「BS2010」が「BS2010A」へリニューアル? / 中国核工業集団公司から見た放射線測定器

2012年10月22日
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■上海贝谷仪器科技有限公司の動きと「BS2010」の後継機

「BS2010」という個人線量計があります。「AK2011」など多くのOEM商品も生まれましたし、日本でも有名な機種のうちのひとつです。

メーカーは上海贝谷仪器科技有限公司(ブランド名はBegood)。なんですが、同社サイト(http://www.begood-sh.com.cn/)が不通になりました。その変わり、親会社である贝谷科技股份有限公司が、なんとも立派なサイトを立ち上げました。

[ソース]贝谷科技股份有限公司

ここで非常に興味深い事実が。

「BS2010」という同名の別の機種があったのですが、これが同社製だと判明しました。正式には「BS2010A」だそうです。

bs2010a_001.jpg

[ソース]BS2010A型直读式χ、γ个人剂量仪

さらに、よく知られている「BS2010」に関する情報はすべてなくなり、「BS2010A」しか紹介されなくなりました。想像ですが、「BS2010A」は「BS2010」の後継機で、「BS2010」は廃版となったのでは…。実情はよくわかりませんが、「BS2010」およびその系列機をお買い求めの際は、こんな状況だということを念頭に置いておいたほうがいいかもしれませんね。

■巨大メーカー・中国核工业集团公司とその子会社

さて、中国の有名な放射線測定器メーカーを挙げてみます。カッコ内はそのメーカーが製造している主な放射線測定器です。

・上海贝谷科技股份有限公司(BS2010A)
・上海精博工贸有限公司(JB4020)
・上海超奇电子有限公司(RM-2021)
・上海仁机仪器仪表有限公司(DP802i)
・上海明核仪器有限公司(NT6102)
・上海朔旺仪器仪表有限公司(SW83A)

・中核(北京)核仪器厂(BH3084)
・中国辐射防护研究院 / 山西中辐科技有限公司(FJ2000、FJ3200)

途中に空行を入れました。上のグループと下のグループでは決定的に違う点があります。上海かどうかというのも無関係ではないんですがw、そうではなく、上のグループは”普通”のメーカー、下のグループは国が大きく絡んでいるメーカー、という点で異なります。

中国では国営企業が秘密裏に原発の建設や核開発を粛々と進めている。そんな風にイメージしている方も多いかもしれません。ですが、そんな甘っちょろいもんじゃありませんw カナダ、フランス、アフリカと世界中で事業を展開し、逆に中国国営企業にも海外資本が流入し、中国国内の核燃料サイクルと世界的な核燃料サイクルが組み合わさり、そりゃもうとんでもないビジネスになっています。その中心的存在が中国核工業集団公司(China National Nuclear Corporation:CNNC)で、中国最大手の核・原子力関連企業グループです。

アフリカのウラン、アレバとの関係などなど、気になることはいろいろありますが、当サイトは放射線測定器のサイトです。放射線測定器という観点からCNNCを見てみますと、このようになります。

[中国核工业集团公司の歴史]

1956年 国務院のもとに第三機械工業部を設置(原子力工業の主管省庁)
1968年 第二工業部に改組
1982年 核工業部に改組
1988年 核工業部が廃止され、中央政府直系の国有企業・中国核工业总公司(中国核工業総公司 / CNNC)へ改組
1999年 中国核工业总公司が中国核工业集团公司(中国核工業集団公司 / CNNC)と中国核工業建設集団公司に再編

[中国核工业集团公司と子会社]

gc_632.jpg

これがすべてではありません。資料によるとCNNC傘下には100ほどのグループ企業が存在しているとも言われています。

「SPD-100」はそれほど有名ではありませんが、BH3084、FJ3200はOEM的商品も数多く出回っています。いずれにせよすべて個人線量計です。

[公式サイト]

中国核工业集团公司
中核(北京)核仪器厂
中国辐射防护研究院
山西中辐科技有限公司
山西中辐核仪器有限责任公司

それにしても、さすがですね。CNNC系列メーカーはホームページの説明が丁寧です。ちゃんと「Hp(10)」などと書いてくれています。こうした傾向はずっと以前からそうでした。また、現行機種でないものは削除され、情報が整理されています。さらに最近になってリニューアルされ見やすくなっていたりもします。中国を侮ってはいけませんw

最後に余談を。CNNC系は政府に近い存在ですから、おのずと北京やその隣の山西に拠点を置くことになります。後発の在野メーカーはビジネスですから上海。といった差が表れてるような気も…よくわかりませんけどねw

[参考資料]
中国の核燃料サイクル
中国の原子力開発、原子力安全規制、原子力発電
中国原子能機構、中国核工業集団公司及び国家核安全局
中国の原子力政策と原発開発 ―時期区分を中心として―(PDF)
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コメント一覧

815. 2012.10.23
謎に包まれている中国の原子力開発関係企業の全体像の一端が少し見えた様な気がしました。
中国はしょぼい物から最先端までじつに幅が広いですね。
さすがに世界一の工業生産基地なだけあります。
日本人は、私も含めていまだに日本は世界トップクラスの技術大国と考えているところがありますが、すでに多くの分野で競争力が失われている現実に気が付くべきでしょう、自戒を込めて。

余談ですがEVの急速充電標準規格が日本のチャデモではなくコンボになりそうな流れになってきていますね。
シンプルで扱いやすく、しかも容量の大きなコンボに統一されるのも当たり前と言えばそうなのでしょう。
国内大手のトヨタがいまだにHVにこだわりEVを軽んじている風をみても、ため息しか出てきません。

おっと余談です。w

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