2013/03/07

実用量を10ステップで解説してみた~まだわからないあなた、逆から考えてみて下さい

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<1>
あなたが手にしているそれはなんですか?
個人線量計ですか?
サーベイメーターですか?

<2-1>
個人線量計なら、そこに表示されている数値は、
個人線量当量(率)です。

個人線量計の表裏を確認し、適切な方向を表にし、体に装着。
こうして得られた測定値であれば、
そして、その機器が適切な製品であれば、
正しく個人線量当量(率)を測定・表示できるはずです。

<2-2>
サーベイメーターなら、そこに表示されている数値は、
周辺線量当量(率)です。

γ線を測定したいなら、周囲に何もない状態で、
地上1mほどの高さで測定します。
こうして得られた測定値であれば、
そして、その機器が適切な製品であれば、
正しく周辺線量当量(率)を測定・表示できるはずです。

<3>
こう考えれば、
「DoseRAE2の積算値とTERRAの積算値って違うの?」
といったバカげた疑問も抱かないはずです。
なぜなら、DoseRAE2は個人線量計で、TERRAはサーベイメーター。
それぞれが表示している数値は個人線量当量と周辺線量当量だからです。
”積算値”と言ってしまうと同じように聞こえますが、違いますよね?

<4>
なぜ、このような誤解や疑問が出てくるのか。
それは、考え方が逆だからです。

その場に個人線量や周辺線量があるわけではありません。
個人線量計が指し示した数値だから個人線量当量なんです。
サーベイメーターが指し示した数値だから周辺線量当量なんです。

不思議に思うかもしれませんが、
これこそがまさに実用量なんです。

<5>
ということはつまり、
個人線量計はそれが前提としている使い方をしないと、
適切に個人線量当量を測定してくれません。
DoseRAE2を地表に近づけたりするのがその典型です。
サーベイメーターにおいても同様です。

<6>
だからこそ。
当サイトで最初から言っていることがあります。
「あなたが手にしているそれは何ですか?」
ここから始めましょうと。

放射線はどう、γ線がどう、年間でうんたらかんたら…。
そこから始めるから、とっちらかるのです。

<7>
さらに、こうして考えてくると、
これまた当サイトでよく言っている、
「線量計」「積算値」といった言葉が危うい、
ということもよくおわかりいただけるのではないでしょうか?

「線量計」といっても、
それが個人線量計なのかサーベイメーターなのかで、
まるで違います。

「積算値」といっても、
それが個人線量当量の積算値なのか周辺線量当量の積算値なのかで、
まるで違います。

つまり、「線量計」「積算値」といった言葉は、
それだけでは何も意味しないのです。
あるいは、その言葉を発する人と受け取る人とでは、
異なる解釈をする可能性があるのです。
だから、こうした言葉はなるべく使わない方がいいと、
当サイトでは主張しています。

「積算タイプの線量計」

なんですかこれ?w

<8>
繰り返します。

手にしているその測定器は何か。
個人線量計? サーベイメーター?
 ↓
個人線量計なら、個人線量当量(率)を測定・表示します。
サーベイメーターなら、周辺線量当量(率)を測定・表示します。
 ↓
そういう前提で作られているのですから、
使用の際にも、その前提を踏まえた適切な使い方をしなければいけません。
ここでいう”前提”とは”校正”と読み替えることも可能です。

<9>
「カッターでも魚切れるじゃん」

そうかもしれませんが、カッターは紙を切るためのものです。
たまたまその魚は切れたかもしれませんが、
すべての魚をうまくさばけるとは限りません。
カッターはカッターとして使って下さい。

百歩譲ってカッターで魚を切ってもいいですが、
あくまでもそれがカッターであるとわかった上で、
そして個人的にどうぞ。

<10>
学者や専門家たちは実効線量から教えようとします。
物理から教えようとします。
だけど、私たちが測定しているのは実用量です。
そして、私たちが直面しているのは実用量です。

どちらが重要かということではなく、
どこから考え始めるのがいいか、ということが、
これでよくおわかりいただけるのではないでしょうか。

学者や専門家は放射線のエキスパートであっても、
放射線測定器のエキスパートであるとは限りません。
放射線測定器に関して、デタラメなことを言っていることもよく目にします。
あるいは、こうしてわかりやすくちゃんと解説してくれる人は皆無です。

私たちは学者ではありません。
専門家ではありません。
だったら、学者や専門家とは違うアプローチで放射線を眺めてみませんか?
なぜなら、私たちが見ているのは画面に表示された数値なんですから。

[関連過去記事]
放射線測定器のイロハを調理の10ステップで説明するという荒技にチャレンジしてみた
放射線測定器と個人線量計 ~何が違うの?
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コメント

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提言に賛同します

多くの人が、こういう根本的なことが、なかなか理解できていないのですよね。
日本はそもそも原発大国であり、唯一の被爆国だったのに、どうして測定器に対しての基本的な知識というか考え方がゼロ同然なのでしょうか。
そこには安全神話などという政策があった為もあるのでしょうが、もはやそういう時期はとうに過ぎていると思います。
せっかく国産の機器も多数出始めてきていて、一家に一台の時代になったというのですから、そろそろ最低限の事は理解しておく必要があると思います。
もし、福島の原発の周辺地域で、これら測定器が各家に一台備わっていれば、誤って線量の強い地域へ逃げるような真似はしなくて済んだはずです。
あの時、政府も行政もいざというときにはまったく役には立ちませんでした。
自分の身は自分で守る。
だからこそ使い手の側にたつ正しい知識の普及が必要なのですね。
その点このサイトは本当に貢献していると思います。
私も勉強させていただきました。
これからもよろしくお願いします。

Re: 提言に賛同します

多くの方が市販されている製品を使っているというのが現状で、当サイトもそのような方を対象にしていますので、実用量、規格というものを重視しています。製品を使う以上、その製品を正しく理解し、正しく利用することが当然のことだからです。

にもかかわらず、そういう視点で放射線/放射線測定器が語られることがほとんどありません。「線量計」「積算値」「空間線量」といったタームが、その定義も曖昧なまま使われています。この状況が私は不思議でなりません。

たとえば時計。時計の仕組み(機構)や時計の歴史、各ブランドの紹介、デザインに対する批評、そういったことは当たり前のように語られ、私たち一般人はそれを見て参考にします。「そもそも時間とは」ということは、また別の議論のはず(どちらが重要かということではなく)。

時計にたとえればわかりやすいですが、これ、放射線/放射線測定器でも同じことだと思うんですよね。みんな、「そもそも時間とは」ということを語りますが、時計自体については語りません。いや、語っていたとしても、アナログ時計がいいかデジタル時計がいいか、正確な時計はどれかなんてことを議論しています。なんだかなぁって感じです。

当サイトが”貢献”しているかどうかはわかりませんがw、少しでもお役に立っているとするならば本懐です。こちらこそありがとうございますm(_ _)m



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