2012/06/27

浪江町のガイガーカウンター その9 ~浪江町の方へ贈る、ガイガーカウンター「精密博士」のあれこれ

関連ワード:ニュース , ベータ粒子束密度 , 浪江町のガイガーカウンター ,
gc_440.jpg

もろもろの情報ありがとうございましたm(_ _)m

※この記事は浪江町の方で、「精密博士」が手元に届き、これを使おうとしている方に向けた記事です。一般論ではそうとは言えないという部分もあるかもしれません。その点だけはご了承ください。

■ベータ粒子束密度について

1.ベータ粒子束密度モードは必要ありません

結論から言いますと、こんなもの使わなくて結構です。無視して下さいw これにはふたつの意味があります。

gc_437.jpg まず第一に、マニュアルを見ましたが、操作があまりにも複雑です。電源を入れるところから勘定すると、ベータ粒子束密度を測定し終えるのに、ボタンを最低でも8回押さなければいけません(8回!w) 選択がありますから、その回数はもっと多くなりますし、さらに、長押しだの短く2回だのが入り乱れ、よくわかりません!

こんな複雑な操作をして測ってられませんってw ちなみに、「TERRA」という機種でもベータ粒子束密度を測定できるのですが、「TERRA」であれば、電源を入れる→自動的に線量率測定→ボタンを短く2回押す、これだけで測定できます。

第二に、ベータ粒子束密度を測って、じゃあ何なんだとw

[関連過去記事]
【ベータ粒子束密度考察】その6 中間報告

2.なんでこんなものがあるんだ!?

逆に、なんでこんなものがあるのかというと、あえてβ線を測定し、そしてそれをデータとして扱おうとするなら、現実的にベータ粒子束密度でしか測定しえないからです。…よくわからないですよね(^^; ちゃんと説明します。具体的に見ていきますから大丈夫w

ベータ粒子束密度が実際に使われている、そしてよく知られているシーンは次のふたつです。

・ロシアの輸入規制
・ロシア中央銀行

ベータ粒子束密度を測定し、一定以上だと汚染されてますよ、輸入できませんよと言ってます。

[関連過去記事]
各国の輸入に関する放射線検査・規制(国交省資料)を見てみた

ベータ粒子束密度のいい点は、単なる物理量ですから、どんな機種で測定した数値であろうと比較できるという点です。Svは基本的にはγ線の単位で、β線を含んだら、機器によってバラバラな”測定値”になります。数値を直接比較することはできません(正確には測定ではなく検出)。

相対的な汚染度合を個人的に見る分にはSvでもいいでしょう。また、簡易に”測定”しやすいという意味で、目安としてSvを輸入規制の基準単位としている国がたくさんあるというのも、まあ理解できます。だけど、ロシアはそう考えないんですね。その汚染を定量で測定させようとします。データを集積、比較しようとします。だから物理量たるベータ粒子束密度を基準にします。

[関連過去記事]
パンケーキの開け方をタイプ別に分けてみたら、思わぬ事実が見えてきた?

ということは、逆から言えば、データを集積・比較するわけじゃないのなら、ベータ粒子束密度で測定する意味は私たちにはないということです。

たとえば、自治体や政府がベータ粒子束密度でなんらかの基準を設け、これを除染作業や避難指示などに運用しているのであれば、ベータ粒子束密度で測定する意味はあるでしょう。だけど、日本はそうなっていません。私たちがベータ粒子束密度で測定する意味があるとするならば、β線による汚染の相対的な度合を見るというくらいです(ロシアに何かを輸出するってのなら必要ですね)。

しかしです。だったら別にベータ粒子束密度である必要はないわけです。相対的に見るだけなら、Svでもcpmでもいいのですから。すなわち、「ベータ粒子束密度は必要ない」ということです。

そもそも、ベータ粒子束密度での測定値がどれだけ信用性のある数値かが、私にはわかりません。ちょっと難しい話になりますが、校正がSr90ですよね(たぶん)。だけど実測ではCs137であることが多いはず。このあたりが測定値にどう影響するのかがよくわかりません(Sr90とCs137では検出効率が違うかもですしね。とするなら、係数も異なってくるはず)。

なんでこんなものをつけちゃったのか(^^; cpmにもできるってメーカーは言ってますからねぇ。cpmにしてくれればナンボかよかったのに。

余談ですが、マニュアルに「β線のバックグランド」という紛らわしい記述がありますが、このあたりを説明するのも面倒になってきました。そもそもベータ粒子束密度で測定する意味はないのですから、マニュアルの該当部分も無視して下さい。

※詳しく知りたい方は、記事の最後に書いておきますのでご参照下さい。

■GM管について

gc_438.jpg

チラシだと2本にも見えていたのですが、1本ですね。そして、おそらくは中国製のガラスでできたGM管をアルミかなにかで巻いていると思われます。

なぜこんなことをしているかというと、一般論的にはふたつの意味があると見ることができます。ひとつはβ線の遮蔽。ひとつはγ線の検出効率の向上。ただ、この「精密博士」がどのような意図でもってこうなされているかはよくわかりません。

■合格証について

gc_439.jpg

合格証…。何に関する合格なのか、誰が与えた合格なのか…。つまり、何の意味もなさない”自称”合格証ということですかね。よくわかりません(^^;

ちなみに、浪江町の入札条件には「検査合格票」というとても曖昧な記述しかありませんでしたから、これでもいいのかもしれませんが。でもまあ、これでいいなら、言ったもんがち。私でも…w

※検査印はどこの誰かわからない個人名のシャチハタ的ハンコが押されています

■性能について

わかりませんし、それを云々していません。実機に触れたことがありませんし。ただ、もう配布されています。税金も使われています。ですから、できれば使いこんでみて下さい。その結果、「これはこれで使い道はある」とわかるかもしれませんし、「ダメだこりゃ」かもしれませんが。

せっかく配られたんですからね。とりあえず使ってみて下さい。どんなものであれ使いようです。そもそも、相対的な数値の推移を見ることが、私たち一般人にとっての放射線測定なのですから(いつの間にかモニタリングポストと比較することが当たり前になっている現状!)。

************

付録:「β線のバックグランド」という言い方について

まず、バックグランドの定義から見てみましょう。

環境放射線(かんきょうほうしゃせん、Background radiationまたはEnvironmental radiation)とは、生活環境の中にある放射線のことである。

環境放射線は自然放射線と人工放射線に分類される。自然放射線とは、自然界にもともと存在している放射線である。人工放射線とは、人間が作り出した放射線のことで核実験や原子力事故などで放出された放射性物質によるものである。以下に記述のある放射線量に関してはあくまで推定平均値であり、局地性がある。また公表機関により数値が大きく異なる場合がある。

[ソース]環境放射線~wikipedia

一般的には自然放射線を指すことが多いのですが、ただ、東京都で測定した0.08μSv/hも福島県のどこかで測定した0.5μSv/hもバックグランド(以下、BG)と呼ぶことが多いです。

「BGが0.5もあるのにWBCなんて無理」

などと言われますよね。ですから、ザックリと「バックグランド=その場のγ線の線量率」くらいに考えて下さい。そもそも線量率で表していますし(Svは基本的にγ線です)。

さて、ベータ粒子束密度に関してです。ベータ粒子束密度は、

(β線 + γ線) - γ線

という式でβ線分をはじき出しています。そして、この際のγ線をバックグランドと呼びます。具体的に見てみましょう。

ある場所の地上1mの線量率が0.5μSv/hだったとします。ここには自然由来のγ線も含まれているでしょうし、おそらくは地表にあるCs137由来のγ線も含まれているでしょう。で、地表を測ればさらにβ線も含まれてきます。じゃあ、さっきのと今のとを差し引きすれば(=バックグランドを差し引けば)β線分だけになるじゃないか、と。こうしてベータ粒子束密度は測定されています。

ところで、「精密博士」のマニュアルには「β線のバックグランド」と書かれています。ですが、正確にはβ線だけではなく、γ線も含んで測定しています。さらに、γ線の測定においてもバックグランドという言葉が使われており、多分に誤解を与える書き方です。あまりわかってない人が読めば(いや、わかっていてもw)、

「ん? どういうことだ?」

と頭をかしげること必至です。ですから、マニュアルの言い方は深く考えず、大まかにはこんな流れなんだと思って下さい。

γ線(+X線)のバックグランドを測定する(γ)
※対象から離れて
 ↓
β線があるかもしれない地点を測定する(β+γ)
※裏蓋を外し、対象に近づけて
 ↓
後者から前者を引き(=β線も含んだ測定値からバックグランドを差し引く)、ベータ粒子束密度を算出している

以上、あまりにもわかりづらい「精密博士」マニュアルに対する解説でしたw

で、これを読んだ上で「β線のバックグランド」と言われて、わかります?w

[関連過去記事]
浪江町のガイガーカウンター その10 ~TERRA-N誕生の背景に隠された”真相”
浪江町のガイガーカウンター その9 ~浪江町の方へ贈る、ガイガーカウンター「精密博士」のあれこれ
浪江町のガイガーカウンター その8 ~いよいよ全世帯配布開始
浪江町のガイガーカウンター その7 ~遂に可決! 機種も判明…
浪江町のガイガーカウンター その6 ~二度目の落札業者が決定→仮契約で次は議決
浪江町のガイガーカウンター その5 ~仕切り直して条件も新たに再度入札公告
浪江町のガイガーカウンター その4 ~今回の真相、今後のこと/実は日本初/勝手に浪江町に最適な機種を考えてみたw
浪江町のガイガーカウンター その3 ~議会で否決。なぜ入札参加→落札できた?
浪江町のガイガーカウンター その2 ~落札業者と”機種名”を浪江町役場に聞きました
浪江町のガイガーカウンター入札広告(落札済)の不思議 ~いったい誰が何を!?

と言いつつ、最後にサラリとこんなことを書いちゃいます。まあ、なんだかよくわからんけど、とりあえずベータ粒子束密度ってヤツでも測ってみればいかがでしょうか? その数値自体にはそれほど意義はないかもしれないけど、やってみることでわかることが何かあるかも?? と、ポジティブになんとか…がんばって…考えようとしています(^^; だって、もう配られちゃってるんだしー(投げやり
関連記事

コメント

非公開コメント

南相馬市

南相馬市でも測定器(DOSEe)を配布した様子です。
全世帯なら数万台?、避難地域だけなら数千台?

http://numayu.blogspot.jp/2012/06/blog-post_23.html

なお、RADEX RD1503とDOSEeの測定値が違う事についての考察ですが、

RD1503のGM管はチューブの為、立地的に放射線を捉えるのに対し、
DOSEeのPINダイオードは面で放射線を捉える為、強い指向性が有ります。

室内の机の上などで、PINダイオードで測定した場合、机側からの放射線しか測定しない為、正しい測定ができなかったと思われます。

PINダイオードの測定面を地面に向けて、地面から1m程度離して測定すればGM管式測定器と同様の値が出ると思われます。

富岡町

富岡町や大熊町はどうなったのだろうか?
その後の行方が気になりますね。

Re: 南相馬市

南相馬に関してはこちらで触れています。ご参照下さい。
http://geigercounter001.blog55.fc2.com/blog-entry-1098.html

1503とDOSEeの比較はよくわかりません。
この写真だけでは
どうやって測定しているのか不明確なので。

富岡町等はどうなんでしょうね。
随契でしょうし、浪江町ほどは気になりません。

私のような”部外者”があれこれ言ったところでどうにもならないし、
「そんなものはどうだっていい。
もっと気にしなきゃいけないことがいっぱいあるんだ」
と言われれば、反論のしようがありません。
浪江町にしたって、私はちょっと首をかしげてしまうのですが、
ネットでは特段、誰も問題にしていませんしね。
ですから、どうでもいいことに私が固執してるんじゃないかとも…。

すみません、ホロ酔いでグチってしまいました。

落としたら壊れます。
テラは壊れないから本当にそっち配って欲しかったな。

電話対応も責任転嫁がみえみえのよろしくない対応。


修理代もとるみたいです。1万以上。


しかし、箱に入ってた故障等はJB事務所に直接電話してくださいっていう紙、失態が外部に広くさらされないための予防にしか思えないのですが。


きっとたくさんクレームがくるのでしょう。

線量計についてあまり感心がないかたや知らない方は、なんの疑問も持たないで、電話してしまうのでは。

友人に送られてきたものは、最初からエラー表示でした。


ゴミを配ってるとしか思えないです。

Re: タイトルなし

> テラは壊れないから本当にそっち配って欲しかったな。

私もTERRAのほうがほしいですw

貴重なお話ありがとうございました。ご友人の精密博士がすぐ修理されるなり新品と交換されるなりするといいですね。

なお、

> 故障等はJB事務所に直接電話

この件に関しては入札条件に含まれていることなので(サポートも込みでの入札でした)、メーカーの姿勢としては間違っていないと思います。逆に、どこへ電話するよう指示されていればよかったのでしょうか…。

開けて一日も経たずにエラー表示になったんですけど…。
ほかの家族に来たモノに至っては同じ場所で測っているのに数値が全く違う。2.3μSvと3.7μSvって。数値はせわしく変わりますが2台の差があまり縮まらない不思議。
こんなものなら要らないし、私たちやもっと若い世代が支払う税金で買ったと思うとなんとも言えない気持ちになります。他にもっといいものがあったと思う。呆れて問い合わせる気にもなりません。

Re: タイトルなし

コメントありがとうございます。

あまりにひどく、そして同様の苦情が集まれば、何らの動きになるかもしれません。メーカーに言ってもどうにもならないでしょうから、役所に苦情というか、「ちゃんと完成品を一度テストしてくれ」みたいな要望をお出しになられてみてはいかがでしょうか?

福島県職員が線量計盗み転売 所属課の181本375万円相当。パチンコの借金に充当(福島民報)言語道断!
http://financegreenwatch.org/jp/?p=49556

福島の地元企業JBジャパンブランド、納品したリアルタイム線量測定装置の不具合に対応できず福島県から契約を解除される
http://togetter.com/li/811835

地元産 放射線計測 検証 性能 ユーザーサポート jbジャパン・ブランド 空間線量率 入札 +
「福島県が2015年4月から運用開始したモニタリングポスト30台が異常値」納入は中国製線量計「精密博士」の発売元の地元企業JBジャパンブランドだった
http://togetter.com/li/806079

福島県・30台以上が異常な数値を出したモニタリングポストの謎〜設置企業と契約解除〜
http://kiikochan.blog136.fc2.com/blog-entry-4216.html

よくまとまっていますね。
野々村さんがんばっています。

最近、「公共入札業者さんに技術力が無いので、なんとかしてくれ」
とか、よく言われます。
αさんもそうですけど防水のJISも通っていない製品をどうしろってのかね?
責任をあいまいにして、押し付けようとするのは目にみえている。

文部科学省はアルファ通信にリアルタイム線量測定システムの数値をどうしろと言ったのか?:裁判記録から浮かび上がる予想外の実態
http://togetter.com/li/626472?page=7

続・文部科学省はアルファ通信にリアルタイム線量測定システムの数値をどうしろと言ったのか?:裁判記録から浮かび上がる予想外の実態
http://togetter.com/li/631252?page=4

よくまとまっていますね。
野々村さんがんばっています。

Dose-eは半導体検出器なので、MCAにてエネルギー特性を計測することができます
そのためCs137における正確なエネルギー特性(約±20%以内)を調整することが可能です。
しかしGM管はMCA,SCAを使うことができませんので、何を計っているかわからず
エネルギー校正ができません。
そのため普通、原子力事業者はGM管を使いません。
検出器が異なるものを比較するのはナンセンスです。
通常原子力事業者のMPは、シンチ、Ge、電離箱と複数の検出器を使います
そのため1台3千万円程度の装置となります。


rss001.gif twitter001.gif fb001.png Google+