「HRDTX」は何だ?www ~据置型の規格、HRDTXの価格

2012年04月20日
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相馬市 リアルタイム線量モニタープログラム、米Scosche社の最新据置型放射線測定器『HRDTX』を採用

HRDTX_001.jpg HRDTX_002.jpg

販売元:テックウインド株式会社
メーカー:Scosche Industries(スコーシュ社)
開発・監修:東京大学物理学専攻 早野龍五教授

て感じでしょうか。テックウィンドは元シネックス。社名が変わりました。「二子新地前」が「二子新地」に変わった、みたいな?

性能やスペックを云々する以前に、まず、これが何なのかを知る必要があります。「HRDTX」のような据置型の放射線測定器はどんな区分に入る製品でしょうか。JISにあてはめ見てみます。あくまでもひとつの参考としてJISを引っ張ってきているだけです。JISに適っているからいい、適ってないとダメだというわけではありません。

タイトルだけを見て、もしかしたらこれ?と考えられうる規格は3つです。

JISZ4324 X線及びγ線用エリアモニタ
【概要】この規格は、原子力施設及び放射線施設の建屋内の作業環境における,X線及びγ線の1 cm線量当量率を連続的に監視するためのエリアモニタについて規定したものである

JISZ4325 環境γ線連続モニタ
【概要】この規格は、原子力施設及び放射線施設の周辺に設置され,環境γ線の空気吸収線量率又は空気カーマ率を連続的に監視するモニタについて規定したものである

JISZ4333 X線及びγ線用線量当量率サーベイメータ
【概要】この規格は、X線及びγ線の1 cm線量当量率を測定する放射線サーベイメータについて規定したものである

「エリアモニタ」だとすると、施設内という部分が合致しません。「連続モニタ」だとすると、空気吸収線量率云々という部分が合致しません。「サーベイメータ」は概要を読む限りは、当該製品の概要と矛盾を感じません。「サーベイメータ」ですかね。

逆に、サーベイメータであると仮定して、規格内容(とくに構造)と当該製品で合致しない部分があるかどうかを見てみます。

5. 構造
5.1 構造一般 構造一般は,次による
a) 検出器,指示計器及び電源が一体に構成されるか,又はケーブルで接続され,操作及び持運びに便利で,かつ,置いたときに安定性のよい堅ろうな構造とする。
b) 1 cm線量当量率(単位:mSv/h など)が直接指示できるものとする。
c) 振動,衝撃,電磁環境などの影響を受けにくいこと。
d) 必要に応じて,記録計用出力端子,警報信号出力回路などを備えてもよい。
e) 検出部に β 線入射用の窓を設け,β 線の粒子束密度などが測定できる構造にしてもよい。
f) 1 cm線量当量の積算値が測定できる回路を付加してもよい。
5.2 指示計器 指示計器は,直線目盛若しくは対数目盛又はディジタル表示とする。
5.3 電源 電源は,次による。
a) 電源は,電池式とし,交流電源(定格電圧:100 V,周波数:50 Hz 又は 60 Hz)を併用する方式でもよい。
b) 電源用電池の消耗度が容易にチェックできる機能をもつこと。
c) 一次電池は,正しい極性で接続されるようにサーベイメータに明示しなければならない。

少なくとも据置型であってはいけないとは書かれていません。ただ、「持運びに便利」という部分が気にはなります。しかし”便利”というのは主観ですからねぇw

「HRDTX」はコンセントからパッと外せる、電池もあるのでコンセントから外しても動いている、小さくてとても軽量。JISの意図を無視して私の主観を言えば便利っちゃあ便利ですわねw

なお、サーベイメーターにサイズ、重さの規定はありません(個人線量計にはあります)。

次に、当たり前だと思ってしまって気にも留めなかったのですが、サーベイメーターは電池式でないといけないんですね。AC電源のみではいけないということです。実際、AC電源のみのサーベイメーターは見たことがありませんw

話がそれてしまうのですが、これに関して面白いエピソードがあります。サーベイメーターの歴史と電池の話です。というのも、電池が今ほど普及していなかった1900年年代初頭はケーブルでつないでいたんですからw となると、サーベイできる範囲が限られてしまうわけです。

そんな中、あるアメリカの大学で研究用の放射線源(だったかな?)が盗まれるという事件が起こります。盗まれた線源をサーベイメーターで探しだそうとしますが、ケーブルですからねぇ。さて、どうなった!? そして、この一件がサーベイメーターの発展に大きく寄与します。詳しくはまたの機会にw

もうひとつ余談。以前も書いたのですが、サーベイメーターに基準点、入射方向の表示は必要ありません。「PA-1100 Radi」や「A2700 Mr.Gamma」には「+」マークがついていますが、あれは規格とは関係なく、ユーザーに「ここに検出器がありますよ」と知らせているだけです。要はメーカーの親切心から表示しているだけのこと(出荷前の校正、テスト時におけるメーカーにとっての利便性ってのもあるのかもですが)。個人線量計はこうした表示が必須です。

こう見てきますと、消去法的ではありますが、「HRDTX」はJIS的にはサーベイメーターとみなしていい、”据置型サーベイメーター”と考えるのが理に適っているのではないだろうか、というのがとりあえずの結論です。

※細かいことを言えば、エネルギーのあたりも引っかかりはします。

ただ、そもそもこんな製品の存在自体が3.11以前には想定されていなかったでしょうから、規格がないというのがもしかしたら正しい認識かもしれませんね(エリアモニタ、連続モニタの規格は読み込めてませんので、ちょっと適当に言っちゃってます。すみません;;)。

サーベイメーターとみなして問題なさそうなので、これでいいとは思いますし、あるいは「JISZ4324 X線及びγ線用エリアモニタ」あたりに修正を加えるのでもいいのかもしれませんが、いずれにせよ、自治体が採用していますから、規格的にどうなってんだ?ということが非常に気になります。

電源コンセントに直接ぶっ差す構造に見えます。延長コードはないのか、延長できるのかなんてところが知りたいです。方向特性なんかも見てみたいですね。

相馬市では58世帯に設置され、夏には一般市場にもお目見えするとのこと。据置型は各社からさまざま出ていますが(スカラはどうなったwww)、どれほどの需要があるのかなんてことにも興味があります。

製品型番:SCO-HRDTX
検出器:シリコン半導体
計測範囲:0.01μSv/h~10,000 μSv/h
計測線種:120 keV 以上のγ(ガンマ)線
誤差:±10%( NIST*) エネルギー補償
送信データ:計測値、日時
表示:LED ライト/ アラーム音(105dB)
警報設定:2 段階で設定可能(緑色→黄色/ 黄色→赤色)
通信回線:Wi-Fi( 標準添付ドングル)
別売ドングルにより3G 及び次世代高速データ通信機器(一部機種に対応)/ LAN(対応予定)
電源:電源コンセント
単3アルカリ乾電池2本(停電時のバックアップ用、別売)
消費電力:5W 以下
寸法:幅75 × 高さ124 × 奥行30 mm(本体のみ)
質量:約40g
付属品:Wi-Fi ドングル、取扱説明書、保証書

[ソース]Tekwind:HRDTX

さて、当測定器のことは以前から情報は得ていたのですが、Scosche Industriesというのが今回明らかとなりました。これは予想外。製品開発に関してはTekwindが取り仕切っているでしょうから、同社がScosche製品を扱っているという縁でこうなったんでしょうね。

Scoscheと言えばスマートフォンに接続して利用できる「RDTX-PRO」「RDTX」が有名ですね。なぜか東急ハンズでも売られていますw

「RDTX」一覧(楽天市場)
「RDTX」一覧(Amazon)

両者とも検出器は半導体。「RDTX-PRO」は単体でも使えます。

おっと。「HRDTX」も同社サイトで紹介されていますね。価格は$399.99。$1=\80として約32,000円ですか。なるほど。一般市場にもお目見えしたらカタログとしてまとめてみます。

※各所から情報をお寄せ頂きました。ありがとうございます。

※追記:一応、こんな風にも言われています。

サーベイメータは、放射性物質または放射線に関する情報を簡便に得ることを目的とした、小型で可搬型の放射線測定器である。

[ソース]weblio:原子力防災基礎用語集

”可搬”ですからね。決して矛盾はしていないwww
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コメント一覧

502. 2012.04.20
プラグの付け替えできるところが
海外製っぽいですね
電池蓋の周辺にスポンジゴム付けないと
長期運用を考えると
プラグが傾いて少し抜けて漏電しそうですがw
早野先生監修なんで文句は言えませんね
503. 2012.04.21
置き方に自由度があればもっといいんですけどねぇ。
そこまで求められませんかねw

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