TERRA with BT(青歯テラ)における2つの誤差~安く出品されていると言いたかっただけなのに

2012年09月13日
関連ワード:コラム , TERRA , 基礎知識 ,
「TERRA with Bluetooth Channel」通称”青歯テラ”が再び安く出品されました。以前もこの方は安く出されてましたね。今回は29,000円スタートで即決が35,000円です。前回よりもちょい高いですがw


TERRAmsk05 放射線測定機 日本語簡易・詳細説明書付


ところで、青歯テラを使おうとすると、4つの誤差に出くわします。いずれもマニュアルに登場します。

・relative error(相対誤差)
・absolute error(絶対誤差)
・additional error(付加誤差)
・statistical error(統計誤差)

難しそうですねw でも大丈夫。私は文系の素人です。だから素人の気持ちがよくわかります。ドストエフスキーは読めても数式は読めない、そんなアナタにわかるよう説明します!w

■相対(指示)誤差 / relative error

まず、相対誤差に関して。「相対」ということは、何かと何か、ふたつのものを比べてるんですね。そのふたつとは、基準となる線源の線量率と、手にしてる放射線測定器が指し示す数値です。基準となる線源は、適当にそこらのショップで買ってきたものじゃありませんよw

基準線量率(conventional true value of dose equivalent rate)
国家標準にトレーサブルな基準測定器、基準放射線源等で決定された基準となる線量当量率。

[ソース]JISZ4333 X線及びγ線用線量当量率サーベイメータ

国家標準というものがあって、それを元に得られる基準です。これと、これから出荷する放射線測定器の指し示す数値にどれほどの誤差があるかを見ます。

指示誤差(error of inication)
測定点における指示値Hiと基準線量率Htとの差。Hi-Htで表す。

相対指示誤差(I)(relative error of indication)
指示誤差と基準線量率との比。I = (Hi-Ht)×100/Ht %で表す。

[ソース]JISZ4333 X線及びγ線用線量当量率サーベイメータ

これが相対誤差=相対指示誤差です。どの機種であろうと、スペック表に掲載されている”誤差”は、基本的にこの相対指示誤差です。

なお、これはJISからの引用ですが、全世界的にこうなってます。たとえば、アメリカではこう規定されています。

3.38 relative error [εREL (%)]: The difference between instrument’s reading, M, and the conventionally true value, CTV, of the quantity being measured divided by the conventionally true value multiplied by 100.

εREL (%) = [(M - CTV) / (CTV)] × 100

3.12 conventionally true value (CTV): The commonly accepted best estimate of the value of that quantity.

NOTE:This and the associated uncertainty will preferably be determined by a national or transfer standard, or by a reference instrument that has been calibrated against a national or transfer standard, or by a measurement quality assurance (MQA) interaction with the National Institute of Standards and Technology (NIST) or an accredited calibration laboratory. (See ANSI N42.22 and ANSI N42.23.)

[ソース]ANSI N42.33-2006:American National Standard for Portable Radiation Detection Instrumentation for Homeland Security

ロシア系の規格がわかりづらくはあるのですが、まあ違いはないとお考え下さい。

ちなみに、青歯テラのマニュアルには相対誤差の算出法も載っています。一般ユーザーにはそれほど関係のない話ですが、上述の通りの内容だということはなんとなくわかると思うので、一度ご覧になってみて下さい。

こう見てきますと、

「スペック表では誤差15%ってなってるのに、なんでこんなに数値がブレるんだ!」

といったセリフが、どれほどおかしなものか、おわかり頂けるのではないでしょうか。

■統計誤差 / statistical error

みなさんが実測している際に使う「誤差が大きい」といったセリフは、どちらかというとこちらにニュアンスは近いと思います。

のちに説明しますが、この統計誤差は統計学上の誤差という意味ですから、基本的には実測において各人が計算するものです。放射線測定器の校正とは関係ありません(製品としてその表示は必須ではないということ)。ただ、測定値の信頼度を推し量る数値としては便利なものでもありますから、統計誤差を表示させる機能を有した測定器が存在するということです。その典型が青歯テラです。

The dosimeter can automatically determine the specified statistical error depending on the radiation intensity (Appendix B). The user can also do that in the submode of alarm threshold level programming. A blinking “%” symbol means that the user determined the statistical error.

If the specified statistical error is determined automatically by the device, its value is blinking on the LCD until it remains greater than the value of main relative permissible error limit of photon-ionizing radiation DER measurement (Table 1.1).

If the specified statistical error is determined by the user, its value is blinking on the LCD until it remains greater than the value of the specified statistical error.

gc_553.jpg

[ソース]TERRA with Bluetooth Channel MKS-05 英語マニュアル(PDF)

gc_349.jpg こちらの画像が青歯テラの画面です。ここに表示されている「%」が統計誤差です。ザックリ言えば、同じ0.15μSv/hでも30%より20%のほうが信頼性の高い測定値だということです(信頼性と言っちゃうとちょっとアレですが)。

なお、このマニュアルからの抜粋・表を見ても、相対誤差と統計誤差は別物だということがよくわかりますね(統計誤差の自動設定が相対誤差を目安としてるのもなかなか面白いところなんですが、この件に関しては略)。

では、そもそも統計誤差というのは何でしょう。

放射線測定器を用いて放射線の測定を行う場合、放射線の偶発的な発生に特有の統計的揺らぎが存在するため、統計的に決る不確かさが生じる。この不確かさは、放射線測定における統計的誤差と呼ばれ、測定値の信頼性を示す上で重要である。

[ソース]ATOMICA:放射線測定の統計的誤差

放射性物質測定のカウント数と統計誤差

・放射性物質の原子核が崩壊するのはランダムな現象
(バラツキの程度は確率論で計算可能)

・放射線の計測では、カウント数の標準偏差(σ)は
測定カウント数 N の平方根 N となる。

<例>
1回の測定でセシウム137が1000カウントであった場合
σ = √ N= √1000 = 31.6

計数値は、1000±31.6 と表示
(計数の統計誤差が約3%)

[ソース]農林水産省:放射性物質の分析について(PDF)

難しくなってきましたねw

放射線はランダムに出る。これを測定すればバラつきが出るのは当たり前。だけど、長時間もしくは多数回測定し、ないしは高線量だと、そのバラつきにはある一定の分布が見られるようになる。だから統計学的な計算でもって、どれほどの誤差があるのかを求めることができる。これが統計誤差ということです。

「エアカウンターSとSOEKSではこんなに誤差がある!」

こんなセリフもおかしいですよね?w

というわけで、非常にザックリとした青歯テラにおけるふたつの”誤差”のお話でした(絶対誤差と付加誤差に関しては、また機会を改めて)。

あ、違う。また安く出品されてるって言いたかっただけなのに、こんなに長くなってしまったんだwww

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コメント一覧

756. 2012.09.14
やはりというか、再び大量に出してきましたね。
でも今回は値段を引き上げていますが。
それでも保証付きの正規品ですからお買い得は間違いないところです。
で、GCCさん、誤差の解説ありがとうございます。
この青歯TERRAは使いこなすと面白い機種ですね。
757. 2012.09.14
即決価格でも安いですよねぇ。

取り扱いが複雑すぎず、シンプル過ぎない。
使っていて飽きがこないというのが青歯テラかなと思います。
ポリマス製品もそんな感じがします(^^

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