snooperのサイズに驚いた~ボタンを2回押すワケ / PRIの歴史と温故知新

2012年09月10日
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クイズです。

どれくらいの大きさでしょう?

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アメリカのPrecision Radiation Instrumentsというメーカーが1950年代半ばにリリースした「Model 108」というガイガーカウンターです。”Snooper”という愛称でよく知られている名器です。随分前から知っていました。そして、ハンドバッグくらいの大きさをイメージしていたんです。しかし、ebayにこんな画像がありました。

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むしろ、これが”snooper”だと気付かなかったくらいです。なぜなら、イメージしていたサイズとまるで違うからです。バッテリーの入るスペースからすると、手のひらに収まるサイズです。そして、これが”snooper”だとわかり驚愕しました。

そこで、改めて調べてみますと、”snooper”のサイズはこうでした。「1.5” x 3” x 5”」。センチに直すと3.81×7.62×12.7cm。スマートフォンを3枚重ねたくらいのサイズです。こんなに小さかったんですねー。驚きました。

[参考サイト]ORAU:Precision Model 108 "Snooper" (ca. mid 1950s)

もうひとつ面白いのが起動方法です。電源をオンにするだけじゃありません。電源オン後、ボタンを2~3回押します。これでようやく動き出します。

 
最近の液晶テレビなんかも電源を入れてすぐにはつかないです。数秒間経ってからオンラインになります。

こんな話も関係しているかと。

GM管の隣に怪しげな透明の管がもうひとつあります。これは何なのか。なぜ2~3回、ボタンを押さなきゃいけないのか。その答えを知りたい方はこちらの動画をどうぞw 関連箇所としては、39:00ごろからご覧になることをオススメします。



[関連過去記事]放射線測定器の息づかい

さて、簡単に”snooper”およびそのメーカー・Precision Radiation Instruments(以下、PRI)の歴史を見てみたいと思います。

1948年、シカゴでPRIが設立されます(55年にはロスへ移転)。同年、「Model 101」というガイガーカウンターをリリースし、以後、数多くの放射線測定器を世に出しました。

同社の最大の特徴は宣伝です。とにかくまあ派手に大々的に同社製品を宣伝します。ですから、ネット上でも同社の宣伝ポスター、パンフレットをたくさん見つけられます。

宣伝上手ですから、放射線測定器にニックネームをつけるのも同社の特徴です。”snooper”以外で有名なのは1952年リリースのシンチレーション式放射線測定器「Model 111」です。ニックネームは”Cutie Pie”。このシリーズはガン型なので、ガン型の放射線測定器全般を”Cutie Pie”と呼ぶようになったほど。要はポータブルカセットプレイヤー全般を”ウオークマン”と呼ぶようなものですね。それほど影響力があった=宣伝が派手だった=売れていたということでしょう。

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[参考サイト]ORAU:Model 111 and 111B Scintillator (ca. mid 1950s)

同社が大きく飛躍したのは、多分に漏れず”ウランブーム”があったからです。”snooper”もウラン探索用に開発・リリースされました。ここでこんな面白い資料があります。

In 1955, PRI’s sales brochure stated that $2,000,000 in bonuses were paid by the Atomic Energy Commission for uranium finds. They were being awarded at a rate of $150,000 per month. The most famous of the prospectors was Charlie Steen, a 33 year old poor prospector who discovered a $40 million claim.

[ソース]National Radiation Instrument Catalog:Precision Radiation Instruments

4000万ドル。現在の貨幣価値であってもすごい金額です。もし、当時そのままの金額だとしたら、とんでもないですねw しかし、栄枯盛衰とはよく言ったもので、政府がウランブームへの投資を引き揚げると、Charlie Steen氏は窮地に立たされ、最終的には破産します。牛角もイトーヨーカドーも調子に乗って拡大し過ぎると危なくなるってことですなw

というわけで、”snooper”は意外と小さい&温故知新というお話でしたw

[参考サイト]Charles Steen~wikipedia

※1950年代以降のPRIの歴史はまた追って
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