2012/08/19

八潮市は「CK-6」を採用し公的に数値を発表する前に、「CK-6」が何なのかを公表してくれw

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埼玉新聞にこのような記事が掲載されています(情報ありがとうございました)。

八潮市に線量計300台、都内のメーカーが寄贈

子どもの健康を守るために使ってほしいと、放射線測定機器製造メーカー「メディキタス」(東京都台東区、田村泰弘代表)は17日、八潮市に年間の被ばく線量が計算できる「携帯小型放射線測定器」(個人線量計)300台(約450万円相当)を寄贈した。市は9月から小中学校や保育園、公共施設など55カ所に配布し、職員に身に付けてもらい、年間の被ばく線量を市ホームページで公表する予定だ。

同社は大阪工場で同測定器を製造し、全国で販売。これまでにも福島県や千葉県柏市など放射線量が高い自治体に測定器を寄贈してきた。田村代表が八潮市在住だったことから「役立ててほしい」と同社から市に寄贈の申し出があった。

寄贈された小型放射線測定器は携帯電話サイズ。空間放射線量を測定し、1日当たり個人がどれだけ被ばくしたのかを測定、さらにデータを基に1年分の被ばく量の予測もできる。そこで市は、各施設の職員らに勤務時間中、測定器を身に付けてもらい、月ごとに集計して年間の線量を市ホームページで公表する予定。また、10月ごろから市民への貸し出しを考えているという。

17日は同市役所で、多田重美市長から田村代表に感謝状が手渡された。多田市長は「有効に活用させていただきます」と述べた。田村代表は「子どもの健康管理に役立ててほしい」と話している

[ソース]埼玉新聞

一方、メーカーであるメディキタスの「CK-6」公式サイトにはこのような記載があります。

特徴
1)パーソナルサーベイメータ(標準仕様機)

[ソース]メディキタス:CK-6

どっちなんだとw

つまり、この報道の通りの内容だとするなら、率直に言えば、わけのわからんメーカーが作るわけのわからん測定器で自治体が測定し、これを市の公式サイトで公表するということになります。

「CK-6」を個人的に使うのであれば一向に構いませんが、自治体がこれを用い、さらにはその数値を公表するわけですよねぇ。八潮市にぜひ聞いてみたいですね。

「個人線量計って何か知ってます?」

「CK-6がどっちかわかってます?」

とw

まあ、3.11以降、こういう事例にこと欠きませんから、私としては「ああ、またか」とため息をつくのみです。

2013.03.21追記:放射線測定器「CK-3」「CK-6」の開発・販売といった一切の権利は、株式会社メディキタスから合同会社MU(エムユー)に移りました

[関連記事]
メディキタス倒産!? 「CK-3」「CK-6」の権利が他社に移りました
よくおわかりにならない方へ。

放射線測定器は大別するとサーベイメーターと個人線量計にわかれます。両者は使用用途、校正がまったく異なるものです。

サーベイメーターはH(10)という基準で、個人線量計はHp(10)という基準で放射線を測定し、数値を表示する測定器です。H(10)は周辺線量当量の1cm線量当量という意味です。Hp(10)は個人線量当量の1cm線量当量という意味です。

ザックリ言いますと、サーベイメーターはその場の放射線量率(俗に空間線量率と言われています)を測定するためのものです。個人線量計は個人が受ける被ばく量を測定するためのものです。

gc_286.jpg

具体的に見てみます。

エアカウンターシリーズ、SOEKS、RADEXシリーズ、TERRA、PA-1100 Radi。これらはすべてサーベイメーターです。

PDM-122、Dose i、DoseRAE 2、MiniDOSE、多くの中国製放射線測定器(DP802i、BS2010、JB4020など)は個人線量計です。

日本においてはJISが実質的に唯一、半ば公的な基準として放射線測定器を定義づけています。関連する主なJISは以下の通りです。

JISZ4312:X線,γ線,β線及び中性子用電子式個人線量(率)計
JISZ4333:X線及びγ線用線量当量率サーベイメータ
JISZ4511:照射線量測定器,空気カーマ測定器,空気吸収線量測定器及び線量当量測定器の校正方法

まったく同一ではありませんが、JISは国際規格に則ろうとしていますから、これらの規定はおおよそ世界的に通用する基準だと考えても問題はありません。

もちろん必ずJISに準拠していなければいけないというわけではありません。自作のカウントのみのガイガーカウンターだって立派な放射線測定器です。ただ、メーカーが製品として販売する以上は、Svという国際単位系を扱う以上は、指し示す数値にはそれなりに根拠・信頼性があったほうがいいと思います。

この根拠・信頼性を担保するひとつのわかりやすい基準がJISです。特に初心者の方は「当社独自の」なんてものは避けた方がいいでしょう。日本製であればJISに関して言及されている放射線測定器を選ぶのが無難だと思います(マークの有無ではなく)。

[関連過去記事]
放射線測定器と個人線量計 ~何が違うの?
放射線測定器を仕組みからタイプ別にわけてみた
測定対象と相場表(改)~タイプ別放射線測定器
JISで見る個人線量計とサーベイメーター(放射線測定器/狭義)
メディキタス「CK-6」(BELL-ME)包囲網が狭まってきた! お前はどっちだ!w

で、「CK-6」ってホントはどっちなんですか?w

いつもの通り、新聞がデタラメを書いているという可能性も大いにあります。マニュアルにも「サーベイメーター」と明記されていますしね(JISに関してはノータッチ)。

だったら八潮市は、サーベイメーターで線量を積算し(→個人線量じゃないです。周辺線量の積算値です。かように、”積算”と言っても意味が異なる場合があるので要注意です)、これを公表しようとしているってことです。

たとえば、ある自治体の職員300人が「TERRA」を装着し、その積算値を自治体公式サイトで発表したとします。これ、どう思いますか?とw 「TERRA」の積算機能自体はいいですよ。だけど、自治体がこれを発表することにどのような意味があるのでしょうか。そして、その数値はどれほどの信頼性を持った数値と言えるのでしょうか。さらに、その数値を市民に誤解なく伝えることはできるでしょうか。

本当に八潮市はわかってるのだろうか、目的に則したもっと適切な機種があるんじゃないだろうかと思ってしまいます。
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コメント

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日本て本当に原発が54機もあった国なのでしょうか。

日本は原発が54機もあった国なのに、原発の地元の自治体にはサーベイメーターの一台も備えていなかったケースもあったり、また事故後1年も経つのにいまだに測定器の違いもよくわからない自治体があり、素姓のしれない測定器を公式に採用して数値まで公表しようとしている。
なんだかもう悲喜劇です。
自分の身は自分で守る、お上の発表は参考程度に理解しておくというのが、日本と言う国で長く生きながらえていくこつのようです。

MiniDoseって個人線量計ですよね。
でも空間線量測れるみたいですが本当のところどっちが正しいですか?

Re: タイトルなし

1)miniDOSEは個人線量計です。

2)”空間線量”の定義がハッキリとしないので、なんとも言えません。

厳密に言えば空気吸収線量が空間線量です。
http://www.weblio.jp/content/%E7%A9%BA%E9%96%93%E7%B7%9A%E9%87%8F%E7%8E%87

ただ、このような意味で”空間線量”という言葉が使われていることは現状ではほとんどありません。

では、現状、一般的に”空間線量”という言葉が何を意味しているかというと、実質的には周辺線量(率)を指していることがほとんどだと思います。その証拠に、エアカウンターS、Radi、SOEKSなどでの測定を「”空間線量率”の測定」と称しているからです。

逆に、PDM-122、Doseiなど、個人線量計で”空間線量率”を測定するとはあまり言いません。もろもろ誤解されていたDoseRAE 2ではそのように言われることもありましたけどね(^^;

ですから、もし空間線量≒周辺線量という意味で言うのであれば、日本レイシステムズの説明はメチャクチャだということになります。

その場で測定器が示している線量率=空間線量率だとするならば(そんな定義聞いたことありませんが)、日本レイシステムズの言っていることにも一分あるかもしれません。ただ、測定器が示している数値は実用量ですから、miniDOSEの数値を空間線量(率)だとするならば、個人線量当量率=空間線量率となってしまいます。さすがにこれには違和感を感じます(私は)。

そもそも、日本レイシステムズは、miniDOSEは個人線量を測定する個人線量計で、「空間線量計」ではないと言いつつ、空間線量率も測定できると言っています。めちゃくちゃですね(^^;

まとめますと…

・個人線量計がなぜ個人線量計なのかというと、
個人線量当量(率)を表示するから

・miniDOSEは個人線量計

・つまり、miniDOSEが表示しているのは個人線量当量(率)

・その上で、「空間線量」とはなんでしょね?
その定義をしっかりとお教え頂けるなら、
「正しい」かどうかもお答えできます

ということです(^^

正直、日本レイシステムズの公式サイトはひどいなぁというのが私の感想です。メーカーがこんなサイトを作っていることが信じられません(^^;

ぜひ、以下の記事もご参照下さい。

「空間線量」ってなんだ? ちゃんと説明できますか?
http://geigercounter001.blog55.fc2.com/blog-entry-592.html

Re: 日本て本当に原発が54機もあった国なのでしょうか。

ある部分では杓子定規で融通が利かなく、頭が堅くて、マニュアル通り。
ある部分ではいい加減、適当、なあなあ。

バランスが取れていればまだいいものの、
融通を利かせてほしいところでマニュアル通り、
いい加減でいいところが杓子定規と、
とにかくまあ、ちぐはぐな対応を見せてくれる政治、行政。

そんな姿を浮き彫りにしたのが3.11及び原発なのかなと。
幸か不幸か。
そんなことを感じたりもします。


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