Dan Sythe(ダン・サイス)のサマータウン~ヒッピーとInspectorあるいはカウントの意味

2013年11月29日
関連ワード:コラム , Inspector , history ,
gc_747.jpg

私はひとつ後悔をしています。1年ほど前、International Medcom Inc(IMI)の社長、Dan Sytheとバッタリ出くわした私は、舞い上がって「Onyx素晴らしいね!」(当時はまだネーミングされていませんでした)、「Inspector Alertの新デザインいいね!」(現・V2)と伝えることで精いっぱいでした。

しかしあの時、もう少し落ちついていたら、そして、もっと知識があれば、私はこう質問すべきでした。

「なぜサマータウン?」

SEIの意味

gc_748.jpg

1978年、テネシー州のサマータウンという地にDan Sythe(以下、ダン)はSolar Electronics Internationalという会社を設立します。上記の画像に写っている「Monitor 4」のマニュアルにも同社名が記されています(画像をクリックすると拡大します)。

ただ、現・S.E. International(SEI)の公式サイトには1979年設立と書かれています。おそらくですが、1978年にSolar Electronics Internationalとして設立され、1979年にS.E. Internationalと改名されたのかもしれませんね。ちなみに、当時はソーラーシステムなんかも扱っていたようで、だから”Solar”なんだと思います。Scient Electronicsみたいな感じかと思い込んでいたんですが、違いましたw

話を戻しまして、1983年、ダンはSEIを退社します。そして1986年、IMIを設立し、現在に至ります。SEIは「Inspector USB」、IMIは「Inspector Alert V2」。このような歴史を見れば、なぜ違う会社が似たような機種を作っているのかが、なんとなくわかるのではないでしょうか。

なお、SEIが設立された1979年にはスリーマイル島原子力発電所事故がありました。IMIが設立された1986年にはチェルノブイリ原子力発電所事故がありました。偶然とは思えない符合をここに感じます。

サマータウン in 1970's

さて、問題はサマータウンです。

gc_749.jpg

こちらはGoogle EarthでSEI本社のある地域を見たものなんですが、どうですか? すごいところにありませんか? 周囲は森だらけ。何もありません。いったいなぜ、こんなド田舎に会社を設立したのでしょうか。

その理由を考える前に、1970年代のサマータウンを知る必要があります。1970年、サマータウンに700人のヒッピーたちが集い、自給自足のコミューン(共同体)を形成します。メンバーたちは互いに支え合い、自分たちの食料を作り、あるいは子供を作って、愛や自由をスローガンに社会変革を求めて行きました。

1980年にはメンバーは1500名ほどとなり、年間で1万人以上の来訪者があったと言います。こうしてサマータウンはアメリカで一番大規模なコミューンとなったのです。

このコミューンを率いていたのは、当時のカウンターカルチャーの中心人物、スティーヴン・ガスキン氏。コミューン自体は1980年代半ばに警察等の介入もあって解体されましたが、彼の築いた「The Farm」という農園は、今もなおサマータウンに存在し、自給自足や農園を体験したいという人を迎え入れています。

gc_750.jpg

アメリカ全土からヒッピーが押し寄せていたサマータウン。そのさ中、同地に設立されたSEI。ヒッピーたちは反原発でもありますから、太陽光エネルギーで自家発電しようともしていました。SEIの前身は”Solar Electronics”。偶然とは思えない符合をここに感じます。

カウントとは

「count」の語源は、computare(フランス語)。comは一緒に、近くに、putare(peu)は切り取ること、打つこと。ふたつのものがぶつかるようなイメージです。ぶつかるから”反抗”、アイデア等が頭にぶつかって来るから”考える”、ひとつぶつかればワン”カウント”、ふたつぶつかればツー”カウント”。だから”計算する”。さらには、みんなが一緒になるからカントリー(country)。

既存のカルチャーにカウントするヒッピー。GM管でぶつかってくる放射線をカウントするガイガーカウンター。カウントという同じ言葉が使われている両者は、サマータウンという地で本当に近づいていました。偶然とは思えない符合をここに感じます。

ダンさん。あなたにとってサマータウンとは何だったんですか? 当時、あなたは何をカウントしていたんですか? SEIを抜け出たのはカウントだったのですか? 今のあなたは何に対してカウントしていますか?

Inspectorという機器をより深く理解するためのこうした疑問を、Dan Sytheに直接ぶつける機会を逃していた。それが私の後悔です。



[参考サイト]
AMERICAN COMMUNE
LinkedIn:Dan Sythe

[関連記事]
S.E. InternationalとInternational Medcomの関係
獏原人村とガイガーカウンター
関連記事
エアカウンターEX

コメント一覧

コメントを投稿する




管理者にだけ表示を許可する

みんなの放射線測定入門 (岩波科学ライブラリー)
著者:小豆川勝見(しょうずがわかつみ)

いちから聞きたい放射線のほんとう: いま知っておきたい22の話
著者:菊池誠(きくちまこと)×小峰公子(こまつきみこ)

武田邦彦が教える 子どもの放射能汚染はこうして減らせる!2 親子で一緒に実践編  (SUKUPARA SELECTION)
著者:武田邦彦(たけだくにひこ)

いちえふ 福島第一原子力発電所労働記(1)
著者:竜田 一人(たつたかずと)