放射能汚染の紙幣を見つけたおばあちゃんの心配

2012年10月07日
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ロシアで放射能汚染された紙幣が発見されたというニュースがありました。詳細はのちほど紹介しますが、こんなニュースはロシアでは日常茶飯事で特に珍しいものではないということをまずはお伝えしておきます。

「ロシアまじか!?」

「やばくね!?」

そんな反応も多いようなので(^^; ロシア系放射線測定器のセールス文句によく紙幣や銀行が出てきますが、それもこんな実情があるからなんです。で、こんな状況ですから、専門機関なり国なりが定量データを集積しようとします。だからこそ、ベータ粒子束密度なんですねぇ。

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前置きが長くなりましたが、ニュースに関してです。

[ソース]
The Voice of Russia:モスクワの銀行で年金生活者に放射能紙幣

こちらのソースを取っている方が多いようですが、これはまったく面白くありませんw オススメしたいニュースソースはこちら。

[ソース]
The Moscow News:Moscow bank issues radioactive money to pensioner

gc_607.jpg

冒頭の写真ですが、これはイメージカットです。おばあちゃんが実際にこのように測定していたわけではありません。で、このガイガーカウンターは何かと言いますと、SNIIP AUNIS社の「МКС-01-СA1М」。非常に面白い機種です。

まず、ベータ粒子束密度の測定方法なんですが、姉妹モデル「МКС-01-СA1」との差がすごいんです。最初に窓を開けて測定して(β + γ)、次にβ線を排した形で測定するわけですが…。

МКС-01-СA1

- close operating surface of detector by moving the absorbing screen (see Fig. 1) in the top position. Place detector of instrument directly above surface to be surveyed at (3-5) mm distance;

МКС-01-СA1М

- place the instrument under any certainly clean area of the surface (or place the dosimeter in air at not less than 1 m distance from the floor surface, ground and any surrounding objects);

わかります? この違い。「МКС-01-СA1」は窓の開閉のみによってβ線を遮断しようとします。「МКС-01-СA1М」は距離を離してβ線を遮断しようとします。似たようなモデルなのに、この差はいったい…。シャッターの材質なり遮蔽効率なりに差があるのでしょうか。よくわかりませんが、非常に興味深い差です。

なお、「МКС-01-СA1」のGM管はマニュアルによると「БЕТА-1(BETA-1)」です。「МКС-01-СA1М」はGM管の種類をマニュアルに明記していません。おそらくは同じだと思うのですが…。ここも、なぜこんな差が生じているのかが不思議です。

「RADEX RD1008」の「BETA-2」はよく知られていますが、「БЕТА-1」はこれと同じシリーズでα線にも対応しているGM管です。資料がなかなかないのですが、こんな写真を見つけました。自作機のようですが。

gc_608.jpg
gc_609.jpg

ネジ~!!!w ドキドキしちゃいますよ。こんなことされたら(^^;

次に「МКС-01-СA1」のアルファ粒子束密度の測定方法がちょっと面白い。

- place the instrument by the back side directly above the surface to be surveyed, in a way that the distance between detector and surveyed surface was not more than (1-2) mm;
(中略)
- cover the surveyed surface with a thin paper sheet used for printing on laser or ink printers;

いや、そりゃそうするしかないんでしょうけど、アナログな感じがいいですねw

さらに、「МКС-01-СA1М」の大きな特徴といえば、”しゃべる”です。こいつはしゃべるんですよ!w



ただ、数値の読み上げは…どうなんでしょう。「電池交換して下さい」「線量が閾値を越えました」みたいなことしかしゃべってくれないような気もします。英語はどうなんでしょうね。

さて、記事に戻ります。

「The Voice of Russia」では

銀行側はどのようにして札が放射能汚染されたのかわからないとしているが、おそらく原子力発電所もしくは放射能関係企業に流通した後、銀行に入ってきたものと見られている。

としかありませんが、「The Moscow News」ではもう少し詳しい説明があります。

The bank has no idea where they could have obtained the radioactive money, and suspect that it came from an organization working with nuclear materials, said the president of the Association of Regional Banks, Anatoly Aksakov. He also said the money could have been received from a medical institution that works with X-ray equipment.

いずれにせよ、ロシアではこんな状態です。

It is not rare to find radioactive money in Moscow. In the summer of 2010, 380 notes of various denominations were contaminated with Iodine-131. This isotope’s half-life is eight days, and the money was not considered dangerous to people.

Because all the notes on that occasion were discovered in just one city, experts assumed that they were put into circulation locally.

But small amounts of radioactive money appear regularly. In the last 10 days of September, Radon radiation specialists discovered several “dirty” notes. They were all destroyed.

つまり、日常茶飯事だと言うわけです。

最後に、おばあちゃんのこんな心配を紹介して、この記事を締めくくりたいと思います。

“For now, I do not feel that my health has deteriorated in any way,” Kryzhanovskaya said. “But I am constantly nervous. I am very worried.”

The pensioner is also worried when her money will be returned, and aims to write to the State Duma to get her money back and to get compensation for moral and physical damages.

[意訳]
「とにかく健康に害はないとわかったんじゃが、でも、やっぱり心配じゃよ」

年金受給者であるこのおばあちゃんのもうひとつの心配は、お金がちゃんと戻って来るのかどうかということ。返金および道義的・身体的被害に対する補償を議会に求める予定なのだとか。

おばあちゃんに健康被害が出てないから言っちゃいますが、正直、爆笑しちゃいました。このおばあちゃんに対してもそうなんですが、この記事の書き方にw

いや、わかりますよ。記事の冒頭の主語が「pensioner(年金受給者)」なんですが、こういう紹介の仕方は英語圏ではよくあります。だけど、「she hid the 10 5,000 rubles notes under her pillow」って書いてみたり、結局、お金のことが心配だと書いてみたり、”強欲ばあちゃん””金の亡者”みたいに読めてしまいますw 私の読み方が変なんでしょうかね(^^;

というわけで、健康被害がないとわかった今、約12万6000円の行方がとても心配なおばあちゃんの話でしたw
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