AT6130がデザインをリニューアルしたので、あまりにも面白い各種レスポンスを改めてご紹介

2012年10月11日
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ATOMTEXの「AT6130」がいつの間にかデザインをリニューアルしていました。

gc_621.jpg

同社の他機種でも似たようなリニューアルをしているものがありまして、色合いをシンプルにしてシックなデザインにしようという戦略があるのかもしれませんね。コストの関係もあるんでしょうけど。

もうひとつ、この説明も今までありませんでしたから、もしかしたら比較的最近になってモディファイされたのかもしれませんが、PC接続は赤外線ではなくBluetoothになり、さらに、PC接続なしモデルもできたようです。つまり、

・PC接続不可モデル
・BTモデル

の2つということです。お買い求めの際はご注意を。

さて、幾度か紹介していますが、「AT6130」のスペックが非常に興味深いんです。まず、β線のエネルギーとレスポンスのグラフ。

gc_622.jpg

やはり、エネルギー(MAX)によって違うんですね。ただ、Cs137の512KeVがこのカーブのライン上に乗るとするなら、校正線源として使用されているであろうSr90と同じほぼ1ですから(結果的に)、Cs137が多いであろう実測における測定値としては正しいものになるのかもしれません(まーったく自信ありませんがw)。

が、たびたび書いている通り、そもそもベータ粒子束密度がわかって、なんなんだとw ロシアへの輸出業でもしていない限り定量で測定する意味はほとんどありませんから(日本においては)、それほどセンシティブに考えることでもないでしょう。興味本位の範疇を越えない議論ですw

次からはγ線。こちらはよく見るグラフですね。

gc_623.jpg

パンケーキなんですが、エネルギー補償があります。ですから、比較的落ち着いたラインになっています。で、これとも関係しているのですが、一番面白いのが次のグラフです。

gc_624.jpg

真ん中が「AT6130」のイラストです。これは本体上部から見たイラストなので、左側が液晶面、右側が背面です(このイラストに間違いがなければ)。とすると、液晶面が基準の1です。パンケーキは裏面についていますが、γ線はその逆、液晶面から受けることを前提に校正されているということです。

パンケーキ内にγ線が飛び込む(あるいはパンケーキにぶつかる)には、本体がまずあります。その先には基盤等もあり、さらにパンケーキの管部分があります。これらをくぐり抜けて検出されて「1」です。パンケーキ側(シャッター&マイカ窓)から取ると、662KeV(Csですね)だと0.7~0.8くらいの数値となります。

ただ、ひとつ誤解して頂きたくないのは、このグラフを「過小評価になる」と捉えてはいけないということです。むしろ、がんばって数値を下げてくれている結果、これくらいの差に収まっている、と考えるのが正解でしょう。参考までに「Inspector PLUS」のレスポンスをご覧下さい。

gc_142.jpg

※グラフの種類が違うので、比較するのもあれなんですが、一応、「End Window」とあるので、パンケーキ側からのレスポンスをザックリと参考程度に見ているとお考え下さい

約60KeVのパンケーキ側からのレスポンスを比較してみます。「AT6130」では662KeVで0.7ですから、逆算しますと662KeVに対して60KeVは1.4です。「Inspector PLUS」では5です。この差は何かと言いますと、先ほど出てきたエネルギー補償あるいはシャッターです。「AT6130」はエネルギー補償をしていて、さらにシャッターがあるために、エネルギーが違っていても、ここまでレスポンス比が小さくまとめられているんだと思われます。もしエネ補がなくシャッターもなければ、右側に約5倍、グラフがビヨーンと伸びてるかもしれませんw

※エネ補はγ線用(液晶面からの入射用)ですから、この話に寄与してるのはどちらかというとシャッターなんでしょうけど。逆にサイドからの入射に対しては弱いんで、お持ちの方はぜひ、水平に持った後、横にしてみて下さいw

いずれにせよ、これは校正においての話です。実測がただちにこれにあてはまる、なんなら液晶面を下に向けなきゃ正しい測定値にならないなんてことはないのですがw、機器の、パンケーキの特性を知っておくという意味では、とても参考になるグラフではないでしょうか。

さて、先ほどさりげなくこう書きました。「パンケーキ”なのに”エネ補付」と。パンケーキということはコンタミ検出・測定が主な目的のはず。だったら、エネ補なんて必要なくて、実際、パンケーキを搭載している機種がデフォルトでエネ補付というのは極めて珍しいです。オプションとしてエネ補フィルターが用意されていることはよくあるんですけどね(例/LUDLUMのパンケーキプローブ「44-9」、TFSの「RadEye B20」など)。

「PM1405」はエネ補付か。ベータ粒子束密度モードを有しているタイプの放射線測定器にはありがちなのかもですね。ただ、「PM1405」は入射面が背面です。マニュアルではシャッターがエネ補の役割をしていると匂わせています。この点で「AT6130」とは異なります。

[関連過去記事]
パンケーキの開け方をタイプ別に分けてみたら、思わぬ事実が見えてきた?

さらに「AT6130」の姉妹モデルもこの話に関係しているかもしれません。「AT6130」シリーズには「AT6130A」から「AT6130D」までのモデルがあります(Dは廃版となったようです)。ですが、シリーズとまとめるには強引すぎるほど、機種名の最後にアルファベットがつくかどうかで、まったくタイプが異なります。「AT6130」以外はすべてγ線用なんです。だったら型番変えろよとw

で、そのいずれもがエネ補付です。「AT6130」の場合は、ほぼ同じフォルムのγ線用姉妹モデルがこうなので、それに引きづられるような形で、エネ補をつけているのかなとも。だって、普通ならパンケーキ側を入射面として、シャッターや何かでエネ補つければいいだけですからねぇ。「PM1405」のように。だけど、液晶面をわざわざ基準にして、それに対しエネ補をつけるというのは、他モデルとの兼ね合いと言いますか、何らかの物理的な共通点があり、それを互いに流用しあっているからだと考えるのが合理的です。

もちろん、実際のところはよくわからんです。ですが、スペックを見ているだけで、グラフを見ているだけで、これほどあれこれ想像させてくれるのですから、やっぱ「AT6130」は面白いw(そしてATOMTEXって偉いw)
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