2012/03/17

「PM1621M」(ポリマスター)で見る個人線量計、放射線測定器の理想と現実

Polimaster社公式サイトのトップ画像に「PM1621M」が加わりました(確か以前はなかったような…)。これは女社長じゃありませんw 宣伝、広報系の社員さんですかね。

「次、PM1621Mのバナー作るから、あなたモデルやってよ」
「えー、私ですかぁ!」
「私だって恥ずかしいわよ! だけどやったんだから、ほら。これ、社長命令ね」
「うわ、ひどっw わかりましたよ…」

なんてやり取りがありつつ、撮影現場では意外とノリノリ。そんなポリマス社内の光景が目に浮かぶのは私だけですね(^^;

gc_291.jpg

「PM1621M」は「PM1621」にバイブ機能とサーチモードが追加されたモデル。個人線量計でありながら、放射線の探知にも使えるというユニークな機種です。「PM1703M」というよりも「GammaRAE Ⅱ R」(RAE SYSTEMS社)を彷彿とさせます。

個人的にはサーベイメーターに搭載されている積算機能にそれほど意味を感じません。常に携帯し、常に電源をオンしておけば、目安にはなると思いますが。

それよりも、個人線量計にサーチ機能が搭載されていて、個人線量を記録・測定すると同時にその場の危険をいち早く察知するというほうがしっくりきます。そういう意味で、「PM1621」から「PM1621M」への改良はとても素晴らしいと思います。

When doing localization of GRS place the dosimeter so that dosimeter's effective center (attachment C, figure C.1) faces the tested object. Hold the dosimeter at the distance of the tested object no more than 10 cm. Move the dosimeter alongside the tested object no faster than 10 cm/s.

[ソース]英語版マニュアル 2.4.8 Search mode (PM1621M, PM1621MA) より

※GRS=gamma radiation sources

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さて、「PM1621」シリーズのマニュアルで個人線量について見てみたいと思います。非常に面白いです。まずは英語版から。

1.1 Application Range
Dosimeter is designed for:
- continuous measurement of the personal dose equivalent (further - dose equivalent or DE) of external gamma and X-ray (further - photon) radiation Hp(10);
- continuous measurement of the time of the DE accumulation;
- continuous measurement of the personal dose equivalent rate of external photon radiation (further - dose equivalent rate or DER);

1.1 適用範囲
この個人線量計は以下のように設計されています。
- γ線およびX線(以下、光子放射線)のHp(10)、つまり個人線量当量(以下、線量当量あるいはDE)を継続的に測定
- DEの累積時間を継続的に測定
- 外部の光子放射線つまり個人線量当量率(以下、線量当量率あるいはDER)を継続的に測定

とても基本的なことではありますし、製品である以上、これくらいの説明があって当然だと私は思うのですが、さて、他メーカーの、他機種のマニュアルは…。精度とか誤差とか、シンチとかGMとか、そんなことはどうでもいいというのはこういうことなんです。こういう当たり前のことが説明できているかどうか=メーカーの、機器の信頼性。これが大切です。H(10)かHp(10)かが、あるいはそれを容易に推察させるような説明が書かれていないようなものを私なら買いません。

ちなみに、H(10)は周辺線量当量(率)の1cm線量当量(率)。サーベイメーター(TERRA、RADEX、Inspector、Radi、エアカウンターSなど)がH(10)です。

次にロシア語版。いろいろなグラフが載っていて楽しいのですが、今回取り上げるのはこちらの部分。

(原文)Индивидуальная эквивалентная доза Нр(10) измеренная «теоретически идеальным» индивидуальным дозиметром, расположенным на теле человека с заглублением под поверхность тела на 10 мм, учитывает влияние тела человека на поле излучения и, как следствие, на результат измерения в заданной точке тела человека. Заглубление (10 мм для Нр(10)) учитывает поглощение низкоэнергетического излучения и накопление для средне энергетического и высокоэнергетического излучения.

Масса тела человека вносит дополнительный вклад рассеянного излучения в результат измерения в данной точке.

Наибольший вклад рассеянного излучения приходится на диапазон энергий 40 – 200 КэВ.

В итоге дозиметру, в точке расположения, соответствует сформированная всем, окружающим данную точку телом специфичная пространственно-энергетическая зависимость чувствительности от направления, плавно переходящая, с ростом энергии, от резко направленной вперед для низких энергий до практически изотропной для высоких.

(google英語翻訳)Personal dose equivalent Hp (10) measured the "theoretically ideal" personal dosimeter, located on the human body with a deep under the surface of the body by 10 mm, takes into account the influence of the human body in the radiation field and, consequently, the measurement result at a given point of the human body. Penetration (10 mm H (10)) takes into account the absorption of low-energy radiation and storage for medium-and high-energy radiation.

The mass of the body further contributes to the scattered radiation in the measurement at a given point.

The greatest contribution of the scattered radiation falls on the energy range 40 - 200 keV.

As a result, dosimeter, at the location corresponds formed all around the given point of space-body specific energy dependence of sensitivity on the direction, blending smoothly with increasing energy, sharply directed by forward for low energies to an almost isotropic for high.

[ソース]ロシア語版マニュアルより

※「индивидуальным」はそのままだと「individual」と訳されてしまいますが、もちろん「personal」が正確なので修正しました。

※「среднеэнергетического」はそのままだとうまく翻訳できないので、「средне энергетического」に修正しました。

笑っちゃうくらい詳しい説明です。そして「theoretically ideal」がとても奥深いです。個人線量計もサーベイメーターも「theoretically ideal」なんです。直訳すれば理論的な理想。これに相対するのが公園や自宅周辺での実測です。

放射線測定器は校正場において、厳密に調整された状況でもってテストされ校正されています。下記画像のような場所、機械で、Cs137由来のγ線を一直線に真正面から1μSv/h照射したら100cpmだった。だから、この機器は100cpmだと1μSv/hを表示するようにしよう。この際、照射した線源の線量率=基準線量率とは±20%の誤差があるな。よし、この機種の(相対指示)誤差は±20%だ。

gc_036.jpg gc_037.jpg gc_038.jpg

こういう風に作られた放射線測定器(=theoretically ideal)を私たちは公園で、自宅前で使います(=実測)。

公園でアロカシンチとSOEKSを並べます。アロカは0.06μSv/hだった。SOEKSは0.12μSv/hだった。どちらが正確とか、誤差が2倍あるとか(誤差じゃないし)、結局、正確な数値はなんだ?とか、そういうことじゃありません。

野尻美保子さんの有名な文書「理想のガイガーカウンター vs 私のガイガーカウンター」。これは理想的なガイガーカウンターに比べて市販されているガイガーカウンターが正確とか不正確とか、そういうことを言っているわけじゃないんです。理論上はこうだ、だけど実際はこうだ。理論をわかった上で実測した方がいいし、実測の際は理論的なことをわかっていた方がいい。そうすればより正しく測定できる(実測値をより正しく読み取り判断できる)ということなんです。まさに「PM1621」の説明書が言っていることですね。

ところで、「PM1621」はよく見かけますが、「PM1621M」「PM1621MA」はほとんど見かけません。「たろうまる」でもどうなんでしょうね(H(10)という説明がありますが、これはケアレスミスですね。もちろんHp(10)です)。もう販売してるのかな? 非常に興味深い機種です。もちろん先述の通り信頼性も高いです。どちらかというと個人線量計がほしい。だけど、線量の高いホットスポットも探してみたい。そんな方にいいのではないでしょうか。

ちなみに、こんなものも見かけました。
【新品】Polimaster/PM1621MA
【新品】Polimaster/PM1621M

メーカー、機種の信頼性の次はショップの信頼性ですな。いくらいい機種でもちゃんとしたショップで購入しないとどうなることやら…。で、こういうショップで注文するのはどうなんですかね。明言はしませんがまあ、常識的に考えれば…。

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コメント

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平均化無しもイイですね。

福島県の市街地の学校、公園、公共施設などは、
文科省のリアルタイムモニタリングポストが整備されつつあります。
試験運用ですが、既に監視ができる状態です。
 
「エリア移動」で測定データーと、
モニタリングポストの詳細な位置が地図上に表示されます。
http://radiomap.mext.go.jp/ja/
 
リアルタイムモニタリングポストは全国に設置して欲しいですね。
少なくても関東と東北には必要です。
 
しかしながら、
福島県においては、同じ敷地でも側溝や吹き溜まりなどの、
放射線量が非常に高いミニスポットが点在するのが現状で、
モニタリングポストでは把握しきれません。
 
今後個人で必要な物は、1秒程度でミニスポットが素早く検索
できる測定器になると思います。
 
その意味で、
PM1703M、PM1621M、GammaRAEⅡR、PDR-111、GAMMASPOTTERなどは、
非常に良い機器だと思います。
 
どうせ参考程度の計測値なら、平均化で計測時間を長くするより、
平均化無しでも素早く表示できる機器が良いのかも知れません。
 

PM1703MO-1

PM1703MO-1も、そのうち舐るように紹介して下さい。
PMシリーズはブレードランナーの乗り物みたいな感じ。
そのデザインが好きです。

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ミニスポット検索機器

平均化無しタイプやミニスポット検索に適した機種も特集して欲しいです。
ミニスポット検索向け機種を測定対象と相場表にも加えて欲しいです。
http://geigercounter001.blog55.fc2.com/blog-entry-741.html

Re: 平均化無しもイイですね。

平均化の利便性ももちろんあるとは思いますが、できるだけ生の情報を、というのもありますよねぇ。放射線測定を長くやってきたり、あるいは何台も所有すると、「できるだけシンプルに」という方向に行きますw

「測定対象と相場表」は超メジャー機種で初心者の方でも比較的購入しやすい機種のみを取り上げています。また、”測定対象”という意味ではホットスポットというのはちょっと観点がズレますので、あの表にホットスポットという切り口は入れづらいなぁと(^^; あまりややこしい表になってもダメですし、あの表はあの表でご容赦下さいw

ただ、おっしゃる通り、ホットスポット探しというのはこれからもその必要性は大きくなっていくと思います。

ホットスポット探しに向いている機種は何だろう
http://geigercounter001.blog55.fc2.com/blog-entry-687.html
という記事も書いてます。ご参照頂ければ幸いです。
こんなのも書いていますが、記事執筆当時はGAMMASPOTTER、PM1621Mがリリースされてなかったので、機種的にも不十分です。近いうちに改めて記事にしてみたいと思います。 

コメントおよび貴重なご意見、ありがとうございました!

あ、モニタリング情報もかなり充実してきてますね(^^

Re: PM1703MO-1

PM1703MO-1をお持ちですか? うらやましいw

ひじょーーーに興味のある機種です。特にシンチとGMがそれぞれどう動いているのか、とても知りたいです。ただ、なかなか実機を手にする機会がなく…。

マニュアル等を読みこむことはできますが、さすがに難しい機種ですから、実機を使ってみないとなかなか…という感じもしています。一度、できる範囲でじっくりと見てみますね。

あ、mikageさんあたりは使ってるのかな? 見てみよw

コメントありがとうございました!


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