モニタリングポスト(富士電機&日立アロカメディカル)のバッテリー位置だけが問題だとは…

※2013.03.13追記:モニタリングポストとリアルタイム線量計は別物のようです。詳細は以下の記事をご参照下さい。なお、当記事はモニタリングポストであることを前提として書いた記事なので、実情とは異なる箇所もあります。ご了承ください。

[関連記事]
アルファ通信、モニタリングポスト/リアルタイム線量計、DoseRAE 2 ~放射線測定器の調達は難しい

gc_645.jpg

[ソース]毎日新聞:空間放射線量:モニタリングポスト改修 1割低く測定

文科省の報道発表はこちら

[ソース]福島県及び福島隣県の可搬型モニタリングポストの機器調整工事について(PDF)

gc_646.jpg

富士電機製と日立アロカメディカル製ですね。

さて。

ポストの検出器は、全台について工場出荷時及び現場で適切に校正されていますが、検出器周辺に設置したバッテリー等が、周囲の放射線を一部遮ること等により、場所によってサーベイメータで測定した同地点の値と比べ、ポストの測定値が低めの値を示す傾向にあることが確認されました。

バッテリーの遮蔽効果でサーベイメーターよりも低くなる、と。論理的におかしくないですか?w どのサーベイメーターか知りませんが、じゃあ、モニタリングポストの数値はサーベイメーターの数値と合致してなきゃいけないのかと。難しく言えば、Gy×1の実効線量(Sv)とサーベイメーターのおそらくは実用量(周辺線量当量)を比較してます。違うものを比較してどうすんねん。

※もちろん、サーベイメーターで測定した吸収線量率って可能性もありますが、同文書内を最後まで読むと、ここで指しているサーベイメーターとは、一般的に使われている実用量を表示するサーベイメーターのことだと思われます

この機器調整工事を行うと、工事前の測定値から 10%前後、測定値が上昇することが見込まれます。

これはわかります。バッテリーの位置の違いで、測定値が変わるということを言っています。比較として正しい。だけど、こう言いながら、「サーベイメータで測定した同地点の値と比べ」と言うのは、おかしいですよねぇ。この報道発表において、サーベイメーター云々はまったくもって不必要な記述です。

「住民たちのサーベイメーターによる実測とモニタリングポストの数値が違うとのご意見が寄せられました。そもそも、モニタリングポストとサーベイメーターとでは測定値が異なることもありえるのですが、文科省として独自に調査したところ、バッテリーが放射線を遮蔽していることが判明しました。直ちにこれを調整します。調整後、測定値は10%前後、上昇すると見込まれます」

こうならわかるんですけどね。

・他機種同士の測定値を安易に比較するな
・機種によって測定値が異なることもよくある
・モニタリングポストとサーベイメーターも数値が合致してるかどうかを見てはいけない
・私たちが使うサーベイメーターで見るべきは数値の相対的な推移

こういうことが口酸っぱく言われていたのに、いつの間にやら”一致すること””正しい数値”なんてものが求められるようになりましたね。なんだかなぁ…。

もう一点、この問題の背景には「そもそもモニタリングポストってなんだ!?」ということに対する不理解、誤解もあると思われます。あるいは、言葉の定義が曖昧なまま、言葉だけが独り歩きし、意味がねじれてしまっていると言いますか…。これに限った話じゃないですけどね。

固定式モニタリングポスト
原子力施設からの放出放射線レベルを監視するため、原子力事業者や関係都道府県が、事業所周辺や居住域の適切な地点に空間放射線量率測定装置を備えた設備を設置している。これを固定式モニタリングポストという。 固定式モニタリングポストによる測定は、原子力施設から放射性物質又は放射線の異常な放出が生じた場合に、連続的に空間放射線量率の変動が把握でき、しかも集中的に監視できるという点で、第1段階のモニタリングにおいて有効な情報を提供する。
[ソース]weblio:原子力防災起訴用語集

もしかしたら国外からの核実験の影響なんかも含まれるかもしれませんが、とにかく「変動」を把握するものです。放射線量の異常な上昇をいち早くキャッチしようというのがモニタリングポストのそもそもの役割でした。

しかし、福島第一原発事故以降、「モニタリングポスト」の意味が変わります。その場の空間線量率を表示し、あるいはそれをもとに周辺地域の汚染状況を判断するためのものになったのです。言葉は同じですが、意味合いはまったく異なります。

大げさに言えば、”福島事故以前”の定義に照らせば、1割高かろうが、2割高かろうがいいわけです。重要なのは「変動」ですから。しかし、”福島事故以後”の”定義”では、これが許されません。「Radiとこんなに違うじゃないか!」となります。

おそらくですが、この調整が終わっても「まだ高いぞ!」というクレームは寄せられることでしょう。だって、各所で散見するのはRadiとモニタリングポストを並べて「こんなに違う!」なんていう写真ばかりですし。この状況じゃ、どうやったっていかんでしょうなぁ。

誤解して頂きたくないのは、文科省を擁護してるってわけじゃないってことです。バッテリーが放射線を遮蔽しているなら文科省が悪いし、サーベイメーター云々を出して、誤解を助長させているのもどうかと思います。さらに、モニタリングポストの数値でもって除染がどうのこうのという判断基準を行っているとするなら、そもそもそれが問題だと思うんですけどね。

しかし、と同時に、私たち一般市民も(もちろん私も含め)、いま一度、その言葉が何を指しているか、それがどう利用されているのかを確認しておきたいものです(”モニタリングポスト”に限らず)。だって、これでさらに1億5000万円(675台)かかるんですからねぇ。1台あたり約20万円? そんなにかかるんかいな?とも思いますし、さて、この調整がどれほどの効果をもたらすのか…。

[関連過去記事]
文部科学省が新たに設置し始めた”モニタリングポスト”を集めてみた(富士電機&NEC)
空間線量(率)とは~誰も教えてくれない空間線量(率)をわかりやすく説明する最新版
繰り返しになりますが…。

福島原発事故以前・以後で状況は一変しました。”状況”とは、それまでは専門家しか立ち入らなかった分野に素人(私も!w)がどっと流れ込んだんですね。結果、さまざまな誤解が生じます。

誤差、線量計、空間線量、モニタリングポスト。こうした言葉が字面からのなんとなくのイメージで使われ始めます。厳格な定義からはかけ離れた形で。しかも、それが大勢を占め、言葉の意味自体が変容してしまいます。

こうなると、専門家が誤解を正そうとしても「ごまかすな!」「こんなに数値が異なるぞ!」みたいになります。「いや、そうじゃなくて、そもそも…」と説明しようとしても、もはや届きません。

言葉、特に専門分野における言葉の定義って重要だと思うんですよねぇ。事故直後、言葉の伝わり方に専門家はあまりにも無頓着だった、という面も否めなくはないかと。専門家だけのせいにしてるわけじゃないですよw ただ、受け取る側はいつだって無頓着です。残念ながら。それを是としてるわけじゃないですよw 自戒を込めて。
ホントにバッテリーの位置が問題なの? 今回イジるのはホントにバッテリーだけなんだね?と、私の暗黒面がつぶやきますw

[関連過去記事]
アルファ通信のリアルタイム線量測定システム契約破棄に関する提訴メモ
※現在、どういう状況なんでしょうね
関連記事
エアカウンターEX

コメント一覧

839. 2012.11.10
そもそも当初の設置作業に専門家がきちんとした関与をしていればよかっただけの様な気がします。
それがあとから指摘されて非を認めてあたふたしている。
でもお役所のことですから転んでもただでは起きなかったりして・・・なんて私の暗黒面もついつぶやいてしまいそうです。w
840. 2012.11.10
アルファ通信の場合はそもそもがそうですし、その後の随意にしても、富士電機、アロカあたりは実績もあるでしょうから、なんでこんなことになるのかよくわかりませんね。

アルファ通信との裁判の過程で、掴まれてはいけない何かをこの機に乗じて…とうがった見方もしてしまいますw
841. 2012.11.10
もう、なんでしょうかね?。
アロカはしりませんが、富士はエリアモニタとしての空間線量を測定してます(設計思想、国家基準として)。サーベイメータと比較して低いなんぞ、無知以外のマスゴミの批判以外しかありません。どうやらアルファ通信社に文部科学省が値を低く表示しろと言ったというデマが元のようで迷惑しています。よく見て欲しいのですが、文部科学省の基準でGray表示(検出器の校正も)なのですが、素人がmSv表示のサーベイメータと比較されているようです。これは大変こまります(フィルター、校正方法事態違う)。又、過般型モニタリングポストにおいては、Gray表示ということと地上の汚染の影響を受けており(空間線量の測定なので、福島の地表面の汚染は影響を受ける)そのため、バッテリー、コンクリートなどの地表面の遮蔽物の影響は受けるのですが批判がある以上値付け修正を行う方向になるようです。空間線量を測定する装置なのに、地表面の汚染まで考慮しなくてはいけないのは、間違った方向性なのですが、対処はしなくてはいけないようです。
文部科学省もメーカーも間違いではないですけど、マスゴミとネチズンの素人のせいで税金の無駄使いとおもいますよー。
842. 2012.11.10
えーっと、ついでに言いますがアルファ通信の測定器は放射線を測っていませんよ。表示を見てください、表示が変わりませんね、固定値ですよ。放射線を計っていません。つまりアルファ通信社は放射線を図っていない(中身がない)装置を納品したのですよ。馬鹿馬鹿しくて話にもなりません。アルファ通信社の話を出す方は、ネチズンですよ。物を見たならわかるとおもいます、実物を見ずにいわれてもね?。動いていないのにね????なんだかな。
846. 2012.11.11
> 値付け修正を行う方向になるようです

バッテリーの位置を移動させる、ということはアナウンスされていますが、値付け修正もなされるとは文科省の報道発表にはありません。どこかにソースはあるでしょうか? また、具体的にどのような値付け修正なのでしょうか?
847. 2012.11.11
> 表示が変わりませんね、固定値ですよ。

納品時点でそうだったんですか?
今だからではなく?

「放射線を計ってない」「中身がない」といったことがわかるソースがあればお教え下さい。

なお、当サイトへのコメント書き込みとして不適切と判断したいくつかのコメントは削除させて頂きました。こんなところで具体的な名前やサイトURLを出して他者をご批判なさるのではなく、直接、その方におっしゃって下さい。
848. 2012.11.14
比べられるとまずいから
アルファー通信のMPの中身を抜いたんでしょ。
当初は両方動いてたらしい。

指示したから税金を使って工事するのでしょう
855. 2012.11.30
MPは空間線量を測定する装置で、地表面の汚染を方向特性として考慮する装置ではないということです。というとあげ足をとられる方が居るのですが、装置としての法令、jIS、国家基準、勧告を遵守しています。シンチサーベイ(吸収線量以外を計測している)、ガイガーカウンター(GM菅はエネルギーを計測できないので何を計っているか不明なので、人体に影響しないものも計っている)を使う場合、地表面の汚染、方向特性、エネルギー特性を考慮すべきであり、MPと比較してα線、β線等(GY以外のもの)も計測し吸収線量(空間線量)としては過剰評価となります。まず基準が必要ですが法令、勧告を無視されては何か?ということになります。
本件は公共入札物件であり、事前に契約内容を明示しており契約を守る業者のみが入札できます。アルファ通信との契約解除の理由は契約に明示された納期の不履行です。契約を守らない以上、解約されるのが当然ではないでしょうか?。又、発注業者が文部科学省である以上、文部科学省の基準に準拠すべきであり、発注者の基準、契約を守るのが義務です。
文部科学省は、日本の法令を守っているかを管轄において取り締まるのは当然の義務であり、法令を守らないアルファ通信社を排除するのは当然の業務です。アメリカの法令を遵守し日本の法令を守らないと言う業者を排除するのは当然のことではないでしょうか?。たとえばアメリカの法律では、車は右側通行ですが、日本の高速をアメリカの法令を守り右側通行(逆走行)すべきでしょうか?。まず日本の法令、規則を準拠すべきです。
911. 2013.03.10
> アルファ通信との契約解除の理由は契約に明示された納期の不履行です。

そうかもしれません。が、そうであるとの確固たるソースを示さず、どこの誰ともわからない方がそうおっしゃっても、それは妄言でしかありません。

いろいろとおっしゃりたいことがあるのは重々承知していますが、物事を断定的に言うには、それなりの方法があるのではないでしょうか?

繰り返します。もしかしたらおっしゃっていることは正しいかもしれない。だけど、裁判内容が判然としない現在、また、そうであるとのソースもない限り、あくまでもそれは「かもしれない」です。そんな前提をもとに「べき」などと言われても、「はあ、そうですか。そういう主張は他でどうぞ」としか申し上げられません。

コメントを投稿する




管理者にだけ表示を許可する

みんなの放射線測定入門 (岩波科学ライブラリー)
著者:小豆川勝見(しょうずがわかつみ)

いちから聞きたい放射線のほんとう: いま知っておきたい22の話
著者:菊池誠(きくちまこと)×小峰公子(こまつきみこ)

武田邦彦が教える 子どもの放射能汚染はこうして減らせる!2 親子で一緒に実践編  (SUKUPARA SELECTION)
著者:武田邦彦(たけだくにひこ)

いちえふ 福島第一原子力発電所労働記(1)
著者:竜田 一人(たつたかずと)