放医研と日立アロカメディカルのホットスポット探査システムがいろいろな意味で興味深い

2013年03月29日
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独立行政法人 放射線医学総合研究所が日立アロカメディカルと共同で、ちょっと面白いものを作り上げました。「ホットスポット探査システム」です。

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[ソース]
放医研:ホットスポット探査システムの開発に成功 -除染作業の効率化、帰宅地域の安全・安心に貢献-
FNN:放医研、ホットスポット探査システム開発 広範囲に素早く特定

3つの検出器(NaI 75mm×75mm)を搭載し、それぞれのエネルギースペクトルを比較することで放射線源の方向を特定するというのが最大の特徴です。2台で測定すれば距離も割り出せると。

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システムの内容に関する詳細は上記の放医研のサイトをご覧頂くとして、面白いなと思ったことが2点あります。

まず、モニタリングポストとの関係です。上記リリース中にこんな文言があります。

今回、試作した探査システムはモニタリングポスト(原子力発電所や、環境監視センターなどで空間線量率を測定するのに用いられる放射線検出器)用の検出器と同じ大きさの検出器(ヨウ化ナトリウムシンチレーション検出器※1、結晶は直径75mm×長さ75mm)で、図2のように120度ずつ3分割して用いています。

とても不思議な書き方です。モニタリングポスト云々という修飾語は、ここでは必要ないはず。だけど、放医研はあえてモニタリングポストという単語を出しています。これをさらに強く感じさせるのがこちらの画像です。

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筺体にも「環境γ線連続モニタ」と表記されています。環境γ線連続モニタとは、いわゆるモニタリングポストを指します(「JISZ4325:環境γ線連続モニタ」参照)。しかし、このJISにはこんな但し書きがあります。

1 適用範囲 この規格は,原子力施設及び放射線施設(以下,施設という。)の周辺に設置され,環境γ線の空気吸収線量率又は空気カーマ率(以下,線量率という。)を連続的に監視するモニタ(以下,モニタという。)について規定する。ただし,携帯形及び可搬形のモニタは除く。

このホットスポット探査システムは可搬形ですから、JISに照らせば環境γ線連続モニタ≒モニタリングポストではありません。にも関わらず、あえてモニタリングポストに言及し、「環境γ線連続モニタ」と表記します。アロカが開発に携わっていますから、当然、JISのことは熟知しています。JISにおける「環境γ線連続モニタ」にあたらないこともわかっている。だけど、あえてそうしています。ここが非常に面白いと思う点です。

どういうことかと言いますと…。

逆に、放医研のホットスポット探査システムを工業製品として見た場合、どのJISにもあてはまりません。しかし、アロカとしては勝手になんでも作ろうとはしません。一定程度、製品規格を意識します。とすると、このホットスポット探査システムは、あえて言うならばJISにおける「環境γ線連続モニタ≒モニタリングポスト」に近い。可搬型であるがゆえに、構造や性能の面でJISに準拠することはないけれど、できるだけこれに沿おうとする。その結果がモニタリングポストへの言及、「環境γ線連続モニタ」という表記になります。

アロカの律義さが如実に表れていて面白いとも言えるのですが、もうひとつ、JISが想定していないようなものも作らなきゃいけない時代なんだなぁと思ったり、あるいは場合によってはJISも見直す必要があるんじゃないかと考えさせられたり(モニタリングポストに限らず)。

昨今リリースされるいわゆるサーベイメーター的放射線測定器を見ていますと、JISが予期していないような機能・構造を備えていたりしますし、先般のリアルタイム線量測定システムもJISの守備範囲外ですしね。

別に、すべからく製品はJIS準拠でなければいけないとは思っていませんし、JIS至上主義もどうかとは思うのですが、先日お寄せ頂いた富士電機関係者と思しき方からのコメントによりますと、腕時計型の個人線量計を開発しようとしたところ、規格がひとつの足かせとなって実現には至らなかったそうです。本末転倒な話だと思うのですが、大手メーカーとしてはそうせざるを得ないわけでして、しかし、技術者側からすれば、「なんでやねん!」と歯がゆくもあるでしょうねぇ。

さて、次に面白かったのはガンマカメラに対する言及です。暗にガンマカメラに対するホットスポット探査システムの優位性を上記リリースで謳っています。

日立アロカメディカル:ホットスポット探査システム(独立行政法人放射線医学総合研究所)

日立コンシューマエレクトロニクス:ガンマカメラ(独立行政法人科学技術振興機構)

明らさまに争うってわけでもないんでしょうけど、好意的に見れば同グループが切磋琢磨?w なかなか面白い状況ではありますな。

最後にひとつ余談を。ホットスポット探査システムとなんとも野暮ったい名前が前面に出ていますが、一応、「NiRS」という製品名ですかね。読み方はニース? 何の略だろう。

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コメント一覧

1081. 2014.03.27
個人被ばく線量計は胸につけるのが、義務つけられてます。だから腕時計型は売れなかった、無料で配ったけど
引き合いがなかったな。ぽりますたーは売れているのに。おまいら、無料で配ったんだから、欲しいならアンケートに記入しろって。

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