国民生活センターの個人線量計テストをちゃんと読んでみました

2012年05月24日
関連ワード:コラム , 国民生活センター ,
国民生活センターが発表した「デジタル式個人線量計のテスト結果[PDF形式](419KB)」をこれから見ていきますが、初心者の方は「?」でしょう。この記事を読む必要はありません。

ただ、これだけ知っておいて下さい。

放射線測定器と言っても、大別すると2タイプあります。

・サーベイメーター
・個人線量計

用途に応じて選ばなければいけませんが、残念ながら、このふたつがどう違うのか、どう使えばいいかをわかりやすく解説してくれているサイトが皆無です。放射線測定器選びにおいて、一番重要なことであるにもかかわらずです。

非力・不十分ながら、当サイトで説明しておりますので、まずはそちらをご一読下さい。

放射線測定器と個人線量計 ~何が違うの?
個人線量計を具体的にまとめてみた~”積算タイプ”とか”コンパクト”とかじゃないんですw
測定対象と相場表(改)~タイプ別放射線測定器(初心者用)

では、PDFを見ていきます。

業務従事者個人の被ばくした積算線量を把握・管理する目的の個人線量計もあるが、販売時に消費者に対してそのことが十分に説明されているとは言いがたい。

オマエモナー

個人の被ばく線量は、その人がどういった場所にどれくらいの時間滞在していたかなどの生活スタイルによって異なるものであるため、その測定値は、公表されている各地の放射線モニタリングデータ等を参考にすることができないものであり、正確に測定ができているか個人が判断することは困難である。

論理的におかしいです。

生活スタイルによって異なるからこその個人線量当量です。自治体の発表は、あくまでもその場所の周辺線量当量率です。両者に差があって当たり前の話です。なぜなら、測定環境が異なりますし、そもそも何を測っているのか(周辺線量当量か個人線量当量か)が違います。どちらが正確とかそういう問題ではありません。むしろ、正確に個人の被ばく量を記録・測定するために個人線量計を装着します。国民生活センターは本当にわかってんのかな(^^;

さて、これから具体的なテスト内容を見ていきますが、今回テストされているのは以下の機種です。

1) DoseRAE2
2) DP802i
3) PDM-122
4) PM1621M
5) RAD-30
6) SPD-9100

すべて、当サイトでも紹介済みです。もちろん、個人線量計として。

※個人線量計のテストに関しては同一機種を複数個用意するというのもJISによる規定なんですが、こういう部分は無視している簡易”テスト”ではあります。

1)個人線量計の校正方法に基づいた137Cs由来のγ線照射試験
全銘柄ともばらつきは小さく、照射した線量に非常に近い積算線量を示す銘柄があった一方で、1000μSv の条件において照射した値に対して、約半分の積算線量を示す銘柄もあった

gc_399.jpg

2)被災地の屋外環境に近い線量率での137Cs由来のγ線照射試験
被災地の屋外環境に近い 1μSv/h で 24 時間の照射を行い、照射した線量(24μSv)に対する各テスト対象銘柄の正味値(注 10)を調べた(図 3)。

被災地の屋外環境に近い線量率の条件では、照射した線量と正味値のずれが大きくなる銘柄があり、JIS が許容する誤差の範囲内に収まるのは 3 銘柄だけだった
被災地の屋外環境に近い線量率の条件では、前述の照射試験に比べ、照射した線量に対する正味値のずれの割合が大きくなる銘柄があり、30%以上の誤差を示す銘柄が 3 銘柄(No.1、2、5)あった。この 3 銘柄は JIS Z4312 の許容する相対基準誤差の範囲(±15%)を超えた。 一方で残りの 3 銘柄(No.3、4、6)の誤差は 10%以下だった。

gc_400.jpg

50μSv の試験結果を参考に正味値を補正してみると、取扱説明書等の誤差の範囲に収まる銘柄があった
正味値では取扱説明書等の誤差の範囲を超えた No.1 については校正定数による補正をすることで、照射した線量により近い値を示すようになり、±15%の誤差の範囲内になることがわかった。

gc_401.jpg

「DP802i」(2)が残念なことになってますねw

その他は概ねいい感じです。特に「PDM-122」(3)、「PM1621M」(4)がいい結果ですね。さすがアロカ、ポリマスといったところでしょうか。ちなみに、前者は半導体、後者はGM管なんですが、検出器の違いによる差もあまりありませんね。

問題は「DoseRAE2」(1)です。高線量”率”だと比較的高めに線量率が表示されるというのは、各所の検証でよく言われていることです。積算でも同じなんですね。図3がそれを示しています(そして、補正をすればとりあえずましにはなると/図4)。ただ、12.63mSv/h×4分45秒=1000μSvでは低めに出ています(図1)。

なんでしょうね。今回のテストにおいて照射されている線量率であれば、基本的にセンサーは半導体のはず。いわゆるデュアルセンサー問題は関係なさそうですし、また、エネルギー補償も無関係のような…。よくわかりません。

ただ、「被災地の屋外環境に近い1μSv/hで24 時間の照射」というあたりに、おいおいとツッコミを入れたくもなるようなテストですから、もうちょっと現実に即したテスト結果も見てみたいものです。たとえば、0.3×24とか0.5×24とか。

ちなみに、照射線量と条件はこんな感じです。

gc_402.jpg

残りはどちらかというと景品表示法的問題の指摘です。ひと言で言えば「ショップの説明なんてあてにならんから、ちゃんと知識を持って商品を選びましょう」ということです。当たり前の話ですね。

と同時に、事業者への要望というものもあります。こちらは各メーカーにはぜひお願いしたいところです。

8.事業者への要望
(1)消費者が別の用途の機器と誤解することがないよう、個人線量計であることや、その用途について販売広告等に明記することを要望する
(2)個人線量計に不慣れな消費者が正しい用途に使用できるように、取扱説明書等を充実させるよう要望する

「CK-6」はどっちなんでしょうね。中国製ではありますが「JB4020」がどちらかも知りたいところ(問い合わせてはいるんですけどねぇ)。そして、そんなよくわからない「JB4020」を元に作られている…略w

2012.05.25追記:「JB4020」は個人線量計だとわかりました。

JB4020が個人線量計 / Hp(10) と判明。ということは、精密博士、ES-GC01は…

本日を境に、個人線量計とサーベイメーターがしっかりと区別されて認識されるようになればいいのですが(消費者側においても、ショップ・メーカーの説明においても)。

※あ、文句を言ってきたRAE SYSTEMSに対する私怨混じり?www それはないかw
関連記事
エアカウンターEX

コメント一覧

570. 2012.05.26
多少表現に問題が有ったとしても、国民生活センターが試験をして結果を公表するする事は、大いに賛成です。
と言うか、試験するのが遅すぎです。
 
私も、DP802iには大いに疑問を感じてましたが、国民生活センターが試験しても、やはりマズイ結果が出ています。
 
国民生活センターが間違った測定方法をしたとしても、個人が使うだろう事を想定して試験を行っている事から考えれば、概ね信用できる結果が出ている様に思います。
 
どの機種がどれだけ信頼できるか、と言うよりも、どの機種がどれだけマズイのかと言う事を知る上で、どんどん試験して結果を公表して欲しいと思います。
 
その上で、測定時間、指向性の有無、線量変化への追従性、電池の持ちなど、
ケースバイケースで選べば良いと思います。
その意味でも、各機種にどんな特徴が有るのかも合わせて公表してほしいですね。

571. 2012.05.26
そうですね。もうちょっと現実の使用に則した試験をしたり、使用方法に関してもう少し具体的に説明してほしいと思うのですが(研究室で使うわけじゃあるまいし)、このあたりが国民生活センターの限界かなとも思わなくはありません(^^;

ただ、国民生活センターをバカにしておいてこんなことを言うのもアレなんですが、決して国民生活センターだけが悪いってわけでもないんですよねぇ。説明不備なメーカー、説明がデタラメなショップ、買おうとしている物に関して調べもせず、宣伝文句に煽られ、イメージで物を選ぶ消費者…。

特に放射線測定器は命や健康に関わる機器ですから、もう少しちゃんと知って選んでほしいなぁという気持ちです。

コメントを投稿する




管理者にだけ表示を許可する

みんなの放射線測定入門 (岩波科学ライブラリー)
著者:小豆川勝見(しょうずがわかつみ)

いちから聞きたい放射線のほんとう: いま知っておきたい22の話
著者:菊池誠(きくちまこと)×小峰公子(こまつきみこ)

武田邦彦が教える 子どもの放射能汚染はこうして減らせる!2 親子で一緒に実践編  (SUKUPARA SELECTION)
著者:武田邦彦(たけだくにひこ)

いちえふ 福島第一原子力発電所労働記(1)
著者:竜田 一人(たつたかずと)