ロシア系放射線測定器の品番表(GOST 27451-87) ~TERRAの”MKS”の意味

2012年10月01日
関連ワード:コラム , 基礎知識 , 規格 ,
積年の謎がようやく解けました(?)

先日、(株)アンビエントを訪れた際、ヒントを頂き、ソースを見つけたのですが、ひと言で言えば、ロシア系放射線測定器の品番の意味です。

[関連過去記事]
浪江町のガイガーカウンター その10 ~TERRA-N誕生の背景に隠された”真相”

TERRAの品番は「MKS」。Pripyatの品番は「RKS」。これらには意味があるんです。なんとなくわかっていた部分もありますし、想像を大きく外していた部分も多々w いやビックリ。

とりあえず原文をそのまま紹介します。ГОСТ(GOST)とは、ロシア系の各国で使われている標準規格です。詳細はwikipediaをどうぞ。

[参照サイト]GOST~wikipedia

ГОСТ 27451-87
СРЕДСТВА ИЗМЕРЕНИЙ ИОНИЗИРУЮЩИХ ИЗЛУЧЕНИЙ Общие технические условия
Ionizing radiation measuring means. General specifications

1.4. Условные обозначения средств измерений и правила их построения

1.4.1. Буквенное обозначение средств измерений должно состоять из трех элементов.

1.4.2. Первый элемент буквенного обозначения обозначает функциональное назначение средства измерений:

Д - дозиметры (дозиметрические установки);
Р - радиометры (радиометрические установки);
С - спектрометры (спектрометрические установки);
М - комбинированные средства измерений (дозиметры-радиометры, дозиметры-спектрометры, радиометры-спектрометры);
БД - блоки детектирования;
УД - устройства детектирования.
(Измененная редакция, Изм. N 2).

1.4.3. Второй элемент буквенного обозначения обозначает физическую величину, измеряемую средством измерений:
Д - поглощенная доза излучения;
М - мощность поглощенной дозы излучения;
Э - экспозиционная доза фотонного (гамма- или рентгеновского) излучения;
Р - мощность экспозиционной дозы фотонного (гамма- или рентгеновского) излучения;
В - эквивалентная доза излучения;
Б - мощность эквивалентной дозы излучения;
Ф - поток энергии ионизирующих частиц;
Н - плотность потока энергии ионизирующих частиц;
Т - перенос энергии ионизирующих частиц;
И - активность радионуклида в источнике;
У - удельная активность радионуклида;
Г - объемная активность радионуклида в газе;
Ж - объемная активность радионуклида в жидкости;
А - объемная активность радиоактивного аэрозоля;
З - поверхностная активность радионуклида;
Л - поток ионизирующих частиц;
П - плотность потока ионизирующих частиц;
Е - энергетическое распределение ионизирующего излучения;
С - перенос ионизирующих частиц;
Ч - временное распределение ионизирующего излучения;
К - две и более физических величин.
(Измененная редакция, Изм. N 2).

1.4.4. Третий элемент буквенного обозначения обозначает вид ионизирующего излучения:
А - альфа-излучение;
Б - бета-излучение;
Г - гамма-излучение;
Р - рентгеновское излучение;
Н - нейтронное излучение;
П - протонное излучение;
Т - тяжелые заряженные частицы;
С - смешенное излучение;
X - прочие излучения.

Примеры буквенных обозначений средств измерений:

ДДБ - дозиметр (дозиметрическая установка) поглощенной дозы бета-излучения;

РЗА - радиометр (радиометрическая установка) поверхностной активности альфа-активного радионуклида (радиометр загрязненности поверхностей);

СЕГ - спектрометр (спектрометрическая установка) энергетического распределения гамма-излучения;

ДКН - дозиметр нейтронного излучения, измеряющий несколько физических величин (например дозиметр эквивалентной дозы и мощности эквивалентной дозы нейтронного излучения);

МКБ - комбинированное средство измерения бета-излучения (например дозиметр-радиометр бета-излучения);

УДДР - устройство детектирования поглощенной дозы рентгеновского излучения;

БДУГ - блок детектирования удельной активности гамма-излучения.

(Измененная редакция, Изм. N 2).

[ソース]РуФокс

英語も交え、主だったところを表にしてみます。

1文字目:機能
露語 英語 意味
Д D Dosimeter
Р R Radiometer
С S spectrometer
М M Combined measuring instrument

2文字目:物理量
露語 英語 意味
Д D absorbed dose of radiation
Э E exposure dose of photon (gamma or X-ray) radiation
В B equivalent dose of radiation
К K two or more physical quantities

3文字目:線種
露語 英語 意味
А A alpha radiation
Б B beta radiation
Г G gamma radiation
Н N neutron radiation
С S mix of radiation

たとえば、「TERRA MKS-05」の場合は、

M → dosimeterでありradiometer
K → 線量当量とベータ粒子束密度
S → γ線とβ線

という意味なんですが、お気づきの通り、ここには誤魔化しがありましてw ポイントは1990年。

この「GOST 27451-87」は1987年、当時のソビエト連邦によって発行されました(その後、幾度かの改定を経ますが)。しかし、1990年のICRP(国際放射線防護委員会)による勧告で、線量概念がガラリと変わります。詳細は省きますが、放射線測定器という観点でもっとも重要なことは、実用量すなわち、周辺線量当量、方向性線量当量、個人線量当量という考え方が導入されたということです。

さて、表をもう一度よくご覧頂きたいのですが、登場するのは「equivalent dose」です。これは等価線量。しかし、現在、私たちが使用している放射線測定器が表示しているのは基本的に「dose equivalent」=線量当量です。

90年を境にピッタリとすべてがICRP準拠となったわけでもないでしょうから、このGOSTはある意味で線量概念の”混乱期(?)”に作られ、現状に即したものにはまだなっていなかった、ということじゃないかと想像します。

その証拠に、TERRAでは少しわかりづらいですが、「Ecotest Card」という個人線量計を見てみます。品番は「DKG-21」です。TERRAと違い、測定対象はγ線のみです。線量当量だけですね。でも、2番目の文字は「K」。「B」ではありません。想像ですが、どれにもあてはまらないから「K」なんだと思われます。

TERRAにおいても同様で、「two or more physical quantities」というのは、正確に言うと、「その他(周辺線量当量) + その他(ベータ粒子束密度)」なんじゃないかと。よくわかりませんが。

逆に、2番目の文字が「B」の機種はあるでしょうか。実はありましたw 当サイトで紹介しているのは「DBG-06T(ДБГ-06Т)」。しかし、これが本当に等価線量を測定しようとして開発されたのかというと、どうも疑わしい。公式サイトの説明にはこうあります。

(原文)
Назначение:
предназначены для измерения мощности амбиентного эквивалента дозы МАД гамма излучения

(google英語翻訳)
Purpose:
designed to measure ambient dose equivalent MAD gamma radiation

[ソース]МЕХАНИЧЕСКИЙ ЗАВОД

実は「мощности」という単語もポイントだったりするのですが、それはさて置き、一応、「ambient dose equivalent」と言っています。だけど「DBG」。おや? しかも1文字目はDか。やはりここでも"dosimeter問題"がw

そもそも、等価線量だったとしても、「физическую величину(=physical quantity)」じゃないと思うんですけどねぇ。うーん、よくわかりません。

とりあえず、規格上どうなっているかということはわかったけど、やっぱり謎は深まった、というお話でした。

線量に対する考え方やテクノロジーの発達、それにともなう放射線測定器の進化ということも加味して、製品規格を見直したほうがいいんじゃないかとも思うのですが…。JISはそこそこよくできてると思うんですけどね。ちゃんと実用量から考えてくれてますし。ロシア、アメリカは機能から見るからややこしいw

[参考サイト]
文部科学省:ICRP1990年勧告(Pub.60)の国内制度等への取入れについて(意見具申)
ATOMICA:線量および防護に用いられる諸量
ATOMICA:線量に関する単位
ATOMICA:ICRPによって提案されている放射線防護の基本的考え方
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コメント一覧

792. 2012.10.02
ついにGOSTまでたどり着きましたか・・・。日本で言うとちょっとJISのような、あるいはISOのような「規格」なのですが、その中には通信・暗号フォーマットなんかもあります。GOST28147-89というのがありまして、暗号化に関するものなのですが、そっち関係の機密の論文なんかも入手はできるものの、この28147で暗号化されていたりしますwww あることはわかるのですが、読むことができない。そんな国なんですね。
798. 2012.10.02
ちょっと意味不明のコメントで申し訳ありませんでした。
かつての機密の考え方は、情報そのものの存在を隠蔽する、というものでしたが、現代的には情報の存在は公然に、閲覧にはパスワードなりの鍵が必要(つまり暗号化)。で、その暗号化に何が使われているかということも公然に。しかし、鍵が堅固。
暗号化とはアルゴリズム(暗号にするときのルール)なのですが、それが鍵によって変幻自在になるために、簡単には開かないわけで、そのアルゴリズムは米国の場合は公募で、ロシアの場合は??なのですが、どちらも似通った形状になるようです。
で、米国の場合は公募され、優勝したアルゴリズムは無償で公開され、それを組み込んだソフトは、それ自身は無償で公開される場合が多いようです。
暗号化のマニアの世界があるようなのですが、日本でもそのアルゴリズムを組み込んだフリーウェアなんかが公開されています。一例ではhttp://type74.org/ed.php なんかなのですが、その中のアルゴリズムのひとつにGOSTも入っています。これが知られるようになったのは、崩壊の90年ころで、その後もなしくずしてきに使用されているようです。
ファイルがあっても、何で暗号化されているかがわかっても、鍵がなければびくともしません。映画なんかで出てくるアレです。
米国では個人情報保護はこのような暗号化知識の普及から入るようで、国の違いを感じます。
直接ガイガーとは関係ありませんが、ガイガー→軍事→機密情報→管理→インフラ・・のようなつながりで・・。
801. 2012.10.03
大変興味深く拝読させて頂きましたw

ちょっと調べればすぐわかることなのに、
不正確な記憶のまま書かせて頂きますがw、
確か、第一次、第二次世界大戦あたりで、暗号として
アメリカがなんとか族の言葉を使ったり、
日本では鹿児島弁を使ったり、
みたいな歴史を調べていたことがあって、
そんなことも思い出しましたw

暗号がわからないと暗号の規格がわからないというのは、
私からすると、なんだかすごくオチャメと言いますか、
ユーモアすら感じてしまいますw
本当はそんなこっちゃないんでしょうけどw

暗号にせよ、ガイガーにせよ、規格にせよ、
ロジカルなものだと思うんです。
だけど、いや、だからこそなのか、
ロシア系のガイガーにはエモーショナルなものを感じます。
DP-5Vもそうですし、あるいはDOZA社が各製品に愛称的なものをつけていたり、
SOEKSのガジェット性だったり、TERRAのポップなデザインだったり。
なんだろう。マルクスなのかなんなのか…。
とても不思議ですw

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