというのが想定利用シーン。線量の積算値を記録しつつ、急激な線量変化には素早く反応し、危険を知らせてくれるというのが同機の本来の姿です。

しかし、日本の一般市民が「GammaRAE Ⅱ R」を胸に装着して日々の生活を送るなんてことはしないわけです。てか、そんなことしたくありませんw だったら、積算値はそれなりと考え、急激な線量変化に対応してくれるハイパワーなサーベイメーターとして活用するのが、現状に則した使い方でしょう。あえて言ってしまえば”物は使いよう”ってことですか。

でですね、こういうことは私がとやかく言わずとも、公式サイトやマニュアルにちゃんと書いてあります。にもかかわらず、「同じシンチ。感度も同等。さて、どっちがいいかな」なんてところから考えてチョイスするってのは、私はどーかと思うわけですよ。ええ。

この2機種に限った話ではなく、各機種にはそれぞれ、適切な利用目的があり、ちゃんとしたメーカーはちゃんと説明してくれています。放射線測定器を選ぶ際は、こうしたところをしっかりと把握しておきたいものです。

最後に、これも繰り返しになりますが、以上を踏まえ、「PM1703M」と「GammaRAE Ⅱ R」はどういう人に向いているかというのを私なりに考え、具体的にまとめてみました。

■PM1703M(シリーズ)
・低線量~高線量地域で使う
・急激な線量変化が予測される
・素早く線量変化を知りたい
→ホットスポットを探したいなんて人に最適でしょう

■GammaRAE Ⅱ R
・それなりの線量がある地域で使う
・積算線量も知りたい
・急激な線量変化が予測される
・素早く線量変化を知りたい
→被災地等でのボランティア、除染作業等に携わる人にいいかもしれませんね

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本当の最後の余談。こうして「GammaRAE Ⅱ R」を見ていると、「Dose e」(富士電機)を思い出します。「GammaRAE Ⅱ R」は規格からしてPRDでありEPDでもあります(何の略かわからない人は以下、読まなくて結構です。余計な知識だからです)。「Dose e」も公式にはJISZ4333準拠としか言っていませんが、JISZ4312も満たしているという情報もあります(積算は0.7掛けだそうで。ウソかホントか知りませんが)。

ですから、両者ともサーベイメーターとしても使え、個人線量計としても使えるってことになるのですが、こう言うと、普段は胸に装着し、時折、地面にかざして…なんて使われ方をしてしまうから、富士電機はJISZ4312もいけるとは公式には言えないんでしょうね。

ふたつの基準をそれぞれクリアすることは製品として不可能なことではない。ただ、同時にふたつの基準を前提とするような使用法を想定しているわけではない。包丁としてもカッターとしても使える。だけど、包丁として使うならずっと包丁として、カッターとして使うならずっとカッターとして使わなきゃいけない。時に包丁として、時にカッターとして使っていたら、すぐに刃がボロボロになっちゃうよってことですな。長い余談でした。
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