2012/05/16

放射線測定器にニックネーム(愛称)をつけることは何気に意義がある

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マンハッタン計画(Manhattan Project)はもともと「代用物質開発研究所(Laboratory for the Development of Substitute Materials)」という名前だったそうです。ただ、これでは「好奇心を掻き立てるだけである」として、当初の本部があったマンハッタンにちなみ、マンハッタン計画と名づけられました。

[参照サイト]マンハッタン計画~Wikipedia

「好奇心を掻き立てるだけ」というのは建前的な言い分かもしれません。その本音は軍事機密をいかに守るかということでして、そのために”コードネーム”が付されます。これはなにもマンハッタン計画に限ったことではく、よくある話。そして、マンハッタン計画のさなか利用されていた放射線測定器(サーベイメーター)も同様です。

They(code names) were chosen to be as silly as possible, supposedly to confuse unauthorized personnel during the war(WWⅡ). Nevertheless, the instruments had to be called something, and nick-names continued to be given to instruments developed after the war even though the need for secrecy had passed.

[ソース]Oak Ridge Associated Universities:The Nick Names of the Early Survey Meters
※以下、同ページは「ORAU」と記します
※文中のカッコは私がつけました

gc_384.jpg たとえば、アメリカ初の商用サーベイメーター、Victoreen製の「Model 263」は”Doc”というニックネームで呼ばれていました。ディズニー映画「白雪姫」に登場する7人の小人のうちの1人からつけられたそうです(ディズニー系のニックネームが多いんですよねw)。

When I asked Collins about the meaning of the name Doc, he told me that the instrument was named after one of the characters in the Disney movie Snow White, i.e., one of the seven dwarves.

[ソース]Oak Ridge Associated Universities:Victoreen Model 263, the "Doc" (ca. 1940-1947)

他にニックネームが有名なサーベイメーターでは、Nuclear Instrument & Chemical Corporation製「Model 2111」の”PeeWee”、同社製「Model 2302」の”Super Sniffer”などがあります。また、Nuclear-Chicago(前出の2社が合体!w)の「Model 2586」など、ハンドガンタイプのサーベイメーターは”Cutie Pie”と呼ばれることが多いようです。

このようなニックネームはユーザー側が勝手にそう呼ぶ場合もありますし、メーカー側が用意しているパターンもあるのですが、これまで引用してきた文章の執筆者は最後にこう言います。

Sadly, the use of nick names for survey meters has declined in recent years, but one of my favorites, the Rascal, is of fairly recent vintage (ca. 1980). The name is a descriptive one. It, just like the instrument, is a combination of Ratemeter and Scaler

[ソース]ORAU

gc_383.jpg 「Rascal」はおそらく、eberlineの「PRS-1」でしょう。これもニックネームではあるのかもしれませんが、どちらかというと製品名ですね。よくできてはいますw いずれにせよ、少なくなってきているというのが執筆者の感想です。

さて、前置きが長くなりましたが、この執筆者に遠く離れた日本から朗報を。私たち日本人は、何でも略すのが大好きです(キムタクもラスカルみたいなもの!w)。何にでも愛称をつけたがります。アメリカではどうかは知りませんが、日本では今でも放射線測定器を愛称で呼んでいます。

■もじり型

一番最初に思い出したのが「添子」。「SOEKS 01M」ですね。このガジェット的魅力はどちらかというと男性ウケしそうでして、だからこそ「添子」なんでしょう。語呂もいいですし。「添太郎」では傘でも回し出しそうですw

■省略型

「Inspector PLUS / ALERT」は「Ins」「インス」と略されます。青インス、黒インスなんてのがあってもおかしくないですがw、ただ、中身は同じですから、呼びわける意味はあまりないでしょう。

「エアカウンター(S)」は「エアカウ(S)」「ACS」なんて省略されたりしますが、ただ、これだけ幅広く使われている割に、愛称・ニックネームはそれほど使われません。

おお。もう3000円台が当たり前になりつつありますねw

まあ、RADEXシリーズの1503、1706、1008も略名と言えなくはないですかね。ちなみに当サイトではメーカーのQuarta-RadをQR社と略すことがよくあるのですが、こんな略し方をしてるのは当サイトだけ?w 普通はQuarta-Radなんて単語、使いませんもんね。略すシーンがそもそもないという。

他に、日立アロカメディカルの「TCS-171B」「TCS-172B」を”アロカシンチ”と呼んだりしますが、これも省略型に入れられそうです。

■色分け型

似たモデルを言い分けるのに色を愛称にするというパターンもあります。「黄テラ」(TERRA-P)、「黄テラ+」(TERRA-P+)、「黒テラ」(TERRA MKS-05)、「青歯テラ」(TERRA with Bluetooth Channel)がその最たる例(青歯はボディ色とは関係ないかw)。なお、放射線測定器において「青歯」と言えば、それだけで「青歯テラ」を指すという場面もあります。

最近では「青ラディ」(PA-1100 Radi)というのも目にします。これにともなって「白ラディ」(PA-1000 Radi)という言い方も生まれました。

「Pripyat RKS-20.03」は「プリ」と略されます。私もそう書くことがたまにあったような。これに色をあわせると、赤プリ、白プリ、黒プリ、グレプリ、オレプリw 省略&色分けの複合型とも言えそうです。

■メーカー命名型

メーカーが愛称的な名称を用意している例もあります。Doza社製品が一番有名でしょう。各機種に鳥の名前を付しています。たとえば「DKG-07D "Drozd" (ДКГ-07Д "Дрозд")」。Drozdはツグミです。

逆に、有名で利用者も多いと思われるのに愛称がないのはPolimaster(ポリマス!)製品。番号が製品名になってると、なかなか難しいですね。

結局、有名機種でないと略す意味がないと言いますか、通じませんから、ニックネームや略名を与えられているということは、それだけ有名、愛されているという証なんでしょうね。

特別な名前を与えるということは、そこに深い関係性を認めるということ。ひいてはより深い理解にもつながりえます。放射線測定器に愛称、ニックネームをつけるというのは理に適ったことでもあると感じました。
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コメント

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名前付けちゃいますね!

僕もいつの間にかニックネームを付けてました。
・TERRA P+ → テラピ
・RADEX 1706 → ラデロク
・PM1703MO-1 → ナオミ
・GammaRAEIIR → ガラ
友達たちに貸していたら、いつの間にかこんな感じに。
いま欲しいのはパンケーキ型で、あの卵形のが欲しいです。

Re: 名前付けちゃいますね!

ナオミwww どちらかというと無骨な男を彷彿とさせるフォルムなのですが(私の勝手なイメージw)、それに女性の名前というのが面白いですねw


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