本物、偽物、OEMなんてことを考えて辿り着いた意外な結論

2011年05月15日
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■やはりOEMはあった

面白いサイト(会社)を見つけました。まず、こちらの画像、リンク先をご覧下さい。
gc_002.jpg
ソース:http://zoyabiz.cs.alibaba.co.jp/product/511147434.htm

注目すべきは右上の青いアイコン。「OEM可」とあります。噂は耳にしていましたし、状況を見ていれば想像はつきます。けど、やはりOEM(たぶん広い意味でのOEMでしょう)は放射線測定器の世界でもあったのです(OEMが悪いとかダメだと言ってるわけではありません)。
※以下はあくまでも私の想像です
※「正規」「本物」「偽物」という言葉をとりあえず便宜的に使っています

■製造・流通・販売ルート

[ルートA(正規ルート → 正規品)]
元々、放射線測定器を製造していた工場→製造を依頼し販売していた製造メーカー→販売業者。このラインが原発問題以前の正規ルートです。いわゆる本物と呼ばれる製品です。

[ルートB(正規ルート → 正規品 or OEM製品)]
原発問題発生後、放射線測定器の需要が高まると、これまで放射線測定器を扱っていなかったような販売店も発注します。これにより製造され、日本の消費者の手に渡る商品も正規品、本物と呼ばれるようです。

またこの際、製品名だけを変えることもあります(場合によっては多少の外観や性能のカスタマイズも)。これらは”OEM”と呼ぶことができるでしょう。

[ルートC(非正規ルート → 非正規品(偽物)]
こうした放射線測定器特需を見て、他の”メーカー”も「ウチにも作ってくれよ」と工場に発注します。できあがった製品は日本の販売業者に渡り、日本の消費者へと売られます。これが非正規ルート品、偽物と呼ばれるものです。同じ製品なのに、あちらのメーカーでもこちらのメーカーでも”自社製品”として紹介されているのは、こうした事情によるものと思われます。

また、さらに需要が高まると、他の工場(元々の工場と関係があったり、まったくなかったり)でも放射線測定器を製造し始めます。こうした製品も偽物と呼ばれます。

※実際には貿易商や問屋なども介在する場合があるので、これほど単純ではありません ※そもそも原発問題以前から、そして放射線測定器に限らず、こうした状況にあるのが中国という国です。何も特別なことではありません。PS3の偽物、ルイ・ヴィトンの偽物、ドラえもん・ポケモンの偽物だってあるわけですからね(最後のは違うかw)

■本物と偽物の違い

gc_003.jpg これだけ放射線測定器の需要が高まり、”本来の”メーカーや工場に発注が殺到すると、当然、部品が足りなくなります。あるいは製造工程が雑になったりもします。中国の工場の製造不良率(欠陥率)は元々とても高いのですから、こうした事態ではなおさらです。ということは、正規ルートによって製造・流通された正規品であっても、原発問題以前と以降では中身がまるで違うということもありえます。

逆のことも言えますね。後発メーカーが日本に流したOEM製品、あるいは偽物ですら、中身は正規品と変わらない場合もありえます。

写真/事前の説明(ショップに掲載されている画像など)と実際の中身がまるで違うといういい例です。開けてみたらGM管の長さが約半分…。
ソース:「take4チャンネル」 【ガイガーカウンター】BS2010型 分解w

こうなると、メーカーがどこだとか、何が本物で何が偽物なのかとか、そんなことを論じる意味がなくなります。しかも、製品がどこで製造され、どう流通してきたかを消費者は知ることができません。さらに、実はここが一番重大なことなのですが、日本における販売業者の説明がウソだらけ。測定範囲が実際は0.1μSv/h~なのに0.01μSv/h~と謳っているなんてザラです。

もうメチャクチャです。買ってみないとわからないのですから。いえ、買ってもわからないかもしれません。

■製造者心理と意外な結論

ただ、このようなメチャクチャな状況ではありますが、だからこそ少し見えてくることもあります。先日、LH-Ⅲに関してまとめていたときに、もしかしたら…と思ったことがあるんです。

類似品(あるいは偽物)が数多く出回る機種はだいたい決まっています。LH-Ⅲがその代表例ですが、なぜそうなるのか。

放射線測定器の需要高を見て儲けようと思った業者・メーカーは、何を作らせるか。当然、製造コストのかからないものを作らせます。なるべく安く作って、なるべく高く売ろうとするのはビジネスの基本です。では、製造コストの低いものとは? 比較的性能が低く、そしてなにより小型で形が単純なものでしょう。原材料が少なくてすみますし、簡単にスピーディーに製造できますからね。

さらに、ユニークな形の製品は、アメリカやヨーロッパなどの有名メーカー製品であることが多いです。あまりに特徴的な形の製品をコピーすると目立ちますし、あとで文句が来るとも限りません。となるとやはり、元々中国メーカーが製造していた、形がシンプルで小型の製品をコピーするのがいい、と。
gc_004.jpg もしあなたが販売業者もしくは後発メーカーだとします。そして、なるべく安く手っ取り早く放射線測定器を作らせようとします。さて、「900」のコピーを作らせますか? 「LH-3」のコピーを作らせますか? もちろん後者でしょう。そして実際、そうなっています。

写真/どちらの”コピー”が作りやすいか。当然、色・形が単純で、小型で原材料も少なくてすむ右タイプでしょう。

さあ、とんでもない結論が導き出されました。偽物をつかみたくないなら、形がユニークなものを選べ!ということなんですからw バカバカしく思えるかもしれませんが、確率としては案外あたっているような気がしないでもありません。

[ユニークな形をしている主な放射線測定器一覧]
451P/451B(Fluke) / 900(+)(Coliy) / DoseRAE2 PRM-1200 / NUK-079 / PA-1000 Radi / PM1203M / PM1208M / PM1610 / PM1621 / RADEX QUARTEX RD1503 / RadEye B20/B20-ER / TERRA MKS-05
誤解のないよう繰り返しておきます。製造側の心理を考えてみると、形がユニークな製品の方が、単純な形のものよりも偽物である確率は相対的に低いと想像できる。と言っているにすぎません。形がユニークだからといって本物だとは限りませんし、単純だから偽物だとも言えません。また、本物だから性能がよく、偽物だから性能が劣るとも限りません。極端に言えば、本物よりも性能のいい偽物だってありえなくはないのですから。

[参考サイト]
中国貿易サポート「フィデリ」
http://china-trade.fideli.com/
「Chikirinの日記 ~グローバリゼーション ステージ2」
http://d.hatena.ne.jp/Chikirin/20100831
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