”非破壊検査”なの?~古河機械金属と東北大と大津漁協の放射能測定検査

2012年07月06日
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■ことのあらまし

古河機械金属と東北大が共同で、魚をすりつぶさずに放射能測定できる測定器を開発しました。北茨城市の大津漁協と茨城漁業環境研究会はこの放射能測定器で放射能を測定する実証実験をしはじめました。なお、大津漁協と茨城漁業環境研究会はまったく別の団体ではなく、関係団体だと思われます。

■報道のされ方

”非破壊検査”という言葉を使っている報道

毎日新聞:東日本大震災:魚の線量調査実験 北茨城・大津漁港に非破壊検査器を設置 /茨城
読売新聞:魚“非破壊”で放射能測定・・・実証実験始まる

”非破壊検査”という言葉を使っていない報道

東京新聞:すりつぶさなくても魚測定OK 大津漁協 新型の放射性物質検出器導入へ
朝日新聞:魚を切らずに放射能測定 茨城の漁協、試作機器で実験
NHK:茨城 水揚げの魚その場で検査

■非破壊検査とは

非破壊検査とは、“物を壊さずに”その内部のきずや表面のきずあるいは劣化の状況を調べ出す検査技術のことです。

[ソース]一般社団法人日本非破壊検査協会

■言葉

放射能と放射線。測定の意味。線量計が指し示すもの。空間線量の定義。誤差とは何か。

3.11以降、専門家しかいなかった領域に素人が足を踏み入れました。素人はそれまでの一般的な感覚、日常的知識で専門分野をつまみ食いします。結果、専門用語が誤解され、曲解され、伝播します。そして、間違った知識が蔓延します。

同じ言葉でも、人によって解釈が異なれば、コミュニケーションはちぐはぐになります。前提が違うのですから議論にすらなりません。

「β線を測定するなって、お前も御用か?」

「こんなに数値がフラつく。誤差20%以上あるじゃん!」

魚を切り刻まずに放射能検査をする方法が”非破壊検査”…。非破壊検査には放射線を使うこともありますからねぇ。余計に誤解を与えるような。

詳しい方にぜひ聞きたい。これって非破壊検査なんですか? もう少し丁寧に書きますと、日本非破壊検査協会が定義するところの非破壊検査かどうかという意味です。「破壊しないんだから”非破壊検査”には違いない」とか、そういうことではありません。それがまかり通るなら、医師の触診も聴診器をあてた検査も非破壊検査なのかとw

非破壊検査自体が一般的には馴染みのないものですから、この報道で初めて”非破壊検査”という言葉を目にした人もいるかもしれない。そうすると「非破壊検査=食品を粉砕せずに放射能測定すること」と思う人も出てくるわけですよ。

だからといって、どんな不都合があるのかはわかりません。わかりませんが、将来、非破壊検査という言葉が”逆転”するかもしれません。放射能検査という意味合いの方が広く知れ渡る可能性だってある。そうすると、従来の非破壊検査に携わっている人たちにとっては厄介なことも起こるかもですね。

「あ、いや、そうじゃなくて、非破壊検査というのは従来…」

みたいな説明を毎度毎度しなきゃいけないとか。

この程度であればいいんですが(いいのか?w)、この”逆転”がどれほどの影響を及ぼすようになるのかがわかりませんから、ちょいと不安です。

あと、カッコつきの”非破壊検査”と書いてるあたりもなんだか…。

言葉って大切だと思うんですけどね。この件に限らず。

■言い訳(テヘ

と、エラそうなことを言っておいて、「いや、これも非破壊検査の一種」とか言われたら…www そしたらすんませんw

※追記:逆に「どんな形であれ、日の目を見た!」と非破壊検査関係者が喜んでいたりしてw

※追記:今回取り上げた一般社団法人日本非破壊検査協会はもちろん、他の業界団体、メーカーなど数か所に問い合わせました。いずれも「それはわかりかねる」との回答でした。

「技術的なことはちょっと…」
「当社はあくまで工業製品の…」
「そのような話は聞いたことがないので…」

その上で、あっちへ電話しろ、こっちへ電話しろとたらい回しw いい加減嫌になったので検証終了。

この魚の検査はもしかしたら非破壊検査と呼べるものかもしれない。あるいは呼べないかもしれない。ないしは呼べなくはないけど呼ぶにふさわしくないかもしれない。つまりわかりません!というのが結論ですw

それにしても、業界団体が「わかりません」って…。まあ、こういう団体ってこんなもんですかねw

2014.03.13追記:この記事を書いて1年半が経ちました。今ではもう「非破壊検査」とは言わなくなりましたね。「非破壊式放射能検査」などと呼ばれています。いかにマスコミが適当な知識でものを書いているかがよくわかる事例だったと思いますw
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コメント一覧

640. 2012.07.06
日本非破壊検査協会に、直接、本件は非破壊検査にあたるのか聞いた方が早い様な気がする。
642. 2012.07.07
ま、まあ、そりゃそうなんですけどね(^^;
週明けにも聞いてみますw
649. 2012.07.08
記事の内容も、それぞれ、各メーカーに直接問い合わせた内容も載せる事が出来れば、
更に当サイトの読み応えも上がるかと思われます。
650. 2012.07.09
えっと、当サイトしか問い合わせていない、当サイトでしか提供していない情報もたくさんあるのですが…。古くは椿本興業、エスペックテクノ、スカラ、1008、CK-3、DC-100、RDS-80と80A、直近では浪江町の件、JB4020などなど。挙げればキリがありませんが。

RDS-80と80Aの違いをメーカーに問い合わせ回答をもらい、そして情報を提供しているサイトは世界広しと言えど、当サイトのみです。JB4020が個人線量計だとメーカーからの言質を取っているのも当サイトのみです。TERRA without BT、RAT1(はかるっち)、miniDOSE、さまざまな機種に関して、メーカーに問い合わせ、当サイト独自の情報を提供しています。別に自慢したいわけじゃなくて、「やっとるわい!」とw

個人が趣味でやっているサイトです。すべて問い合わせるのは無理ですし、そうしたいとも思っとりません(^^; 問い合わせたい時、問い合わせるべきだと思った時には問い合わせております。

ちなみに”非破壊検査”に関しては、小ネタですし、言いたいことの本質は非破壊検査自体にあるわけでもありませんから、流す程度に書きました。ただ、ご指摘頂いて、確かにこれはちょっと聞いてみたいかな? 確かにちゃんと知りたいなと思いましたので、時間があれば聞いてみたいとも思ってますw

と言いつつも、当サイトをご覧頂いた方からのご感想として真摯に傾聴したいですし、とても貴重なご指摘だとも思ってます。今後の当サイトのあり方に改めて思いを馳せるきっかけともなりました。ご意見ありがとうございました(^^

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